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もう降ろせない物価目標の「旗」(C)日刊ゲンダイ
グローバル・デフレの時代を生き抜く知恵が政権にあるか 日本経済一歩先の真相/高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159560
2015年5月8日 日刊ゲンダイ
日銀が先週、半年に一度の「経済・物価情勢の展望」を公表し、2%の物価目標の達成時期を従来の「2015年度中心」から「16年度前半」に後退させた。それでも、黒田東彦総裁は「できるだけ早期に実現する」と強気一辺倒で、物価目標の「旗」を降ろすつもりはないらしい。
健全な物価上昇には景気の改善、つまり、昨年4月の消費税増税以降、冷え切っている個人消費の回復が不可欠だ。しかし、この先も落ち込んだ消費が上昇カーブを描く要素は見当たらない。
この国で比較的、資金に余裕のある層は団塊世代以上の高齢者だ。60歳以上が日本の個人金融資産の実に7割を保有しているが、彼らは買いたいモノをすでに十分持っている。家も自動車も家電も背広も手に入れた。あとは余生をほそぼそと過ごせればいいという発想で、日用品以外の余計な買い物にお金をジャンジャン使うことはない。
逆に若者の台所事情は苦しい。25〜34歳の労働者の約3割が非正規雇用である。本来やりたいことや買いたいモノはあるだろうに、この厳しい雇用状況では、その夢をかなえるのは困難だ。消費拡大の原動力を若者たちに求めるのは酷である。
異次元緩和で円安基調が続けば、海外からの輸入原料・資材の高騰により中小・零細企業は利幅をますます削るほかない。住宅は今や空き家が目立つほどで、設備投資も大幅プラスに転じることはない。企業の多くは生産拠点を海外に移しており、国内では老朽化した「昭和の施設」の補修や点検を行う程度だ。
もはや日本国内に消費を盛り上げ、経済成長を押し上げるファクターは皆無に等しいのだ。
それでもなお、黒田日銀が異次元緩和を続ければ、その弊害は強まるばかりだ。とはいえ、これをやめる気配をにおわせただけで株価は暴落する。株式市場に突っ込んだ日銀マネーや年金資金が毀損されてしまう。黒田総裁は、物価目標の「旗」を「降ろさない」のではない。もう「降ろせない」のである。
深刻なのは、八方塞がりの経済状況下の国が、日本だけとは限らないことだ。自国の伸び悩む内需の穴埋めを、若き発展途上の他国の旺盛な内需に求める。こうしたグローバル経済の時代が行き詰まりを見せつつある。かつての中国のように猛烈な勢いで成長を遂げる大国はもう出てこない。だからこそ、米国を皮切りとした量的金融緩和の波は英国や日本、EUに広がり、中国まで政策金利を過去最低水準まで引き下げるという異常事態を迎えているのだ。
この「グローバル・デフレ」の時代を生き延びるための知恵が、果たして現政権にあるのだろうか。残念ながら、期待は全く持てない。
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