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◇民間企業に負担 重要情報守れるのか/既に導入の米韓 なりすまし、悪用横行
「マイナンバーって知ってる?」「もちろん!」。女優の上戸彩さんとPRキャラ「マイナちゃん」がやりとりするCMを目にした人も多かろう。秋には全国民に12桁の番号が届き、来年1月から本格運用が始まるマイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度。とにかく「便利になる」そうだが、うまい話には裏がある。本当に「知りたい」のはリスクだ。
ジャーナリストの斎藤貴男さんは最近、ある「体験」をした。「フリーで仕事をしていると、原稿料などを頂くときは発注元の会社に銀行口座を伝えるのですが、ある会社の担当者から『来年からは、マイナンバーも教えてもらうことになる』と言われたんです。制度が始まると、会社が作成する支払い調書に記載する必要があるから、と」
「監視」を強める社会に警鐘を鳴らし続けてきた斎藤さん。何が引っ掛かるのか。
「私の場合、年に50〜100件もの相手にマイナンバーを教えることになる。非正規社員やアルバイトの人たちのように、あちこちから仕事をもらう人もそうでしょう。これはもう、どこから番号が漏れてもおかしくない。プライバシーの危機ですよ」
ここで制度の概要を振り返っておこう。マイナンバーとは、住民票を持つ全ての国民(中長期的に日本に滞在する外国人を含む)に割り振られる12桁の番号だ。10月以降、「通知カード」が住所地に郵送される。当面は社会保障、税、災害対策の3分野、計約100の事務で使われることになっている。個々の行政機関がばらばらに管理していた情報が同一人物のものと確認できるので、サービスが効率化できるメリットがある。国民にとっては各種手続きでの添付書類が少なくなる。例えば、児童手当を受けるため毎年自治体に提出する「現況届」。番号があれば、健康保険証や年金手帳の写しを添付しなくてもいい。
一方、民間企業は税務署に提出する源泉徴収票や支払い調書にマイナンバーを記載することが求められる。冒頭の斎藤さんのケースはまさにこれだ。国は、より正確に所得を把握でき、社会保障や税の負担の公平化が図れるとする。
マイナンバーの使途はさらに広がる見込みだ。今国会では23日、預貯金口座、健康診断情報、予防接種履歴などとの結びつけを可能にする法改正案が審議入りした。戸籍や自動車登録事務への活用も議論され、2月に開かれた産業競争力会議のワーキンググループでは、政府側の出席者が「誰もがかかわることになる死亡や引っ越しについて、完全にワンストップにするためには、何が必要になるのかというアプローチでやっていきたい」と発言している。
近い将来、こんな世界が実現するかもしれない。
<時は20××年。Aさんはマイナンバーを記載した写真付きの「個人番号カード」(別項参照)を、肌身離さず持ち歩いている。何しろこれ1枚あれば、保険証にもなるし、専用サイトを使って自分の健康情報をたどることもできる。引っ越しの際にも面倒な書類の書き込みはせずに済み、電気、ガス、水道はそれぞれの会社が手続きを進めてくれるから、いちいち連絡する必要がない。煩わしい手続きは一切なくなった!>
しかし−−。
「そうして便利になればなるほど、リスクも増していくと考えてください」。日弁連の情報問題対策委員長を務める坂本団(まどか)弁護士はそう警告する。どういうことなのか。
坂本さんは、2002年に導入された「住民基本台帳ネットワークシステム」と比較しながら説明する。「住基ネットでは国民に11桁の番号が振られ、住所、氏名、性別、生年月日、変更履歴と合わせて6情報が自治体を結ぶネットワーク上で共有されています。一方、マイナンバーは所得や年金、雇用保険の給付状況など、重要な情報が多く加わり、さらに民間の事業者も扱うので、セキュリティーを確保すべき範囲が格段に広がるのです」
セキュリティーというとハッキング対策を思い浮かべるが、それだけではない。「例えば、大企業なら管理用システムを導入して適切に扱えるかもしれません。でも、従業員数人で専従の担当者さえいないような小さな事業者の全てが、マイナンバーの重要性を理解し、きちんと扱えると言い切れるでしょうか」と坂本さんは疑問視する。
番号の漏えいは、芋づる式に個人情報が引き出される可能性を生み、「なりすまし」犯罪につながる。
<再び20××年。Bさんは、新たに制度が設けられた社会保障給付を受けようと、地元の役所に赴いた。だが、窓口の職員の返事は意外なものだった。「あなたには、もう給付済みですよ」。そんなはずはないと主張したが、記録上は確かに給付を受け取っている。一体、誰が……>
<Cさんが地元の市長選に投票しようとしたら、公民権が停止されていることが分かった。驚いて調べると、Cさんは窃盗の罪で懲役×年の判決を受け、今まさに服役していることになっていた……>
いずれも悪夢のシミュレーションだが、米国や韓国など類似の制度を導入している国では「なりすまし」が横行。「給付金を他人が受け取っていた」「犯罪者が他人の番号を名乗っていた」は実際に米国で起きた事例だ。坂本さんによると、米国では06〜08年の3年間だけで社会保障番号悪用による1000万件以上の被害があり、損害額は1兆円を超えるとの統計もある。
こうした懸念に、内閣官房社会保障改革担当室は「米国などでのなりすましは、番号のみで本人確認を行ったことなどが原因と考えられ、写真付きの個人番号カードや、通知書と免許証などの組み合わせで厳格な本人確認をする日本の制度では同様の事態にはならない」と反論する。さらに、行政機関間のやりとりの暗号化や、法令違反への勧告・命令、苦情の受け付けなどを行う第三者機関「特定個人情報保護委員会」(今国会に規模拡大などを盛り込んだ法改正案を提出)の設置で安全は担保されるというのが政府のスタンスだ。
マイナンバー制度に詳しい白鴎大学の石村耕治教授(税法・情報法)は「国の想定は甘い。パスワード変更が頻繁に求められる時代なのに生涯同じ番号。利用がエスカレートすれば、番号を悪用した『なりすまし犯罪者天国』への道をたどりかねない」と危惧する。
国家による「国民監視」強化を心配する声もある。市民団体「プライバシー・アクション」代表の白石孝さんは「例えば、預貯金口座への番号付与は、提出中の法案ではまだ任意ですが、将来は強制になるかもしれない。国家が国民の資産すべてを把握できるようになる。超管理国家への扉が開きかけていると言えます」と話す。
制度が「IT利権」になっているとの懸念もくすぶる。内閣官房によると制度導入の初期費用は3000億円弱、ランニングコストはその1〜2割と見込まれる。坂本さんは「民間事業者のシステム改修費などを含めれば、初期費用だけでも1兆円はくだらないのでは」と指摘する。「従来型の公共事業に代わる『21世紀のハコモノ』になろうとしているようです」
斎藤さんは言う。「番号呼ばわりされ、すべて監視されるなら、それは『家畜』そのものですよ」。メリットだけでなくデメリットにも目を向ける必要がありそうだ。【樋口淳也】
◇秋に郵送、申請でカード
マイナンバーに関する「素朴な疑問」をまとめた。
◇
Q 導入の経緯は?
A 民主党政権時の2012年2月、消費増税の際の低所得者対策「給付付き税額控除」の導入に欠かせないとして国会に提出され、その年の衆院解散で廃案に。政権交代後、一部修正の上、13年5月に成立した。
Q 12桁の番号はどう決める?
A 今年10月5日時点の住民票コード(11桁の数字)を基に、無作為に作り出す。原則、変更はできない。悪用される恐れがある場合のみ、地元自治体の首長権限で変更が許可される。教えてもよい相手は行政機関や勤務先などに限定される。事業者にも13桁の法人番号が交付される。
Q 「個人番号カード」というものがあると聞くが。
A 表面に写真や氏名、住所など、裏面にマイナンバーを記載したICカードのこと。秋に「通知カード」が郵送される際に作成申請書が同封されるほか、専用サイトからスマートフォンで撮影した顔写真を送付して作成する方法もある。さまざまな場面で、マイナンバーの本人確認が簡単にできるほか、マイナンバーを使ってどんな機関が情報(中身は非公開)をやりとりしたかを確認できる専用サイト「マイナポータル」へのアクセスも可能になる。
http://mainichi.jp/shimen/news/20150424dde012010002000c.html
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