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富田望・需給調整事業課長(左)と塩崎厚労相(C)日刊ゲンダイ
厚労省の問題課長が作った“正社員ゼロ法案”ペーパーの中身
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159800
2015年5月15日 日刊ゲンダイ
安保法制と並んで今国会の目玉となっている労働者派遣法改正案。これが通れば、これまで一部業務を除き3年に限定されていた派遣期限が撤廃され、「派遣社員は一生派遣」が固定化されることになる。
野党は猛反発しているが、何が何でも法案を通したい厚労省のフダツキ課長が、とんでもないインチキペーパーを作っていたことが発覚した。
ペーパーには、同法が10月1日までに改正されなければ、「訴訟が乱発するおそれ」「大量の派遣労働者が失業」「派遣事業者に大打撃」「派遣先は迅速に必要な人材が確保できず、経営上の支障が生じる」などと書かれていて、改正案を今国会で通し、9月中に施行しないと、大量の失業者が生まれ、社会が大混乱するかのような内容になっている。
10月1日とは「労働契約申し込みみなし制度」が施行されるタイミングで、これがスタートすると、派遣期限の3年を超えた派遣労働者を使った企業は、直接雇用しなければならなくなる。経済界や人材派遣会社はこの10.1におびえていて、その前に改正案を通して、「みなし制度」をなきものにしたい。そうした意向を受けた厚労省が、「失業者が大発生」などというペーパーを作り、国会議員に配っていたのだ。
これじゃあ、厚労省はブラック企業の応援団だが、このペーパーを作ったのは富田望・需給調整事業課長。派遣社員をモノ呼ばわりして、国会で「吊るし上げ」を食らった問題課長だ。もちろん、課長ひとりの意向でこんなことはできないだろうから、組織ぐるみのワルさだろう。ホント、油断もスキもない役所だ。国会でこの問題を追及した民主党の山井和則衆院議員はこう言う。
「ペーパーはただの参考資料ではなく、法案を考える上でとても重要になるものです。私も何も知らなかったら、『この法案を早く通さないといけない』と思ったでしょう。ペーパーは厚労省の局長、部長も配り歩いており、内容を把握していたはず。国会議員をだましてでも、法案を通そうとする厚労省の“体質”を示している。本来、厚労省は違法派遣を取り締まるのが仕事ですが、真逆のことをしている。ブラック企業の違法派遣を正当化しようとしている。そんな正体が見えました」
仮に同法が改正されれば、正社員は激減し、派遣労働者は一生、派遣のままになる。結婚も難しくなり、社会は荒廃していく。そんな社会を目指しているのが安倍政権で、そのためには何でもやるのが厚労省ということだ。
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