34. 2015年5月18日 21:46:39
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安全保障法案 首相会見の要旨 2015年05月15日 08時30分 国民の命と平和 守り抜く http://www.yomiuri.co.jp/feature/matome/20150515-OYT8T50158.html 【冒頭発言】 70年前、私たち日本人は一つの誓いを立てた。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。この不戦の誓いを将来にわたって守り続けていく。国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この決意のもと、本日、日本と世界の平和と安全を確かなものとするための平和安全法制を閣議決定した。 一国のみで、どの国も自国の安全を守ることはできない時代だ。この2年、アルジェリア、シリア、チュニジアで日本人がテロの犠牲になった。北朝鮮の数百発もの弾道ミサイルは、日本の大半を射程に入れている。そのミサイルに搭載できる核兵器の開発も深刻さを増している。 我が国に近づいてくる国籍不明の航空機に対する自衛隊機のスクランブル(緊急発進)の回数は、10年前と比べて実に7倍に増えている。私たちは、この厳しい現実から目を背けることはできない。 私は、近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視している。首相就任以来、地球儀を俯瞰ふかんする視点で積極的な外交を展開してきた。いかなる紛争も武力や威嚇ではなく国際法に基づいて平和的に解決すべきだ。この原則を私は国際社会で繰り返し主張し、多くの国々から賛同を得た。 同時に、万が一への備えも怠ってはならない。そのため、我が国の安全保障の基軸である日米同盟の強化に努めてきた。(4月下旬の)米国訪問で、日米の絆はかつてないほどに強くなっている。日本が攻撃を受ければ、米軍は日本を防衛するために力を尽くしてくれる。安保条約の義務を全うするため、日本近海で適時、適切に警戒監視の任務にあたっている。 その任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできない、何もしない。これがこれまでの日本の立場だった。本当にこれで良いのだろうか。日本近海で米軍が攻撃される状況では、私たちにも危険が及びかねない。 私たちの命や平和な暮らしが明白な危険にさらされている。そして、その危機を排除するため、他に適当な手段がない、なおかつ必要最小限の範囲を超えてはならない。この3要件による厳格な歯止めを法律案の中にしっかり定めた。国会の承認が必要となることは言うまでもない。 極めて限定的に集団的自衛権を行使できることにした。それでもなお、「米国の戦争に巻き込まれるのではないか」という漠然とした不安を持つ人もいるかもしれない。その不安を持つ人に、はっきりと申し上げる。そのようなことは絶対にあり得ない。 日本が危険にさらされた時は、日米同盟は完全に機能する。そのことを世界に発信することにより、抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていく。「戦争法案」などといった無責任なレッテル貼りは、まったくの誤りだ。 日本人の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行うのが今回の法案だ。海外派兵が許されないという原則は変わらない。自衛隊が、かつての湾岸戦争、イラク戦争のような戦闘に参加することは今後とも決してない。そのことも明確にしておきたい。 海外で自衛隊は原油輸送の大動脈、ペルシャ湾の機雷掃海を皮切りに、20年以上にわたり国際協力活動に従事してきた。いまも灼熱しゃくねつのアフリカで、独立したばかりの南スーダンを応援している。これまでの自衛隊の活動は間違いなく世界の平和に貢献している。こうした素晴らしい実績と経験の上にPKO協力法を改正し、新たに国際平和支援法を整備することとした。 国際貢献の幅をいっそう広げていく。しかし、いずれの活動でも、武力の行使は決して行わない。紛争予防や人道復興支援、燃料や食糧の補給など、我が国が得意とする分野で、国際社会と手を携えていく。 戦後日本は平和国家としての道をまっすぐに歩んできた。これまでの歩みに私たちは胸を張るべきだ。しかし、それは、「平和、平和」と、ただ言葉を唱えるだけで実現したものではない。自衛隊の創設、日米安保条約の改定、国際平和協力活動への参加。時代の変化に対応して、平和への願いを行動へと移してきた先人たちの努力の結果だと、私はそう確信している。 行動を起こせば批判が伴う。安保条約を改定した時にも、PKO協力法を制定した時にも、必ずと言っていいほど、「戦争に巻き込まれる」といった批判が噴出した。しかし、そうした批判が的はずれなものであったことは、これまでの歴史が証明している。 私たちは、先の大戦の深い反省とともに、70年もの間、不戦の誓いをひたすらに守ってきた。そして、これからも、私たち日本人の誰一人として、戦争など望んでいない。そのことに疑いの余地はない。 私たちは、自信を持つべきだ。時代の変化から目を背け、立ち止まるのはもうやめよう。子供たちに平和な日本を引き継ぐため、自信を持って、前に進もうではないか。日本と世界の平和のため、私はその先頭に立ち、国民と新たな時代を切り開いていく覚悟だ。 必要性 丁寧に説明 【質疑】 ――報道各社の世論調査では慎重論が根強い。国民にどう説明するか。 国民の命と平和な暮らしを守ることは、政府の最も重要な責務だ。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う。平和安全法制の整備は不可欠だと確信している。(現行法制は)国民の命と平和な暮らしを守り抜く上で、十分な法制となっていないのが現状だ。分かりやすく丁寧に、必要な法整備であるということを(国会での)審議を通じて説明したい。 米議会の上下両院の合同会議の演説では、平和安全法制の成立を「この夏までに」と言ったが、2012年の衆院選以来、私は自民党総裁として、平和安全法制の整備を公約として掲げている。(昨年12月の)衆院選でも、国民の審判を受けた。選挙で公約せず、実行するのとは全く違う。今まで言ったことを米議会の演説で、さらに繰り返し述べたということだ。 しかし、国会審議はこれからであり、政府としては審議を通じて、平和安全法制が必要だと理解してもらえるよう努力したい。 ――法案成立後、直ちに自衛隊が参加を検討している活動はあるか。 この法案が整備されたから、(自衛隊が)どこかに行くというものではない。ISIL(イスラム過激派組織「イスラム国」)に関し、我々が後方支援することはない。今まで行っている難民や避難民に対する食糧支援や医療支援などは大変感謝されている。こうした非軍事的な活動を引き続き行っていく。 ――自衛隊の活動を拡大することによるリスクはないのか。 自衛隊の活動で、隊員の安全を確保すべきであるのは当然だ。自衛隊員は自ら志願し、危険を顧みず、職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナルとして、誇りを持って仕事にあたっている。厳しい訓練を繰り返し行うことで、危険な任務遂行のリスクを可能な限り軽減してきた。それは、今後も変わることがない。 ――首相が言う「厳しい国際情勢」とは具体的にどういう点か。なぜ今、安保法制が必要なのか。 日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。北朝鮮の弾道ミサイルは日本の大半を射程に入れている。北朝鮮の行動については、予測するのが難しいのが実態だ。 脅威は国境を簡単に越えてくるという状況の中においては、切れ目のない対応が必要になってくる。日本は米国と日米安保条約で結ばれている。同盟関係がしっかりとしているということが、抑止力、事前に事態が起こることを防ぐことにつながっていく。 同盟にスキがあり、日米間の連携が十分にできていないと思われることによって、攻撃を受ける危険性は増していく。地域の不安定な要素となっていく可能性もある。そうした可能性をあらかじめしっかりと潰しておく必要がある。 今回の法整備では、集団的自衛権の一部行使を限定的に認めていくことからグレーゾーンに至るまで、しっかりとした整備を行っていく。その結果として、日本が紛争に巻き込まれることも、日本が攻撃を受けることも、リスクとしては減少していくと考えている。 ――安倍内閣で防衛費が増加しているが、どのように考えるか。 日本の防衛費はずっと減少してきたが、安全保障環境は逆に厳しさを増している。これまで減ってきた防衛費を(第2次)安倍政権で増やしたが、消費税が上がった分を除けば(増加分は)0・8%だ。この法制によって、防衛費自体が増えていく、あるいは減っていくということはない。第1次安倍政権時代に、防衛庁を防衛省に昇格させた時も同じ質問を受けたが、防衛費は減少した。
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