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2015/05/01 04:52
安倍首相が国会に提出もされていない、ましてや主権者たる国民に説明も周知もされてもいない「安保法制改正」をこの夏までに仕上げて、それが仕上がったとの前提で米国との新ガイドラインを話し合って来たことを米国議会上下議員総会で宣言した。日本の民主主義を徹底的に形骸化した安倍首相の愚挙に対して、最も熾烈に存在を否定された国会議員はさぞかし国家に陸続と参集してそれぞれの党が議員総会を開いて紛糾しているかと思ったらテレビ取材で枝野民主党幹事長がオダを上げただけだった。
<民主党・枝野幹事長:「これから国会で議論する、しかも法案も提出されていないことを他国の議会で約束をしてくるというのは、まさに国家の代表として、あるまじき発言だ」>(<>内「ANN」より引用)
そしてこの国の言論界も国会手続きや国民への周知を経ずして、それを前提とした日米ガイドラインを早くも話し合ったことに対する危機感なき対応には驚く。この国は基本の部分ですっかり骨抜きになっているようだ。
自公与党が衆参両院で圧倒的多数を牛耳っているからといって、与党議員も安倍首相が何をやっても自分たちが「安保法制改正案」を成立させるから良い、と思っているとしたら大馬鹿者たちだ。政府はあくまでも行政の長であって、国権の最高機関・国会の立法権までも恣にしているわけではない。あくまでも政権は国会を構成する「与党」より選出された内閣が取り仕切っているに過ぎず、国会の上に君臨しているのではない。
結果は安倍首相がべ゜異国議会で発言した通りになるから憤怒の文章を書き散らしても仕方ないではないか、と冷ややかに読者までもが考えているとしたら大間違いだ。
主権者たる国民がその主権を託したのは国会議員だ。安倍政権を直接国民が選んで国権のすべてを託したわけではない。つまり日本は「議院内閣制」であって、米国などのような「大統領制」ではない。それなら安倍政権は国会に対して真摯であるべきだ。そして国会議員は国会で説明を受けた法案を国民に説明すべく各種委員会や公聴会等を通じて問題点やこの国の行く末を明らかにすべきだ。それが権能を付託された者が付託した者に対する最低限の誠意だ。
最低限の誠意すら示さず、国会議員がゴールデンウィークに浮かれて外遊や帰省して挨拶廻りしているとしたら本末転倒だ。そして言論界もまた法制の手続きを経ずして米国議会で軽率にも成立時期を予測しつつ、成立したモノとして米国との軍事同盟を謳いあげる愚行に対して賛辞こそすれ徹底した批判を展開しないとは何のための「報道の自由」だろうか。
慰安婦発言があったかなかったか、反省はあったが「謝罪」はなかった、「侵略」や「植民地」といった言葉はなかった、などと世界でも日本だけに戦争責任があるかのような論調に終始するGHQ洗脳脳でいつまで言論を続けるつもりだろうか。
読売新聞に到っては4/30付の社説で安倍氏の「快挙」だと米国議会上下議員集会での演説に欣喜雀躍で足の踏み場もないほどの大喜びを書き散らしている。一体どの国の新聞社かと読売新聞社の論説委員諸氏の見識を疑う。
それは安倍氏の目指す日本の「好戦国化」に対する読売新聞の傾倒ぶりを批判しているのではない、それ以前の言論人として当然持ち合わせるべき批判眼が喪失している「思考停止」に対する批判だ。米国隷属こそが正しいという思考停止は戦前の軍部・戦線拡大こそが国是だと国民を戦争へと煽った大本営機関紙だった当時と何処が異なるというのだろうか。
この国は危険な曲がり角に到っている。そのことに対する危機感は与野党の別なく国会議員全員が共有すべき嗅覚ではないだろうか。国民から負託されたのは高額な歳費や100万円にのぼる文書交通費を受領するための特権ではなく、国会で国民に成り代わって法案を議論し決する権能ではなかっただろうか。それを安倍首相が飛び越えて国会の議決を経ない法制に基づいて日米ガイドラインを話し合ったことに対して、紛糾しない永田町は歳費泥棒の集団だと国民から批判されても仕方ないだろう。もちろん、与党議員も安倍首相の暴走に苦言を呈さないでは国会議員の資格はない。
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