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台湾には吠える菅官房長官(C)日刊ゲンダイ
米国の輸入規制に黙る安倍政権…台湾には“脅し外交”のア然
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159837
2015年5月15日 日刊ゲンダイ
台湾が福島第1原発事故後に導入した日本食品の輸入規制を、15日から強化することについて、日本政府が大騒ぎしている。14日、産経新聞は1面で「台湾、日本食品全て輸入停止」と大見出しで報じたが、これが大間違い。
もともと、台湾は原発事故以降、福島など5県産の食品の輸入を停止。今回はそれに加えて、全ての食品に都道府県別の産地証明を、乳幼児用食品など一部製品には放射線検査証明を義務付けたにすぎない。
産経の記事を読むと、まるで台湾が輸入を全面停止するような印象を受けるが、実際には産地証明書などがそろえば、日本から輸出可能だ。ところが、台湾の規制強化に敏感に反応したのが安倍政権である。
菅義偉官房長官は定例会見で「科学的な根拠に基づかない一方的な措置で、極めて遺憾だ」と怒りをぶちまけ、林芳正農相も「WTOへの提訴を含めしかるべき対応を検討したい」と吠えた。
しかし、台湾に限らず他国でも、日本食品に関する規制は現在も続いている。とりわけ、顕著なのが米国だ。岩手や宮城、福島など14県産を対象に、特定品目を輸入停止した上で、他の都道府県の食品全てに、米国内でのサンプル検査を義務付けている。そんな米国に、安倍政権は文句ひとつ言ったことはない。
農林水産省の食料産業局輸出促進グループの担当者は「米国は幅広く規制しているように見えますが、規制を緩和する方向に動いていて、徐々に規制品目も減ってきています。台湾はなぜ今、規制を強化するのか、科学的な根拠が示されていません」と説明する。
台湾では今年3月、輸入を禁止していた福島などの5県産の食品が、密かに輸入されていたことが発覚。これを機に台湾国内で食の安全への関心が高まったことが、規制強化につながっている。
こうした現状を踏まえ、交渉するのが政府の務めだが、安倍政権は“格下扱い”の台湾には提訴をちらつかせる“脅し外交”で、米国にはひたすら沈黙の隷属路線だ。
これでは国際的にますます孤立を深めるだけだろう。
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