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学問の基本姿勢を疑われる米国の日本歴史学者たち 慰安婦問題の「事実」に目を向けよと新進の米国人学者が猛批判
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150506-00043708-biz_jbp_j-nb
JBpress 2015/5/6 12:24 古森 義久
慰安婦問題で日本側の主張を無視し続ける米国の歴史学者たちに対して、新進の米国人学者が「事実関係を見ようとしない態度は歴史研究の基本に反している」とする厳しい非難の声を浴びせた。
慰安婦問題に関して日本を糾弾する米国学界の一枚岩にヒビを生む新しい動きとして注視される。
慰安婦問題は、安倍晋三首相の訪米でもまた影を広げることとなった。安倍首相がボストンでの講演で韓国系学生から慰安婦問題に関する質問を受けただけでなく、米国議会での演説でも、一部の議員たちから慰安婦問題での謝罪がなかったことへの非難が起きたのだ。
だが、米側の慰安婦問題についての基本認識が事実に反していることはいまや明白である。また、そのように事実を無視して日本を非難する勢力のなかで、米国の歴史学者の集団が大きな座を占めることも歴然としている。
その学者集団への批判が同じ米国人歴史学者から出たのだから、日本にとっての意味はきわめて大きいと言えよう。
■日本側の抗議を封じた米国の歴史学者たち
新進学者による今回の批判のもともとの契機となったのは、米国の大手出版社マグロウヒル社の高校生用歴史教科書の慰安婦についての誤記だった(当コラム「ワシントン・ポストに噛みついた『反日』団体幹部」」を参照)。この教科書の記述には以下の内容が含まれていた。
「慰安婦は日本軍の強制連行による20万人の性奴隷だった」
「日本軍は終戦時に証拠隠滅のため慰安婦多数を殺した」
「慰安婦は天皇から日本軍への贈り物だった」
いずれもなんの根拠もない誤記である。
日本の外務省は当然ながら2014年11月、出版社と著者に記述の訂正を求めた。しかし出版社も著者も訂正はもちろん、記述の是非を論じることさえ拒否した。
この動きに対して、米国の歴史学者たちが2015年3月、日本側の抗議は「学問や言論の自由への侵害だ」とする声明を発表したのである。
この声明は、慰安婦問題を取り上げて長年日本を糾弾してきたことで知られるコネチカット大学のアレクシス・ダデン教授が中心となり、コロンビア大学のキャロル・グラック教授や、問題記事の筆者であるハワイ大学ハーバート・ジーグラー准教授ら合計19人によって署名されていた。
ちなみにダデン教授は2000年の「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」の主催者の一員だった。昭和天皇を有罪と断じたあの模擬裁判である。ダデン氏は安倍首相への攻撃を年来続け、「悪漢」「裸の王様」などという侮蔑的な言葉を連発してきた経緯がある。
今回の声明も、日本側の主張自体を「悪」とする感情的な非難に満ちていた。そしてマグロウヒル社の教科書の慰安婦記述は正しいと宣言し、その記述に異論を呈する日本側の動きは「右翼」や「修正主義」によるものだというレッテルを貼り、言論や学問の自由への弾圧だと断ずるのだった。
■先輩の歴史学者たちの研究姿勢を批判
この米側の歴史学者19人の声明を真正面から批判したのが、米ウィスコンシン大学博士課程の日本歴史研究学者ジェーソン・モーガン氏である。「19人の学者たちこそ、慰安婦問題での事実関係を考えず、語らず、日本側の正当な抗議を意味の不明なののしり言葉のレッテルで排除している」という批判だった。
モーガン氏は37歳。学者としては新進であるが、アジアとは深く関わってきた。テネシー大学を卒業後、ハワイ大学の大学院で中国研究により修士号を得て、中国の雲南大学や日本の名古屋大学でも勉学を続けた。韓国にも在住して英語を教えた経験がある。日本で4年ほど翻訳会社を経営した後、米国のアカデミズムに戻り、ウィスコンシン大学の博士課程で日本史を専攻した。現在はフルブライト奨学金学者として早稲田大学で日本の法制史を研究し、博士論文をまとめているという。
そのモーガン氏が、先輩のダデン教授ら米国の歴史学者たちに対して、その研究の★姿勢を正面から批判したのである。慰安婦問題について日本側の事実に基づく正当な抗議にまったく答えようとせず、論点をそらし、論題から顔を背けているというのだ。
ダデン教授らの声明は米国歴史学会(AHA)機関紙の3月号に掲載された。そこでモーガン氏も非難の声明を同機関誌へ投稿した。その投稿が掲載されるかどうかはまだ不明だが、モーガン氏は4月下旬、インターネット上で自分の意見を公表した。先輩の歴史学者への挑戦というきわめて異例の公表だった。
■事実に目を向けようとしない米国の日本歴史学界
モーガン氏の見解の骨子は以下の通りである。
・ダデン教授ら19人による声明は、慰安婦に関する日本政府の事実提起の主張を言論弾圧と非難するが、その非難の根拠となる事実をまったく明示していない。この点は、学問を探求する当事者として偽善としか呼びようがない。
・声明は、日本の吉見義明氏の研究を「20万強制連行」などのほぼ唯一の論拠として言及している。だが、吉見氏も慰安婦の強制連行の証拠はないことを認めている。同声明は、日本軍による多数の慰安婦殺害や天皇の贈り物などという記述になんの根拠もないことにも触れようとしない。
・声明は、米国の研究者も年来依拠してきた吉田清治証言の虚構や朝日新聞の誤報にまったく触れていない。事実を優先すべき歴史研究で不都合な事実を意図的に無視する態度は、学問の基本倫理に違反している。
・声明は、日本側からの慰安婦問題に関する事実の提起を、「右翼」「保守」「修正主義」などという表現で片づけている。この種の用語は侮蔑的なレッテル言葉であり、実体のある意味がなく、真剣な議論を拒むための煙幕にすぎない。
・声明は、日本政府の動きを中国などの独裁国家の言論弾圧と同等に扱い、学問や言論の弾圧を恒常的に実施しているかのように描いている。だが、自分たちがその日本政府機関からの資金で日本研究を行ってきた事実を無視している。
以上の主張を表明したモーガン氏は、「米国の日本歴史学界で、この19人の明らかに錯誤している意見に誰も反対しないという状態こそ、学問の自由の重大なゆがみだと思う」と強調するのだった。
慰安婦問題で事実に基づく主張に耳を傾けようとしない米国の日本研究者の研究姿勢が、モーガン氏の反論によって改まることを期待したいところである。
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