35. 2015年5月17日 22:23:12
: ND3huubENY
安保法案、26日審議入りへ 国会提出、首相「レッテル貼り」批判 産経新聞 5月16日(土)7時55分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150516-00000068-san-pol 政府は15日、集団的自衛権の行使容認を含む新たな安全保障関連法案を衆院に提出した。与党は遅くても26日に審議入りさせ、6月24日までの会期を延長して8月上旬の成立を目指す。 法案の提出を受け、与野党の国対委員長は国会内で会談した。与党は19日の本会議で法案を審議する「わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」を設置し、21日に趣旨説明と質疑を行うことを提案した。民主党や維新の党は、自衛隊法改正など10法案を一括した「平和安全法制整備法案」を個別に再提出し、十分な審議時間を確保すべきだと反発し、日程は決まらなかった。 安倍晋三首相は15日の衆院本会議で「集団的自衛権の行使は、あくまでも日本国民を守るためのものだ」と強調。「『戦争法案』と無責任なレッテルを貼るのでなく、中身のある議論をしてほしい」と語った。 条文解説 2015年5月14日閣議決定された安全保障関連法案で整備される法律の主要な条文を取り上げて解説する。
■集団的自衛権 新3要件 法律に明記 武力攻撃・存立危機事態法第2条「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるものを排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使」 政府は2014年7月、武力行使の新3要件を満たす場合に限り、集団的自衛権の行使が可能と憲法解釈を変更した。新3要件を反映させたのが、武力攻撃事態法を改正する「武力攻撃・存立危機事態法」だ。 第2条で、新3要件の第1要件を「存立危機事態」と定義。第9条で「他に適当な手段がなく」(第2要件)、第3条で「武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度」において実施(第3要件)などと、それぞれ明記した。 このうち、第2要件の「他に適当な手段がない」との規定について、政府は、代替手段を巡る議論が起きて自衛隊の派遣が遅れることを懸念し、法律に書き込まない意向だった。しかし、公明党が3要件すべての明記を求めたため、第9条の対処基本方針に書き込む項目として盛り込んだ。政府は、存立危機事態かどうかの判断は、第2条の定義の条文に従って、第1要件に基づき行うとしている。 集団的自衛権を行使する具体的な活動としては、機雷掃海や米艦防護、臨検、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃などが想定されている。機雷掃海を巡っては、中東・ホルムズ海峡で機雷が敷設された場合、存立危機事態にあたるかどうかが与党間で議論された。 自民党は、日本は原油輸入の8割強を中東に依存しており、シーレーンでの機雷敷設は存立危機事態に該当する場合はあり得ると主張しているが、公明党は慎重だ。自民党幹部は「ケース・バイ・ケースで判断するしかない」としている。 ■重要影響事態 日本「周辺」の制約なくす 重要影響事態法第1条「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態(重要影響事態)に際し、米国軍隊等に対する後方支援活動等を行う」 現行の周辺事態法を改正する重要影響事態法では、日本の「周辺」という地理的な制約をなくす点が改正の主な狙いだ。そのため、周辺事態法の第1条の目的規定にあった「我が国周辺の地域における」という文言を削除した。 1999年に成立した周辺事態法は、主に朝鮮半島有事を想定していた。政府は当初から、周辺事態は地理的な概念ではないと説明してきたが、当時の小渕首相が「(周辺事態が)中東やインド洋で生起することは現実の問題として想定されない」と国会答弁するなど、活動地域は事実上、日本の周辺に限られていた。 テロの拡散や中国の台頭といったその後の国際情勢の変化を踏まえ、南シナ海やインド洋、ホルムズ海峡といったシーレーン(海上交通路)での紛争が日本に重要な影響を与える可能性が高まっている。政府はそうした認識から、今回の改正に伴う統一見解で、「重要影響事態」に地理的制約がないことを明示した。 また、重要影響事態での後方支援の対象は従来の米軍に加え、「その他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊」にも拡大する。最近の国際紛争への対処は、米軍が主導する多国籍軍によって行われるケースが多いためだ。支援活動の内容でも、現行法(周辺事態法)ではできない弾薬の提供、戦闘作戦行動のために発信準備中の航空機に対する給油などが新たに可能になる。 ■後方支援活動 恒久法で随時可能に 国際平和支援法第1条「国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国連憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、我が国が主体的かつ積極的に寄与する必要があるものに際し、諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行う」 国際平和支援法は、戦闘中の米軍や多国籍軍への自衛隊による後方支援を随時可能にする新たな恒久法だ。海上自衛隊が特別措置法に基づき、2001年から一時中断をはさんで約8年行ったインド洋での給油のような活動を、特措法をその都度制定しなくても、迅速に行うことができるようにするのが狙いだ。 国際社会が平和と安全を脅かす紛争などに共同で対応し、日本が主体的、積極的に貢献する必要がある「国際平和共同対処事態」が起きた場合に、自衛隊を派遣できる。 自衛隊の活動は、水や燃料の補給や人員・物資の輸送、医療提供などの「協力支援活動」(後方支援)が中心となる。武器の提供は除外した。活動地域は、「現に戦闘行為が行われている現場」以外で行うことができると定めた。 協力支援活動に加え、「捜索救助活動」も行えるようになる。 重要影響事態に該当する場合には、政府は、国際平和支援法ではなく、重要影響事態法で適用する方針だ。 ■PKO類似活動 紛争後の復興支援参加 国連平和維持活動(PKO)協力法第3条「国際連携平和安全活動 紛争による混乱に伴う切迫した暴力の脅威からの住民の保護、武力紛争の終了後に行われる民主的な手段による統治組織の設立及び再建の援助その他紛争に対処して国際の平和及び安全を維持することを目的として行われる活動であって、2以上の国の連携により実施されるもの」 国際社会では、有志連合の国々が紛争後の人道復興支援や国づくりを担う活動が増えている。PKO協力法ではこうした活動を「国際連携平和安全活動」と定義し、自衛隊派遣を新たに認める。 国連が自ら主体となって実施する平和維持活動(PKO)とは異なる枠組みだが、派遣に際しては、PKOと同様、法律に明記された「参加5原則」を満たすことが条件となる。 @紛争当事者間の停戦合意 A紛争当事者の受け入れ同意 B中立的立場の遵守 C以上の原則のいずれかが満たされなくなった場合の撤収 D武器使用は必要最小限が基本 の5つだ。 Dについては、任務の妨害を排除するためにやむを得ない場合の警告射撃などの武器使用も認める規定に改める。これにより、PKOと国際連携平和安全活動のいずれの場合でも、住民保護などの治安維持を担う「安全確保活動」や、離れた場所で武装集団などに襲われた民間人らを自衛隊が助けに行く「駆け付け警護」が可能となる。ただ、危害を加える射撃は、正当防衛と緊急避難にあたる場合に限られる。 政府は5原則の適用範囲について、国全体ではなくても、自衛隊が活動する特定の地域内で条件を満たしていれば、派遣は可能と説明している。陸上自衛隊が現在参加中の南スーダンのPKOも、係争地を含む国内で2つのPKOミッションが行われており、政府はこのうちの1つが5原則を満たすとして陸自の派遣を認めている。 条文解説 2015年5月14日閣議決定された安全保障関連法案で整備される法律の主要な条文を取り上げて解説する。 ■武器等防護 ミサイル防衛 他国も警護 自衛隊法第95条の2「自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(略)に現に従事しているものの武器等を職務上警護するに当たり、人または武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる」 日本への武力攻撃が発生していない段階で、日本を守るために必要な自衛隊の艦船や航空機などの「武器等」が破壊されるのを回避するための反撃を認める規定が、「武器等防護」だ。現在は自衛隊の装備だけが対象だ。 今回の法整備が進めば、日本を守るために必要な活動を行う他国軍の「武器等防護」も、自衛隊が新たにできるようになる。 具体的には、他国軍が自衛隊と連携し、日本を射程に入れた弾道ミサイルが発射準備に入った時にミサイル防衛に従事していたり、日本の離島をめぐり軍事的な緊張が高まった時に警戒監視を行ったりしている場合に、自衛隊がその他国軍を警護できるとしている。対象は米軍に限らない。 武器の使用は「事態に応じ合理的に必要と判断される限度」内で可能とされる。 また、平時に日本防衛に資する共同訓練を行っている場合にも、武器等防護を適用できる。ただ、政府は、このケースに該当するのは、現時点では米軍と豪州軍しかないと説明している。 ■歯止め3原則 「国連」「国会」「安全」重視 今回の安保関連法案には、自衛隊の海外活動に関し、公明党が求めた @国際法上の正当性(国連決議) A国民の理解と民主的な統制(国会承認) B自衛隊員の安全確保 という歯止めの3原則を尊重することが盛り込まれた。 ◇ 国際平和支援法第3条「国際社会の平和及び安全を脅かす事態に関し、国際連合の総会または安全保障理事会の決議が存在する場合において・・・」 国連平和維持活動(PKO)協力法第3条「国際連合の総会、安全保障理事会もしくは経済社会理事会が行う決議、別表第一に掲げる国際機関が行う要請または当該活動が行われる地域の属する国の要請に基づき・・・」 国際法上の正当性をめぐり、国際平和支援法では、多国籍軍などに後方支援を行う自衛隊の派遣を国連決議がある場合に限定する。戦闘中の他国軍への支援であることを踏まえ、より厳しい基準とした。 一方、PKO協力法では、PKOに似た「国際連携平和安全活動」に関し、国連決議がない場合も、「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」「欧州連合(EU)」などの国際機関の要請で自衛隊を派遣できるようにする。戦闘終了後に行われる国づくりなどの人道復興支援では、EUが要請したインドネシアの「アチェ監視ミッション」のような、国連決議に基づかない事例も想定されるためだ。 ◇ 国際平和支援法第6条「首相は、対応措置の実施前に、基本計画を添えて国会の承認を得なければならない」 多国籍軍への後方支援を可能にする国際平和支援法では、首相は必ず事前に国会の承認を得なければならない。そのうえで、国会に対し、首相から承認を求められた場合、衆参各院が「休会中の期間を除いて7日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない」と努力義務を課した。 PKO協力法に盛り込まれる治安維持などの安全確保活動は事前承認を原則とした。人道復興支援活動は現行の規定と同じで、国会承認を必要としない。 ◇ 自衛隊法第84条の3「予想される危険に対応して保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うため、外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること」 国際平和支援法第9条「防衛相は、対応措置の実施に当たっては、自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならない」 自衛隊法などの改正では、在外邦人救出や、国連平和維持活動(PKO)などに従事している際、離れた場所にいる民間人らを救出する「駆け付け警護」が可能となる。これを踏まえ、隊員の安全確保に関する規定が新たに設けられた。 自衛隊派遣に関し、新たに定める国際平和支援法と、周辺事態法を改正する重要影響事態法、PKO協力法でも、防衛相らに対し、自衛隊の安全配慮を求める。
|