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2015年04月28日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆米国の大手格付け会社の「フィッチ・レーティングス」(ニューヨーク、ロンドンを本拠地とし、世界各地に50の拠点を有する)は4月27日、日本国債の信用度を示す格付けを上から5番目の「A+」から6番目の「A」に1段階引き下げたと発表した。理由は、政府が消費税率の10%への引き上げを延期し、法人税の段階的な引き下げを決めたことなどから、財政健全化に向けた取り組みに不透明さが高まり、十分な措置が取られていないなどだ。「フィッチ・レーティングス」が日本国債の格付けを引き下げたのは、2012年5月以来である。
米国大手格付け会社の「ムーディーズ」(本社・ニューヨーク)も2014年12月、それまでの格付けを1段階引き下げ上から5番目の「A1」にしている。
◆日本銀行は、2013年度の「資金循環統計」を以下のように発表している。
2014年3月末の国債等残高は998兆円。
保有者の内訳は、金融仲介機関587兆円(構成比58.8%)、一般政府・公的金融機関88兆円(8.9%)、中央銀行201兆円(20.1%)、国外84兆円(8.4%)、家系21兆円(2.1%)、その他17兆円(1.7%)。
日本銀行の日本国債保有残高201兆円は2014年3月末時点で過去最高を更新。保有者に占める日銀の割合は20.1%で最大の保有者となったという。
財務省は2014年5月9日、国債や借入金を合わせた「国の借金」が2013年度末で過去最大の1024兆9568億円となったと発表。「国の借金」のうち、国債は853兆7636億円。
なお、財政法第5条は、原則として日本銀行が直接日本国債を購入することを禁止している。但し書きで国会の議決があれば可能であると規定。戦前戦後の公債日銀引き受けによって通貨の膨張的増加を通じ激しいインフレーションを生じた反省からきているという。
日本銀行が過去に市中から買った日本国債が満期を迎えた際に新しく発行された借換債(日銀乗換)に切り替えるという形で、日本銀行による日本国債の直接引き受けは国会の議決の範囲内で毎年行われている。これは国債の借換(日銀乗換)であれば、総額は変わらず、禁止された通貨膨張に該当しないためだ。
日本国で紙幣を増刷する官庁は、切手や政府刊行物等の印刷も行う独立行政法人国立印刷局であり(独立行政法人国立印刷局法第11条第1項第1号)、日本銀行ではない。財務大臣が定める計画に従った枚数を増刷している(独立行政法人国立印刷局法第12条)。
◆主要国からなるバーゼル銀行監督委員会は、国債の金利が突然上昇(価格は下落)して損失が出ても経営に影響が出ないようにする新規制、すなわち、銀行が持つ国債や住宅ローン債権などの資産価格が下がるリスクの計測精緻化を図るのが目的。2016年にもまとめるという。銀行が持つ国債に新たな国際規制を設け、銀行の国債「リスク資産化」を図る。すなわち、主要国からなるバーゼル銀行監督委員会は、国債の金利が突然上昇(価格は下落)して損失が出ても経営に影響が出ないようにする新規制を、2016年にもまとめる。この方針決定は、日米の銀行や政府財政などに大きな打撃を与える可能性がある。
金融機関の国際ルールであるバーゼル規制の見直しの一環である。国債、住宅ローンだけでなく長期の企業向け融資。適用は19年以降となる。銀行は前倒しで国債の売却などを検討するとみられ、金融市場や住宅販売などに影響が出る可能性がある。
政府の経済財政諮問会議が2月12日に開かれた際、内閣府は資料「中長期の経済財政に関する試算」を提出した。試算はアベノミクスが成功する「経済再生ケース」と成長率が現状維持の「ベースラインケース」の2つのシナリオで各種の経済指標を予測したものだった。ところが、経済再生ケースの場合、2014年に0.4%だった長期金利(国債利回り)が10年後の2023年には4.6%まで上がると見込まれ、国の借金は2015年度末には1035兆円に達する見込み。金利0.4%なら単純計算で利払いは年間4兆円で済むけれど、金利が4.6%になると年間約48兆円にアップする。国は税収(2014年度約51兆円)のほぼすべてを借金の利払いに回さなければならなくなる。
黒田東彦総裁は2月、「長期金利4.6%」試算が提出された経済財政諮問会議の席上、国債暴落・金利急騰の危機を懸念する発言をしていた。この発言は、意図的に削除されていたという。しかし、市場では、これが現実化して、日本経済に悪影響を及ぼす結果になることを見逃してはならない。安倍晋三首相は、政権維持を最優先するあまり、このトップ情報を握りつぶしている。「アベノミクス危うし」ということだ
【参考引用】
NHKNEWSwebは4月27日午後7時14分、「大手格付け会社 日本国債を格下げ」というタイトルをつけて、以下のように配信した。
大手格付け会社の「フィッチ・レーティングス」は27日、財政健全化に向けた十分な措置が取られていないなどとして、日本国債の信用度を示す格付けを上から6番目の「A」に1段階引き下げたことを発表しました。発表によりますと、「フィッチ・レーティングス」は日本国債の信用度を示す格付けを上から5番目の「A+」から6番目の「A」に1段階引き下げました。会社側は理由について、政府が消費税率の10%への引き上げを延期する一方で、法人税の段階的な引き下げを決めたことなどから、財政健全化に向けた取り組みに不透明さが高まったためなどとしています。
フィッチが日本国債の格付けを引き下げたのは平成24年5月以来で、今後の格付けの見通しは、「安定的」だとしています。日本国債の格付けを巡っては、大手格付け会社の「ムーディーズ」も去年12月、それまでの格付けを1段階引き下げ上から5番目の「A1」にすると発表しています。
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