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J-CASTニュース 5月4日(月)17時30分配信
老人の5人に1人が認知症になっている! そんな10年後に備え「国家戦略」が決まった
現実は一筋縄ではいかない
認知症の人への支援を強化する政府の初の「国家戦略」が決まった。「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年までを対象期間にしており、認知症の人や家族の視点をこれまで以上に重視し、若年性認知症への支援も強めることなどを柱に、関係省庁が連携して対策に取り組むという。
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ただ、今後の大枠の方針を示したもので、遅れている家族への支援策など、現場の実態に合った実効性ある施策を具体的にどう打ち出していくか、注視していく必要がある。
■サポーターを増やす
厚生労働省の研究班の推計によると、全国の認知症の人の数は、2025年に最大で約730万人、65歳以上の5人に1人に達する。2012年時点では約462万人(65歳以上の7人に1人=厚労省の別の推計)だから、13年間で約1.5倍に増加することになる。
こうした深刻な見通しを受けて2015年1月末に決定されたのが今回の国家戦略で、正式名称は「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」。厚労省は2013年度に「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」をスタートさせたが、医療・介護が中心で、介護が不要な認知症初期段階の人の支援や、暮らし全般のサポートが乏しいことが指摘されていたことから、新プランとして策定し直した。
国家戦略はまず、基本的考え方として「認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」を掲げた。そのうえで、(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発、(2)容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供、(3)若年性認知症施策の強化、(4)介護者への支援、(5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくり、(6)予防法、治療法など研究開発およびその成果の普及、(7)認知症の人や家族の視点の重視――を「七つの柱」として示し、初期段階の認知症の人、家族から生活上必要となることを十分に聞き、施策に生かすことも打ち出した。
具体的な施策として、まず認知症への社会の理解を深めるとして、認知症サポーターの養成に力を入れ、「オレンジプラン」で掲げていた養成目標数(2017年度末)を600万人から800万人に引き上げた。
医療・介護では、診療体制を整えるため、2017年度までに認知症の早期診断に必要な研修をかかりつけ医約6万人が受講する計画を提示。歯科医や薬剤師など幅広い医療従事者にも症状に気付くための研修を実施。医療・介護の専門職らが訪問支援する「認知症初期集中支援チーム」(2014年度は41市町村で実施)は、2018年度から全市町村での実施を目指すとした。
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マスコミも好意的
65歳未満で発症する若年性認知症(2009年公表の調査で推計約3万8000人)対策では、働き盛りの世代という高齢期とは違った生活課題があることを重視。本人や家族の専用相談窓口を2017年度末までに全都道府県に設け、支援団体と本人をつなぐ調整役を配置。周囲との交流や就労など社会参加を支援するとした。
介護者支援では、介護ロボットや歩行支援機などの開発支援も盛り込んだ。
地域ぐるみの取り組みとして、認知症で行方不明になる人の発見や保護のため、警察や住民が一体となった見守り体制を全国で整え、交通事故を防ぐ訪問指導や、詐欺などの被害に遭わないための相談体制も設けることを打ち出したほか、認知症になっても生きがいを持って暮らせるよう、就労継続のための支援、ボランティア活動など社会参加のための支援の強化も盛り込んだ。
国家戦略に、認知症家族団体関係者などから「国家戦略と位置付けたことに意義がある」「当事者の声を重視するという姿勢は評価する」など歓迎の声が出ている。日頃、政府の施策になにかと注文を付けるマスコミも、概して好意的な論調が目立つ。ただ、あくまで国家戦略は大枠の方向性を示すもので、具体化はこれからの課題になるため、「総論賛成で、まだケチをつけにくい」(全国紙記者)という面もある。
ある霞が関関係者は「早期発見が重要な一方、認知症だと知ることで本人や家族が絶望し、最悪の場合、鬱になってしまうなど、現実は一筋縄ではいかない。国家戦略の掛け声はいいが、2015年度から介護報酬が引き下げられ、家族への負担が重くなる懸念も根強いなど、財政状況が厳しい中で、個々の実情に合った対応をしていくのは簡単ではない」と指摘している。
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最終更新:5月4日(月)17時30分J-CASTニュース
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