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【 露骨な干渉、圧力、そして威圧。ニュースメディアの大政翼賛化を強行する安倍政権 】《前篇》
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2015年5月3日 星の金貨プロジェクト
統制と管理が行き届いた日本のメディアを震撼させた、予想外の抗議「 I’m NOT Abe !」
報道機関・ニュース解説者に対する前代未聞の攻撃、ジャーナリストへの露骨な報復を行う安倍政権
報道機関の口を封じ、一般国民が反対する憲法改定・原発再稼働を実行しやすい環境を作る安倍政権
マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 4月26日
それは統制と管理が行き届いた日本のメディアを震撼させた、予想外の抗議でした。
レギュラーテレビ解説者であり、規制の権力に対して厳しい批判を繰り返してきた古賀茂明氏は、夜の生放送のニュース番組の中で予め打ち合わせが済んでいた予定原稿から急に逸れた発言をしました。
全国放送のテレビネットワークの経営陣が政治的圧力に屈し、今日を限りに古賀氏を降板させることが決定したと語ったのです。
「私はこれまでずっと、首相官邸からの攻撃にさらされてきました。」
古賀氏は前月末、明らかに仰天した様子の番組のホストに向かい、安倍首相を厳しく批判する論評を行ったために、ニュース解説者の地位を奪われることになったと語ったのです。
番組の後半で古賀氏は「 I’m NOT Abe !(私はアベじゃない!)」と書かれたサインを掲げました。
これは1月フランスの風刺新聞社のシャルリー・エブドがテロリストに衝撃された際、ジャーナリストたちが連帯を表すために掲げたサイン、「 Je suis Charlie(I am Charlie – 私はシャルリー)」をもじったものです。
そして厳しい表情のまま、数百万人の視聴者の眼前でテレビ解説者としてのキャリアを自ら投げ打った古賀氏の爆弾発言は、彼自身の問題にとどまらない大きな波紋を広げる結果となりました。
そして古賀氏の怒りに満ちた発言は、政変批判報道を封じ込めようとニュースメディアに強い圧力をかけ続ける、安部右翼タカ派政権の姿勢を浮かび上がらせることになったのです。
多くのジャーナリスト、そして政治評論家が、安倍政権はニュースメディアとの間の勢力均衡の基盤を壊し、政権側に一方的に有利になる体制を作り上げようとしていると、批判を強めています。
批判的報道を沈黙させるためこれまでの政権担当者が用い、その結果ジャーナリストの自由な活動を阻むことになった手段のすべてを使い、安倍政権は徹底して圧力を強めています。
具体的には、安倍政権に批判的な姿勢を取る報道機関の経営陣や古賀氏のようなニュース解説者に対する過去に例がない攻撃、そして独立した立場で活動するジャーナリストに対する露骨な報復などが行なわれました。
これとは対照的に、安倍首相は同政権に好意的なメディアの経営者や著名なジャーナリストに寿司を振る舞う昼食会を開催するなどして、彼らの歓心を得る工作も行っています。
さらに4月末に一週間の米国への公式訪問を行った安倍首相は、全国放送の公共放送NHKに新しい会長を据えました。
この会長は公の席で、今後NHKは政権の意に沿った報道を行うと断言したのです。
安倍政権のメンバーは、主要な放送局が事実を歪曲する報道を行ってはならないとする放送法を盾に、政権の意に逆らう放送局に対しては放送許可を取り消す可能性がある事すら公然とほのめかしました。
安倍首相が進める戦後の平和主義体制の解体、そして第二次世界大戦(太平洋戦争)中の日本の体制や行動に対しもっと肯定的評価を行うべきであるとする保守タカ派のキャンペーン、こうした安倍首相の強硬姿勢は、日本の報道を委縮させる効果を発揮しました。
専門家は報道機関の口を封じることにより、日本政府は一般国民が反対する政策をより実行しやすい環境を作ることになると警告しています。
日本国憲法の書き換え、そして窮境に陥っている日本の原子力産業界を再び大規模に稼働させる政策などです。
尊敬を集めるジャーナリストで元ニューズウィーク・ジャパンの元編集長の竹田圭吾氏が次のように語りました。
「安倍政権はジャーナリズムに対し、パラノイア(偏執症、パラノイア、妄想症、偏執病)的な姿勢で止むことの無い執着を見せています。」
「特定の新聞とテレビ番組について細部にまで、そしてこれ程まで管理・コントロールしようとする政権を私はこれまで見たことがありません。」
首相官邸の官僚たちは報道の自由に対する干渉を否定していますが、多くのジャーナリスト、ニュース解説者、そしてメディアの専門家たちはすでに多くの報道機関が安倍政権に対し、ペンを曲げてしまったと語っています。
かつては政権批判に前向きに取り組み、古賀氏のような解説者が出演していた報道ステーションのような番組ですら、現在は政府や政権与党の怒りを買うことの無いよう、内部での検閲を行い、批判的な表現を削除していると、彼らが語っています。
さらにアメリカ合衆国のような他の民主主義国家において権力側の常とう手段として用いられるやり方に屈し、放送局やメディアが戦うことなく『転向』してしまっている現状にも批判が集まっています。
〈 後篇に続く 〉
http://www.nytimes.com/2015/04/27/world/asia/in-japan-bid-to-stifle-media-is-working.html?ref=topics&_r=1
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