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4月24日、訪米する安倍晋三首相の最大の狙いは、日米同盟の強化をアピールすることだ。ジャカルタで19日撮影(2015年 ロイター/Beawiharta)
焦点:「タダ乗り」から日米同盟強化へ、首相訪米の本音
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NF0IT20150424
2015年 04月 24日 16:18 JST
[東京 24日 ロイター] - 26日から訪米する安倍晋三首相の最大の狙いは、日米同盟の強化をアピールすることだ。日本はもはや平和の「フリーライダー(タダ乗り)」ではない、同盟の負担をさらに引き受ける用意がある、というメッセージを米国に伝えようとしている。
だが背後には、日本の有事のときはしっかり守ってほしい、というメッセージが潜んでいる。自衛隊が役割を拡大し、世界規模で米軍に協力する代わりに、日本の安全保障に対する米国の関与を確実にしたいという思いが、見え隠れする。
<米軍の作戦、自衛隊の支援念頭に立案可能に>
日米両政府は安倍晋三首相とオバマ大統領の首脳会談の前日に当たる27日、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)をニューヨークで開き、自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力の指針(ガイドライン)の改定に合意する。
18年前に作られた現行のガイドラインは、日本が武力攻撃を受けた場合と、朝鮮半島など日本周辺で有事が起きた場合の対応を定めていたが、日本が整備を進める新たな安全保障法制によって、両軍の協力は地理的範囲、内容ともに大きく広がる。
集団的自衛権の行使が可能になることで、自衛隊はホルムズや対馬といった国際海峡でも、停戦前に機雷掃海ができるようになる。
米国主導の多国籍軍がイラクで空爆を行ったような作戦に対し、特別法をそのたびに作らずに後方支援ができるようになる。日本が領有権争いの当事者ではない南シナ海でも、重要な影響が及ぶと判断する事態が起きれば、米軍の後方支援が可能になる。
「米軍は作戦を立案する上で、世界規模で自衛隊の支援を計算に入れられる」と、安全保障が専門の拓殖大学の川上高司教授は言う。
<新ガイドライン、米国の日本への関与を再確認>
一方、日本側の狙いは、自国防衛に対する米国の関与をつなぎとめることにある。政府が自民・公明両党に示した説明資料には、新ガイドラインの目的は「米国の強いコミットメント(関与)をあらためて明らかにし、これを日米で一致して発信」することとある。
また、「日本に対する拡大抑止の維持、有事における米軍の打撃力使用に関し、米軍のコミットメントを確認」するとしている。
政府関係者によると、新ガイドラインには「島しょ」という言葉をわざわざ盛り込み、米国の防衛義務は日本の施政下すべてに及んでいることを明示する見通しだ。
ガイドライン改定の作業内容を知る別の政府関係者は「あくまでこちらの主眼は日本と周辺の防衛にある。自衛隊が米軍を支援する範囲は広がるが、協力する内容には濃淡がある」と話す。
<「世界の警察官」から下りた米国>
オバマ大統領は昨年4月に訪日した際、日中間の火種である沖縄県尖閣諸島(中国名:釣魚島)について、日米安全保障条約第5条の適用対象だと発言した。今年4月に訪日したカーター国防長官も同様の見解を示した。その一方でオバマ大統領は、米国が「世界の警察官」から下りるとも明言している。
オバマ政権は外交・安保政策の軸足をアジアに軸足を置くと宣言してきたが、実際にはクリミア半島や過激派組織「イスラム国」の問題に追われてきた。さらに中国が提案する「新しい大国関係」に応じるような姿勢をみせるなど、領土問題をめぐって中国との緊張が高まっている日本やフィリピンの不安をかりたててきた。
「これまでも米国はアジアに関心を持ってきたが、もっと目を向けてほしい。中国に対して一定の影響力を保ってもらいたい」と、自民党の憲法改正推進本部長を務める船田元・衆院議員は言う。
<日本の有事に来援しない脅威>
改定ガイドラインの合意、オバマ大統領との会談を経て、安倍首相は29日に米上下両院合同会議で演説する。日本の首相が同会議の演壇に立つのは初めてだ。
首相は20日に出演したテレビ番組で「アジア太平洋地域の平和と安定を含めて世界に貢献する日米同盟について、話をしたいと思っている」とした上で、過激主義や感染症、気候変動、災害など、国際的な課題に日米が取り組むというメッセージを発したいと語った。
「演説は(歴史問題で)地雷を踏む恐れがあるとの見方もあるが、安倍首相は米国の指導者層と政治家に対し、日本は米国に依存するばかりでなく、積極的なプレイヤーになろうとしていること、日米同盟がいかに重要かを確信させたいと考えているのだろう」と、国際政治が専門の慶應義塾大学の中山俊宏教授は言う。「米国が後ろへ引き、(日本を助けに)来なくなることのほうが脅威だから」と、同教授は指摘する。
(久保信博、リンダ・シーグ)
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