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防衛相と沖縄知事 初会談も平行線
5月9日 14時42分
沖縄県を訪れている中谷防衛大臣と翁長知事が9日、初めて会談しました。中谷大臣がアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設について、日米同盟の抑止力の維持と普天間基地の危険性の除去を両立させるための唯一の解決策だと確信していると理解を求めたのに対し、翁長知事は移設は不可能であり、絶対に反対するとして計画を断念するよう求め、平行線に終わりました。
沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画を巡って、政府と沖縄県の対立が続くなか、中谷防衛大臣は9日午前、沖縄県庁を訪れ、初めて翁長知事と会談しました。
会談は30分余りにわたって行われ、中谷大臣は「沖縄の基地負担の軽減はアメリカと協議しながら実現可能なものから着実に実施しており、力を入れているが、一方で政府としては国民の命を守り、暮らしを守るため抑止力を維持するという安全保障上の責務も負っている」と述べました。
その上で中谷大臣は普天間基地の移設計画について、「市街地の真ん中にあり、住宅や学校が近接している普天間基地の危険性の除去は大変重要な問題だ。どう考えても、辺野古へ移設するのが唯一の解決策と確信しており、一日も早い返還に向けて全力で移設を進めていきたい」と述べ、日米同盟の抑止力の維持と普天間基地の危険性の除去を両立させるための唯一の解決策だと理解を求めました。
これに対し、翁長知事は「辺野古への移設が唯一の解決策だと日米両政府が固執するのは日米安保体制に大きな禍根を残す。防衛大臣の説明でも納得できない」と述べました。
その上で翁長知事は「辺野古に基地を建設するのは不可能であり、沖縄県として絶対に反対していきたい。地元の理解を得ることがないまま、計画が頓挫しても、すべて政府の責任だ。かたくなな固定観念から脱して、計画の中止を決断し、話し合いを継続してもらいたい」と述べて計画を断念するよう求め、会談は平行線に終わりました。
この問題を巡っては、先月の日米首脳会談で安倍総理大臣が移設の実現が唯一の解決策だという考えを示したことに翁長知事が反発しており、中谷大臣の今回の沖縄訪問には、政府として沖縄県側と粘り強く対話を続けていく姿勢を示すねらいがあるものとみられます。
防衛相「協議継続で一致は有意義」
中谷防衛大臣は会談のあと、記者団に対し、「お互いの立場は違うが、協議を行うことは大事なことで、今回、翁長知事の考えや意見を聞き、今後も協議を続けていくことでは一致したので、非常に有意義だった。きょう聞いた知事の考えを政府に持ち帰って検討したい」と述べました。
そのうえで、記者団が「ことし夏にも辺野古の埋め立て工事を始めるというスケジュールは変更しないのか」と質問したのに対し、中谷大臣は「政府としては1日も早く、普天間基地を移設するため、手順に従って作業を実施したい」と述べ、夏にも埋め立て工事を始めたいという考えを重ねて示しました。
沖縄知事「考え方を変えてもらいたい」
翁長知事は会談のあとの記者会見で、中谷大臣が「辺野古への移設が唯一の解決策と確信している」と述べたことについて、「この固定的な観念が変わらないのは、辺野古に基地が建設できると思っているからであり、これが私たちとの認識の大きな違いではないか。県民が一致結束してあらゆる手段を講じた場合には基地はできないと確信している。政府には考え方を変えてもらいたい」と述べました。
そのうえで翁長知事は、記者団が「政府が埋め立て工事を開始したいとしている夏までに、どのような手を打つのか」と質問したのに対し、「節目節目は毎月ある。そのつどそのつど、行政ができる手段をやっていきたい」と述べ、あらゆる手法を使って計画を阻止する考えを改めて示しました。
さらに翁長知事は早期に実現したいとしているアメリカ・ワシントンの訪問の時期について、「90%以上の確率で5月末を前提にしているが、向こうの政治情勢もある。来週初めぐらいまでには決めないといけない」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150509/k10010074151000.html
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