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2015年5月 4日
5月2日付の琉球新報が1面で、
「辺野古埋め立て「撤回、法的に可能」」
の見出し記事を掲載した。小見出しには
「識者、県に意見書」
とある。
安倍政権は仲井真弘多前沖縄県知事が出した埋め立て申請承認を根拠として辺野古米軍基地建設を進めている。
昨年11月の県知事選で新沖縄県知事に選出された翁長雄志氏は、
「辺野古に基地を造らせない」
ことを公約に掲げているが、埋め立て承認の撤回および取り消しを明言していない。
しかし、昨年9月10日の記者会見で、安倍晋三政権の官房長官である菅義偉氏は辺野古米軍基地建設について、次のように述べた。
「最大の関心は沖縄県が(辺野古沿岸部の)埋め立てを承認するかどうかだった。知事が承認し粛々と工事しており、もう過去の問題だ。争点にはならない」
「仲井真知事が埋め立て承認を決定した。そのことで一つの区切りがついている」
つまり、辺野古米軍基地建設を推進する最大の根拠として、「埋め立て申請承認」を挙げており、これが存在する限り、「粛々と」基地建設を推進する方針が示され続けてきた。
そして、現に、安倍政権は辺野古の海岸を破壊して、米軍基地建設を進捗させているのである。
「辺野古に基地を造らせない」
という公約を守るために、翁長雄志氏が取るべき行動は、
「埋め立て承認の撤回」
であり、
「埋め立て承認の取り消し」
である。
実効性・即効性がある唯一の方策が埋め立て承認の撤回および取り消しなのである。
県知事選は辺野古米軍基地建設の是非を争点に実施された。
翁長氏が大差で当選したことは、沖縄県民の総意が、
「辺野古に基地を造らせない」
ことにあることを示したものである。
翁長雄志氏は、この知事選の結果を根拠に、埋め立て承認の撤回に踏み切ることができる。
その上で、検証委員会の報告を待って、埋め立て承認の取り消しを行うべきなのだ。
ところが、翁長雄志氏は、この有効性と即効性のある対応を示さない。
また、翁長氏を支持した政治勢力も、真剣に翁長氏に埋め立て承認の撤回および取り消しを迫っていない。
まったく気魄と決意が感じられないのである。
琉球新報が5月2日付紙面で伝えたのは、
沖縄県内の弁護士や行政法研究者らでつくる「撤回問題法的検討会」が、5月1日に沖縄県海岸防災課を訪れ、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題に関して、
「仲井真弘多前知事による埋め立て承認は法的に撤回可能だ」
との見解をまとめた意見書を提出したことである。
この判断は、知事選の最中から明示されてきたものである。
埋め立て承認取り消しに進む前に、まず、埋め立て承認を撤回する。
これによって、辺野古米軍基地建設をストップさせるのである。
国は法廷闘争に持ち込むと予想されるが、知事権限で埋め立て承認を撤回することにより、辺野古米軍基地建設をまずはストップさせることが可能になると考えられるのである。
検討会のメンバーは沖縄弁護士会の新垣勉、高木吉朗、喜多自然の各弁護士および沖縄大学の仲地博教授、琉球大学の徳田博人教授。
学説や判例を基に、意見書をまとめた。
意見書は、
公有水面埋立法に基づく埋め立て承認に関する県知事の権限の中に、無制限ではないものの承認の取り消しと撤回が含まれる
と指摘。
その上で、埋め立て申請者である国が撤回により受ける不利益を上回る公益上の必要性がある場合は撤回できるとした。
問題になるのは、
「撤回により受ける国の不利益」
である。
撤回および取り消しを行なわずに、辺野古米軍基地建設の進捗を容認すれば、撤回の時点における「国の不利益」が拡大する。
過去の判例には、このことを根拠に撤回を認めないというものがある。
翁長氏が速やかに埋め立て承認の撤回および取り消しに動かないのは、埋め立て承認の撤回および取り消しが司法判断により否定される状況を生み出すためであるとのうがった見方さえ生まれている。
「辺野古に基地を造らせない」
ことを求めるすべての人々が、翁長氏に毅然たる行動を求めるべきである。
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