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昨秋の「仏頂面」よりは和らいだが、習近平主席の表情はまだ固かった〔PHOTO〕gettyimages
スクープレポート 習近平のスキャンダルを追え!「中国のトップを裸にせよ!」——外交交渉の裏カードをついに掴んだ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43247
2015年05月17日(日) 週刊現代 :現代ビジネス
安倍政権「日中インテリジェンス戦争」最前線
本誌編集次長 近藤大介
習近平主席の権限が強大で周囲に政敵がゴマンといる—安倍政権が目論む対中戦略は、向こうのトップを直接狙うものだった。握手の裏で展開される日中外交戦を、東京・北京・ジャカルタで追った。
■「習近平に一矢報いる」
谷内正太郎国家安全保障局長の執務室には、中国から取り寄せたという、中国を中心とした世界地図が掲げてある。「これを見ていると習近平の野望が理解できる」と、谷内局長は周囲に説く。たしかに中国製の地図を見ると、習近平主席が掲げる「アメリカとの新たな大国関係」を築くために、日本列島がいかにも邪魔に思えてくる。
「習近平に一矢報いてやる」—最近はこれが安倍晋三政権の「合い言葉」となっている。
4月22日、ジャカルタ。昨秋から続く鬱陶しい雨期がようやく終わろうとしていることで、1000万市民は「春の気分」だったが、市南西部に位置する国際会議場だけは、緊張感に包まれていた。この日、ASEAN(東南アジア諸国連合)一の巨大都市に、アジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年を祝うべく、29ヵ国の首脳が集結していた。
中でも、昨秋に就任したばかりのジョコウィ大統領が気を遣ったのは、「ライバル関係」にある安倍首相と習近平主席の二人だった。記念撮影でも安倍首相を左横に、習主席を右横に招いた。中華の伝統に従えば、主人の右手が「主賓」であり、この立ち位置を中国側が強く要求したからだ。
日中両首脳は、夕刻に約30分間、この2年でわずか2度目となる首脳会談を、会場内で開いた。この時も中国側は、「習近平主席が先に入ること」にこだわった。これまた中華の伝統に従えば、先に入って客を迎えるほうが「主人」となる。
安倍政権のディープ・スロートA氏が明かす。
「たしかに日中首脳会談を望んだのは主に日本側だったが、中国側は形にばかりこだわった。少しでも和んだイメージを見せるためか、習近平は薄い口紅まで塗って現れた。習近平は『アジアの盟主』を気取る割に、肝っ玉が小さいというのが、われわれの見立てだ」
■夫人愛用の化粧品も調べた
思えばこの会談の1ヵ月前には、首相官邸は大荒れだった。習近平政権が唱えるAIIB(アジアインフラ投資銀行)に、G7のイギリス、ドイツ、フランス、イタリアが参加を表明したからだ。
AIIBは、1966年に日本とアメリカが中心になって設立したADB(アジア開発銀行)と同様の国際融資機関だ。中国は「ADBに対抗するものではない」と、事あるたびに弁明しているが、個別に中国の経済官僚を取材すると、その狙いを明快に明かす。
「ADBは、日本がアジアの中心だった20世紀の産物だ。これに対しこれからわれわれが作るAIIBは、中国がアジアの中心となる21世紀の産物なのだ。そのため当然、今後はAIIBを運営する中国が、日本に代わってアジアを牽引していく」
たしかに今回、ジャカルタでASEANの指導者たちを取材すると、誰もが「AIIB」という単語を耳にしただけで、表情が緩んだ。
「いまや中国はアジアのナンバーワンだ。AIIBの設立を、諸手を挙げて歓迎する」(マレーシアのモハマド貿易産業相)
「これまで米国債ばかり買っていた中国が、ついにアジアに振り向いてくれた。AIIBは大、大、大歓迎だ!」(タイのアクラサナ資源相)
そんな彼らは、私に対して逆質問をしてきた。
「日本だけ、なぜ加わらないのだ?」
習近平主席が初めて「AIIB構想」をブチ上げたのも、'13年10月にAPECが開かれたこの国だった。以後、推進派の中国と、影響力を最小限に抑えようとする日本との間で、熾烈なインテリジェンス戦が繰り広げられてきた。
A氏が続ける。
「AIIBに関しては主に財務省から、『先進国は一様に無視する』との報告が官邸に上がっていた。昨年10月に北京で21ヵ国による覚書が締結された時にも、外務省は『オーストラリアとインドネシアの参加阻止に成功した』と報告していた。
だが結局、57ヵ国もが中国に靡くことになった。反対派の急先鋒だったわが国は、習近平に『一本背負い』を喰らったようなものだった」
前述の「習近平に一矢報いる」という安倍政権の一致した決意は、ここから来ている。
もともと安倍政権は発足以来、習近平政権をライバル視し、中国との諜報戦を展開してきた。一例を示せば、外務省は昨夏、習近平主席の清華大学人文社会学院博士課程の同級生で、民主化に関心の高い中国人学者を日本に招いている。私もこの人物を取材したが、彼は次のように証言した。
「習近平は博士課程の入学の日と修了の日の計2日間しか大学に来なかった。それでも'01年末に、『中国農村の市場化研究』と題した分厚い博士論文を提出した。私が教授に尋ねると、『習近平福建省長は立派な経済官僚たちを抱えているからね』と含み笑いをした」
また、元国民的歌手の彭麗媛夫人に関しても、外務省は、彼女が過去に、銀座で「爆買い」するため、頻繁に帝国ホテルに宿泊していたことや、長年愛用していた資生堂の化粧品の名前まで調べ上げている(現在は立場上、中国国産品を使用)。
■官邸に届いたクーデター計画
4月16日、安倍首相は朝官邸に出勤すると、いつも執務室に一番上に置いてある産経新聞が、一面トップで報じている記事に欣喜した。それは、「中国元軍制服組トップ拘束」という見出しで、習近平政権の前任の胡錦濤時代に軍最高位の中央軍事委員会副主席の要職に登り詰めた郭伯雄上将が、汚職容疑で拘束されたという内容だった。郭上将と共に同委副主席を務めた徐才厚上将も、やはり昨年3月に汚職容疑で調査された後、今年3月15日に急死している。
安倍首相が笑みを浮かべたのは、「中南海」(習主席ら中国要人の職住地)に「乱」を予感したからだった。このスクープ記事を書いた矢板明夫同紙北京特派員が解説する。
「習近平主席は、これで前政権の軍トップ二人を粛清したわけで、今後、軍内部の反感が増して、習近平暗殺の動きが起こってくることも考えられるのです」
実際、3月には「習近平暗殺未遂情報」が、首相官邸に報告されている。3月前半に開かれた全国人民代表大会(国会)の会期中の、次のような情報だ。
〈中南海の警備と最高幹部の護衛を担当する中央警衛局の一部が、3月3日にクーデターを計画し、習近平政権の転覆を謀った。これを知った習近平主席は直ちに北京軍区を出動させ、クーデターを未然に防いだ。怒り心頭の習主席は、曹清中央警衛局長を解任し、300人以上の警衛局員を取り調べの対象にした〉
たしかにこの時期、中央警衛局長は突然、王少軍副局長に替わり、曹清局長は北京軍区副司令員に配置換えされた。クーデター未遂の真偽はいまだ不明だが、安倍政権は、「習近平政権は決して盤石ではない」と判断した。
A氏が続ける。
「徐才厚上将も、郭伯雄上将も、共に習近平主席の最大の政敵である江沢民元主席の側近。ということは今後、江沢民サイドを日本がうまく取り込めば、習近平スキャンダルを提供してくれるかもしれない。それ以外にも、李源潮国家副主席、汪洋副首相、胡春華広東省党委書記らの胡錦濤前主席一派も、いまや習近平の隠れ政敵≠ネので、日本が取り込んでいける可能性がある。
日本にはかつて陸軍に『支那通』と呼ばれる中国諜報のプロたちがいて、中国政府や軍閥に深く喰い込んでいた。安倍政権としても、今後は『関与』を強化していく」
そしてA氏は、こう続けた。
「東京にもう5年以上も居座っている程永華中国大使は、創価大学の卒業生で、安倍自民党が連立与党を組む公明党と太いパイプを築いている。つまり安倍政権の情報は、中国に筒抜けになっているかもしれないのだ。これに対して北京の木寺昌人大使は中国語もできないし、日本は公式の外交ルートでの情報戦では負けている」
■娘の行状を注視
安倍政権は、そんな「日中インテリジェンス戦争」を補完する「情報源」として、同盟国のアメリカを頼りにしている。
「アメリカが特に強いのが、習近平とその家族の私生活やスキャンダルなどだ」(A氏)
アメリカが掴んだ習近平スキャンダルで最も有名なのは、習主席が中国共産党トップに就く5ヵ月前の'12年6月29日、米経済通信社ブルームバーグが、「習近平一族が、3億7600万ドルもの海外資産と、香港に7軒もの豪邸を保有している」とスッパ抜いたことだ。主に姉夫婦とその娘に関する資産だった。
A氏はこの件についての最新情報を次のように語った。
「最近になって、この情報をブルームバーグに持ち込んだのは、中国中央テレビの有名キャスターだったらしいという情報を得た。このキャスターは昨年7月に中国当局によって身柄を拘束されたが、日本政府とも良好な関係を築いていた。彼の自伝本には福田康夫元首相が推薦文を書いているほどだ」
また最近では、習近平主席一族の内部を暴露した『十三億分の一の男』が話題を呼んでいる。著者は、朝日新聞元北京特派員の峯村健司氏だ。
同書によれば、習近平主席と彭麗媛夫人の一人娘・習明沢は、'10年5月にハーバード大学に入学。'12年末から習近平主席が唱え始めた「八項規定」(贅沢禁止令)によって幹部の子女たちが次々に帰国する中、彼女は偽名を名乗ってアメリカに残り、昨年5月に卒業を果たしたという。著者の峯村氏が語る。
「習明沢は母親似で、心理学を専攻。卒業式には両親に代わって彭麗媛夫人の妹夫妻が来て祝福していました。彼女にはFBIが警護に当たっていた。警護しながら情報を集めていたのでしょう。
今回本を出してすぐにアメリカ出張に行ったのですが、これまで取材拒否だった米政府関係者たちが親切に応じてくれて、習近平に関する逆質問も受けた。東京のアメリカ大使館が、私の本を特急で英訳していたことを知り、アメリカの情報収集能力の機敏さに恐れ入りました」
冒頭のアジア・アフリカ会議にアメリカは招待されていない。だがアメリカはジャカルタに多くの政府要員を投入し、主に中国の情報収集に当たった。
その一人、ハリス米太平洋軍司令官を、ジャカルタ市内のホテルで見かけた。直撃したら、「私の仕事は、中国の南シナ海での行動を含めたあらゆるシナリオに備えることだ」と煙に巻いた。だが、アメリカ側が調べ上げた情報は、様々なルートで日本にも伝えられる。
安倍首相は4月26日から、8日間に及ぶアメリカ訪問を開始したが、28日のオバマ大統領との日米首脳会談では、尖閣防衛やAIIBへの対処など、中国問題が大きな議題となる。
「中国は今年、抗日戦争勝利70周年という大々的な宣伝戦を展開している。これに対してこちらは、自由と法の支配という宣伝戦で対抗していく。同時に、周囲に政敵だらけの習近平を揺さぶっていく」(A氏)
8月15日に発表する予定の「安倍談話」、9月3日に習近平主席が北京で挙行する大規模軍事パレード、そして9月下旬に日中両首脳が舌戦を繰り広げる創設70周年記念の国連総会……。日中の諜報戦は、今後さらにヒートアップしていく。
「週刊現代」2015年5月9日・16日合併号より
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