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2015年04月29日
安倍訪米で沸き返る日本のテレビ局。ネパール地震の惨状報道も、力が入る。それなりにニュースバリューがあるのも事実なので、まあ、特にケチをつけるほどではない。しかし、数日前までは「ドローン騒動」で沸き返っていたわけだが、今となっては遠い昔の出来事のようである。しかし、この「ドローン騒動」に違和感を持つ人も多いものと思われるので、筆者の感想と推理を書いておこう。
まず印象に残ることは、山本泰雄容疑者(40)が自首してきた時の服装である。あきらかに上下迷彩服模様だった点に違和感があった。次に、取り調べかなにかで、その次にニュース等で写された容疑者の風貌である。ネトウヨの書き込みを読んでみると、「まさに極左の顔だ」「日本赤軍」「ヤクザ」「オウム顔だ」「共産支持者の顔」‥等だが、筆者の感覚では街宣車に乗っている紺の上下を着ている人っぽく見える。
人間は見かけで判断してはいけません、と言われても、感覚的な印象だけは如何ともし難い。無論、外見の印象が、右翼っぽいから、容疑者が右翼だという事はまったく言えない。ただ、犯行動機を、「反原発だから」と云う発言を殊更に強調して語っている事には首をかしげる。福井現地でも、東京の反原発運動をしている人々の中で。容疑者が反原発運動をしていたと証言する人は一人もいないのも不思議だ。
あっさりと自首して出てくるほど、重大な犯罪でもなく、日本の司法裁判においても、実刑を喰らう可能性は殆どゼロである。≪威力業務妨害とは、威力を用いて人の業務を妨害すること。この場合の「威力」とは、直接的、有形的な方法であり、具体的な暴力その他よりも軽微と言える文書・インターネットなどによる犯罪予告も含まれる。また「業務」の範囲については、権力的公務は業務に含まれないとするのが一般的。刑法第234条が禁じており、違反した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。公訴時効期間は3年。≫(知恵蔵MINI)
筆者が不思議に思うのは刑罰的に重くもない犯罪の疑いだけなのに、捜査が自分近づいている状況でもないのに、のこのこ自首してきたのも不自然だ。また、40歳の無職にしては、何処でドローン関連機器購入費や福島、鹿児島、東京の移動宿泊費等々、それなりの金額になるだろうが、その資金の出処は、どこなのだろう。まあ、愉快犯の可能性もあるのだが、愉快犯であるのなら、捜査関係者を、もっとおちょくった行動があって然るべきだ。唐突に「反原発」という動機の供述に、ああそうだったのか、と納得させれられる経緯が存在しない。毎日新聞が幾分疑問も交えて以下のように報じている。
≪ 官邸ドローン:容疑者、自衛官など職転々 原発口にせず
首相官邸に小型無人機「ドローン」を落下させた威力業務妨害事件で、警視庁公安部に逮捕された福井県小浜市の無職、山本泰雄容疑者(40)は高校卒 業後、航空自衛官や警備会社、キノコ栽培、部品メーカーなど職を転々としていた。関西電力大飯原発の近くに住み、高校の同級生が関電美浜原発での事故で死亡するなど原発問題は身近だったが、容疑者と交流のあった同級生の一人は、「原発問題を話題にする姿を見たことがない」と事件に驚いている。
同級生は中学時代の山本容疑者を「明るくておもろいやつだった」と話す。「死ぬまでに(新聞の)1面を飾れるようなことをしたい」と冗談交じりに周囲に話していたようだ。1年ほど前にはJR小浜駅前の飲食店で数回出くわし、一緒に飲みに来た仲間4、5人を「会社の人や」と紹介された。そのころは県内の部品メーカーで働いていたという。
一方、美浜原発で2004年、配管が破断し蒸気や熱水が噴き出す事故があり、山本容疑者の高校の同級生だった男性(当時29歳)を含む作業員5人が死亡した。山本容疑者は自身のブログで原発再稼働の方針に不満を記していたが、この事故への言及はなかった。
山本容疑者は昨夏ごろ仕事をやめた。事件の計画や経緯を詳述したブログには「退職してからずっと大きな迷いの中」と書き込んだり、一連の行動を「終活の一環で動いている」と記したりしていて、不安定な様子を見せている。
高校時代の同級生の男性は、約10年前まで山本容疑者と親交があった。物事を突き詰めるタイプで、こだわりが強かったが、原発の話題を口にしたことはなかったといい、男性は「何で反原発を言い出したのか不思議でならない」と首をかしげた。反原発運動に詳しい地元市議も「運動に関わっている人ではなく、知らない」と話した。 ≫(毎日新聞:松野和生、田中将隆、近藤諭)
「官邸や国会上空、ドローン禁止…議員立法骨子案」(読売)なんてものは、なにも、このような騒動を起こさなくても、簡単に通過しそうな法案だから、こちらに関する「ヤラセ」という疑問は、排除して良いだろう。それよりも、容疑者の家宅捜索で見つかった本の数々の中に、「原発の倫理学」(古賀茂明)、「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」(矢部宏治)、「原発ホワイトアウト」「東京ブラックアウト」(若杉冽)、「原発のウソ」(小出裕章)、「官邸崩壊」(上杉隆)‥等が押収されたらしいが、様々な面から、安倍官邸に「異議申し立て」をしている論客が並ぶ。
*“ホラやっぱり、反原発、反自民じゃないか”と云う印象がベタな証拠として並べられるが、あまりにも単純でこれ見よがしで、そのまま受け止めることは知性が邪魔をする(笑)。このドローン事件の陰で、コソコソと経産省の30年度べスミックスにおいて、原発再稼働と廃炉40年を60年に延ばせる有識者会議の結論が出された。また、同じく経産省は、“原発がやっぱり一番安い電源なのである”と云う資料を、この有識者会議の面々に配ったそうだ。この忌々しき「原発村」の復権状況が小さな扱いにされてしまったのは、このドローン事件の報道が役立ったのは事実だろう。このドローン事件で、結果論だとしても、原発推進勢力が得をしたのは間違いがない。
≪ 原発依存度、最大22%=大幅減見送り−30年度電源構成
経済産業省は28日、有識者で構成する長期エネルギー需給見通し小委員会に、2030年度の最適な電源構成(ベストミックス)の原案を提示した。焦点の原 発依存度は20〜22%。東日本大震災前の10年度実績の28.6%から低下するが、運転コストが安い原発は電力の安定供給に欠かせないと判断し、大幅な 比率低減は見送る。
太陽光や水力などの再生可能エネルギーは22〜24%と13年度実績の10.7%から倍増し、原発を上回る。内訳は太陽光が 7.0%、水力が最大9.2%など。原発を代替している火力発電の比率は、地球温暖化への対応なども考慮し、13年度実績の88.4%から50%強に低下 させる。火力発電の燃料別では、液化天然ガス(LNG)27%、石炭26%、石油3%とした。
電源構成は政府のエネルギー政策の方向性を示し、電力会社の事業計画の目安となる。政府は5月中にも正式な電源構成を決定する。 ≫(時事通信)
≪ 発電コスト:原発「最も安価な電源」 2030年、事故リスク低下想定
経産省試算 経済産業省は27日、2030年の原発や火力発電など電源ごとの発電コストの試算を有識者委員会に示した。原発の発電コストは、 東京電力福島第1原発事故後の安全対策費の増加を反映し1キロワット時あたり「10・1円以上」と算定、11年の前回政府試算の「8・9円以上」から約1 割上昇した。ただ、石炭や天然ガス火力も燃料調達価格の値上がりを見込んだ結果、前回試算よりコストが上昇。「原発の発電コストはほかの電源を下回る」として、経産省は原発を「もっとも安価な電源」と結論づけた。ただ、前提となる事故の確率を疑問視する声もあり、議論を呼びそうだ。
試算結果は30年の電源ごとの総発電量に占める割合を示す電源構成(エネルギーミックス)策定の参考にする。発電コストは、建設費や燃料費など発電に必要なコストと運転期間中の総発電量から算出した。
福島原発事故の廃炉や賠償の費用増加を反映し、原発では事故対応費を5・8兆円から9・1兆円に増額。一方、安全対策の強化で、原発の過酷事故発 生の確率は、前回試算の「50基のうち1基が40年に1回」から「80年に1回」相当に低下すると想定、1基当たりの毎年の費用負担は減少する形になっ た。また、原発の安全対策費用は、原子力規制委員会の新規制基準への対応状況を踏まえ、前回試算の1基194億円から601億円に増額。その結果、原発の発電コストは1・2円上昇した。ただし、福島原発事故の対応費用が今後1兆円増加するごとに、発電コストは0・04円上昇するため、「10・1円以上」として上限は算定しなかった。有識者委からは「原発事故リスクは民間企業が負えるものではない。原発のコストが小さくみえる懸念がある」との批判も出た。
一方、火力発電は、燃料相場の上昇や円安を想定した結果、石炭火力は10・3円から12・9円、天然ガス火力は10・9円から13・4円に上昇し た。太陽光や風力など再生可能エネルギーは、12年に導入された固定価格買い取り制度の買い取り価格を反映した結果、最も安価なケースでも、住宅用太陽光 が前回の9・9円から12・5円、陸上風力は8・8円から13・9円に上昇した。 ≫(毎日新聞:中井正裕)
「ドローン事件」は山本泰雄容疑者(40)の自首と自白と押収証拠等々から、完璧に容疑者の犯行ではあるが、福島原発事故以降、3年も経ってから、「にわか反原発派」になった点とか、たいした罪でもなく、追詰められていたわけでもなく、かなりの資金を必要とした行動を取ったにも拘らず、ここまで鯔背に(いなせに)自首するのは不自然だろう。目立ちたがりだとしたら、もっと警察、公安、政府を悩ます方が目立つわけで、いかにも中途半端だ。本棚に並べてあった本も、如何にも反原発、反官邸的で胡散臭い。おそらく、被害が皆無に近かった事から、有罪になっても、執行猶予がつくだろう。起訴猶予の可能性もある。
また、官邸のドローンが落ちたというか、着地した官邸の屋上は、あの官邸が建築されてから、何度となく政府要人がヘリコプターで乗り降りしたところであり、監視カメラがなかったと云う情報になっているが、筆者は、監視カメラがないわけはないと考えている。町中に監視カメラが溢れているのだ、官邸の屋上に監視カメラがない方が不自然だ。おそらく、在ってもない事にすると云うチンケな国家機密と考えるべきだ。官邸警備が間抜けなのではなく、秘密だから言いたくないと云う事だろう。まあ、ドローンに容疑者が乗っていたわけではないので、犯人の映像は写っていないのはたしかだが(笑)。まあ、この容疑者を数年ウォッチングすれば、贅沢三昧で馬脚が現れるか、消されるか、筆者の推理は、そこに至るが果たして真実はどう云うものなのだろう?
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