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NHKとの受信契約がなければ受信料を払う義務はない
受信料制度は廃止してNHKは民間の有料放送にすべきだ
2015.5.5(火) 池田 信夫
NHKは、いじめやすい企業である。品行方正な公共放送ということになっているので、職員が痴漢で逮捕されただけでニュースになる。最近、問題になっている「クローズアップ現代」の「やらせ」も、ワイドショーによくある「再現ドラマ」のやり過ぎで、民放なら話題にもならないだろう。
しかし4月15日に松戸簡易裁判所の出した判決は、NHKの経営を揺るがす可能性がある。それはNHK側が受信料の支払いを求めた被告(千葉県の男性)の「受信契約をしていないので受信料を払う義務はない」という主張を認めたからだ。
受信料制度は「契約自由の原則」に違反する
事件そのものは単純だ。被告が2003年にNHKと受信契約をしたので、未払いの受信料約18万円を払えとNHKが請求したのに対し、被告は「受信契約書はNHKの担当者が勝手につくったもので、受信契約は無効だ」と主張した。裁判所は被告の主張を認め、NHKの請求を棄却したのだ。
判決では、契約書の署名は男性やその妻の筆跡と異なると指摘し、NHKは集金担当者が書いたことを認めた。この判決は単なる契約書の偽造事件ではなく、視聴者の同意しない受信契約は無効だと裁判所が認めた点が重要だ。これは「契約自由の原則」という近代社会の根本原則で、双方が合意しないと契約は成立しないという当たり前の話だ。
ところが放送法では「協会[NHK]の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定め、NHKを見ていない人にも受信契約を義務づけている。しかし受信料支払いの義務はなく、罰則もない。
この奇妙な制度が、契約自由の原則に反するという批判は強い。今までNHKは「テレビを買った時点で自動的に契約に同意したとみなす」と主張してきたが、今度の判決は契約書がないと受信契約が成立しないと判断したので、これからは集金人に「受信契約書を見せてください」といえばいい。契約書がなければ、受信料を払う義務はない。
有料放送にして民営化すれば経営的にはプラス
こういう奇妙な制度ができたのは、最初は技術的な理由だった。テレビ放送が始まった1950年代には、特定の人に電波を止めることができなかったため、テレビを買った人はすべて(NHKを見ても見なくても)受信料を払う制度にせざるをえなかったのだ。
しかし今はB-CASというシステムを使えば、受信料を払っていない人には見えなくすることができる。現にBS受信料を払っていないと、画面の左下に「NHKではBS設置のご連絡をお願いしています」というメッセージが出る。これはBS受信料を払うと消える。
同じことは地上波でもできるので、料金を払わない人にはスクランブルをかけて見えなくすればいいのだ。CAS(アクセス制御システム)というのはそのためのもので、B-CASもBSを有料放送にするためにつくられたものだ。
しかしNHKは、地上波にはB-CASを採用しなかった。その理由として「商業的になって公共性がなくなる」などというが、これは電気代を払わなかったら電気が止められ、電話代を払わなかったら電話が止められるのと同じだ。これによって電力会社やNTTの公共性が失われただろうか。
むしろ今は、受信料制度というアキレス腱があるため、予算を国会で審議することになっており、毎年2月の予算審議の時期には政治家にいじめられるため、NHKは政治家に弱い。受信料制度は、NHKの政治的中立を脅かして公共性を弱めているのだ。
有料放送にしない本当の理由は、見た人からだけ視聴料を取る仕組みにすると、NHKを見ていない人から料金を取れなくなるからだ。テレビをもっている人のうち受信料を払っている人の徴収率は、NHKの公式発表では2013年で73.4%だが、有料放送にすると民放しか見ていない人から視聴料は取れないので、徴収率は下がるだろう。
しかしNHKを見ている人からは確実に料金が取れるので、集金人はいらなくなる。今は企業や学校ではひとまとめにして受信料を取っているが、これも1台ずつ取れば収入は上がるだろう。NHKを1カ月に1度も見ない人がそうたくさんいるとは思えないので、有料放送にして完全民営化すれば、経営的にはプラスになるだろう。
報道だけでなく教育テレビも成長産業になる
問題は有料放送にすると、番組ごとに視聴者の数が分かり、業績評価がはっきりすることだ。たとえば報道局の職員は全体の5%ぐらいだが、番組の35%以上は報道局がつくっているので、CNNのような24時間ニュースにすると、「株式会社NHKニュース」は超優良企業になるだろう。
逆に困るのは、教育テレビやラジオ第2放送などの地味な番組だ。実はNHKの内部でも、報道局は有料放送に賛成なのだが、こういう「弱者」の反対で改革に踏み切れない。また民放連もNHKが民営化されると脅威なので、改革に反対してきた。
しかしインターネットでメディアが多様化した時代に、NHKだけが7波(テレビ4波・ラジオ3波)も保有して、芸能番組から教育番組までつくる必要があるだろうか。むしろ今の電波にこだわらないで、スマートフォンなどの新しい市場を狙えば、教育番組の市場は広がる。
NHKの中では教育テレビは傍流だが、出版業界ではNHKテキストはガリバー的存在だ。英語テキストだけで毎月100万部も売れており、教育テキストを合計すると、年間3000万部を超える。ブランド価値も高いので、教育テレビを民営化してネットを活用すれば、教育業界に大きなインパクトを与えるだろう。
今まで教育は、子供を集めて訓練する「学校」という制度にしばられ、コストが高く教育効果の疑わしい方式を続けてきたが、これからはIT(情報技術)を活用すれば、もっと効率的でクリエイティブな教育ができる。これから社会が高齢化する中で、老人の学習意欲は高い。
総務省は、やっとNHKの放送のインターネット同時配信を認可する方針を発表したが、これはBBC(英国放送協会)より10年遅い。これも試験的な無料サービスで、有料化の計画ははっきりしない。NHKの籾井勝人会長は「ネット視聴者からも受信料を徴収したい」と表明したが、これでは受信料は税金のようなものになり、NHKは国営放送に近づく。
逆に時代遅れの受信料制度を廃止して電波を整理し、BBCのようにインフラを売却して、NHKを民間の有料放送にすれば、世界の最先端のメディアになることができるのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43706
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