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日中首脳会談で「中国の脅威」を語れなかった安倍首相は「集団的自衛権」をどう説明するのか(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/706.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 24 日 08:32:05: igsppGRN/E9PQ
 

      ジレンマを抱える安倍首相 photo Getty Images


日中首脳会談で「中国の脅威」を語れなかった安倍首相は「集団的自衛権」をどう説明するのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43029
2015年04月24日(金) 長谷川 幸洋「ニュースの深層」 現代ビジネス


安倍晋三首相と中国の習近平国家主席がインドネシアのジャカルタで会談した。5ヵ月ぶりの日中首脳会談で安倍首相は「戦略的互恵関係を推進し、地域や世界の安定と繁栄に貢献するのは我々の責務」と訴えた。その方向性はもちろん望ましい。だが、私は首相が語らなかった「もう1つの言葉」に注目する。

■「中国は脅威だ」と公言できない

「もう1つの言葉」とは何か。それを見つけるには、日本政府の中国に対する基本スタンスを検証する必要がある。

私自身は先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42934)で書いたように「中国は日本にとって脅威」と考える。実は政府も本音を言えば、そういう認識を前提に安全保障法制の整備を進めている。ところが、政府は「中国は脅威だ」などと口が裂けても言わない。そんなことを政府が言えば「中国は日本の敵」と公言したも同然になってしまうからだ。

そこに、問題のややこしさがある。中国を脅威と名指ししなければ、日中関係の無用な悪化は避けられるだろう。一方で脅威の存在をあいまいにするために、国民は「なぜ集団的自衛権の行使容認が必要なのか」が判然としなくなってしまう。それどころか、反対論が強い。

たとえば共同通信が3月28、29日に実施した世論調査によると、安保関連法案の今国会成立に反対が49.8%と賛成の38.4%を大きく上回った。中国けん制が目的の1つである安保法制整備に対する国民の理解が、まさに日中関係維持のために犠牲になってしまう「政策のジレンマ」に陥っているのだ。

政府は中国をどう認識しているのか。それをまず、いくつかの公式文書で確認する。そのうえで安保法制論議の本質と今回の首脳会談で語られなかった部分を考えてみる。

■ 尖閣諸島を「さらっと流す」

防衛省の防衛研究所が刊行している「東アジア戦略概観2015」(http://www.nids.go.jp/publication/east-asian/j2015.html)からだ。この文書は「国際情勢の文脈と現実を客観的かつ包括的に理解する」ために「議論の題材を提供する」目的で毎年、編纂されている。私も基本資料として概観をよく参照する。

概観は中国について1章を設けて分析した。多くの国民が心配しているのは尖閣諸島に対する中国の挑発行為だ。ところが、概観が尖閣についてどう記述しているかといえば、わずか1ヵ所しかない。以下のようだ。

「バラク・オバマ大統領はアジア歴訪の際、日本の尖閣諸島に対する日米安全保障条約第5条の適用を明言した」(102ページ)。これだけである。「脅威」という言葉があるかといえば、まったくない。中国に関連する「東シナ海」という言葉はどうか。こちらは7ヵ所ある。うち1か所では、次のように記述している。

「中国は東シナ海においても日本の自衛隊機に対して5月と6月の2度にわたって異常な接近を繰り返しており、懸念が高まっている」(103ページ)

では「南シナ海」はどうか。こちらは11ヵ所あって「(岩礁を埋め立ててヘリコプター発着施設などを建造している)中国の一方的な行動は、米国や周辺諸国の強い警戒と反発を招いている」などと記述している。

これを見ると、南シナ海における中国の行動を批判しているのは分かるが、肝心の尖閣諸島と東シナ海についてはさらっと流したような印象である。どうして、こうなるのか。国民の危機意識を受け止めるなら、もっと尖閣問題に記述を割くべきではないか。

■「外交青書」も中国は脅威とは言えない

次に、外務省が出している「外交青書」はどうか。2015年版外交青書は政府部内や報道関係には公表されているが、一般には要旨と目次しか公開されていない(http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/pp/page3_001172.html。6月下旬に一般販売予定)。

そこで尖閣諸島問題がどう記述されているかといえば「地球儀を俯瞰する外交」と題された第2章に「中国とモンゴル」の項目を設けてこう書いている。

「2014年を通じて、中国は公船を尖閣諸島周辺海域にほぼ連日派遣し、1年間で32回(累計88隻)に及ぶ領海侵犯を繰り返した」。さらに小笠原諸島周辺での中国サンゴ船の違法操業問題にも触れている。

ここは単なる事実関係である。こうした行為に対する評価をみると、青書は「中国による一方的な現状変更の試みに対しては、日本の領土・領海・領空は断固として守り抜くという決意で対応しており、外交ルートを通じ、厳重な抗議と退去の要求を繰り返し実施している」と記述している。

続く後半部分で「日本政府としては『戦略的互恵関係』の考え方の下に、大局的観点から、様々なレベルで対話と協力を積み重ね、両国の関係を発展させていく」と書いた。「中国は脅威」などとはもちろん書かずに戦略的互恵関係の推進を訴えている。

■ 首脳会談での安倍発言に抜け落ちているもの

防衛省が刊行している「防衛白書」はどうか。2015年版がまだ出ていないので、14年版(http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2014/w2014_00.html)の記述をみよう。

先の2文書に比べると、防衛白書が中国に対する警戒感をもっとも色濃く打ち出している。次のようだ。

「(東シナ海や南シナ海の)海洋における利害が対立する問題をめぐって、力を背景とした現状変更の試みなど、高圧的とも言える対応を示している。このような中国の軍事動向などは、軍事や安全保障に関する透明性の不足とあいまって、わが国として強く懸念しており、今後も強い関心を持って注視していく必要性がある。また、地域・国際社会の安全保障上も懸念されるところになっている」(34ページ)

「懸念」という言葉は9回出てくる。うち8回は「中国に対する懸念」だ。ただし、こちらも「脅威」という言葉は使っていない。

こうしてみると、政府の中国に対する基本スタンスは「力による現状変更の試みに反対する一方、戦略的互恵関係を発展させる」という2つのパーツから成り立っている。そのうえで、安倍首相が首脳会談で語った「戦略的互恵関係を推進」という言葉は2番目のパート、外交青書の後半部分を反映していることが分かる。

もうお分かりだろう。首脳会談での安倍発言には、外交青書の前半部分と防衛白書にある「力による一方的な現状変更の試みに反対する」という趣旨が抜け落ちているのだ。そこを落としたのは、習主席に対して「あなたの行為には反対だ」などと面と向かって言えば、首脳会談が非難の応酬になって台無しになりかねないと懸念したからに違いない。

だからといって、安倍政権がそういう認識を改めたわけではない。それは、なにより安保法制の整備を淡々と進めている事実に示されている。

安保法制論議の核心の1つは「武力攻撃に至らない侵害への対処」、いわゆるグレーゾーン事態への対処である。グレーゾーン事態とはどういうものか。それは先の防衛白書に詳しい定義がある。それによれば「純然たる平時でも有事でもない事態」であって、具体的には次のようだ。

ーーーーー
(1)国家などの間において、領土、主権、海洋を含む経済権益などについて主張の対立があり、
(2)そのような対立に関して、少なくとも一方の当事者が自国の主張・要求を訴え、または他方の当事者に受け入れさせることを、当事者間の外交的交渉などのみによらずして、
(3)少なくとも一方の当事者がそのような主張・要求の訴えや受け入れの強要を企図して、武力攻撃に当たらない範囲で、実力組織などを用いて、問題に関わる地域において、頻繁にプレゼンスを示したり、何らかの現状の変更を試みたり、現状そのものを変更したりする行為を行う。(2ページ)
ーーーーー

こういう事態に対処するために、政府は自衛隊法を改正して「米軍等の部隊の武器等を防護する」ことを可能にする。「武器を防護」というのは、周りくどいようだが、ようするに武器を持った米軍を守るということだ。それから法改正ではないが、日米同盟の運用改善・強化と海上保安庁や海上自衛隊など関係機関の連携を緊密にする。安倍政権はこの2本立てで対処する方針を決めている。

■「中国による尖閣侵攻」想定しても言葉にせず

国民にとって安保法制論議が分かりにくい理由の1つは、グレーゾーン事態が実質的に「中国による尖閣侵攻」もシナリオ内に想定しているにもかかわらず、言葉の上で中国を名指しせず、単に「離島防衛」とか「弾道ミサイル発射の兆候がある場合」などとあいまいに説明しているからだ。

外交青書や防衛白書は中国を念頭に「力による一方的な現状変更」に反対しているのに、具体的な安保法制論議になると「中国」が霧の彼方に消えてしまうのである。ぎりぎり寸止めしているような状態だ。

私はそんな政権の姿勢を批判するつもりはない。現実の外交を考えれば、それはやむをえない。しかし、だからといってジャーナリズムやマスコミも政府と同じ言葉遣いで語ればいいとも思わない。

中国をどう見るか。それは「中国とどう付き合うか」と表裏一体の関係にある。「どう見るか」という現状認識が「どう付き合うか」という政策判断の前提になる。現状認識を薄いベールに包んで説明するのは、中国と実際に向き合う政権として賢明な判断だろう。だが、ジャーナリズムやマスコミは中国ではなく、読者・国民に対して向き合っている。そうであれば、率直な言葉があっていい。

政府の言葉遣いとその背景を十分に理解したうえで、ジャーナリズムやジャーナリストは自分の言葉遣いで語らなければならない。安倍首相が首脳会談で習主席に語らなかった部分をもう一度、確認しよう。それは「中国の力による一方的な現状変更の試みには断固として反対する」である。

 

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コメント
 
01. 2015年4月24日 09:09:56 : KzvqvqZdMU
>中国を脅威と名指ししなければ、日中関係の無用な悪化は避けられるだろう。

アホか、中国は、積極的に、日本を敵とみなして居るのだ。
 
 なんでもかんでも 日本側が仕掛けるともってる馬鹿。



[32削除理由]:削除人:アラシ

02. 2015年4月24日 09:20:51 : l3AlcBLG3A
梯子をはずされたネトウヨ
修正に必死な御用ジャーナリスト


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