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<サンデー時評>これは安保「再改定」だ 三つ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150422-00000001-sundaym-pol
サンデー毎日 4月22日(水)19時20分配信
◇のステージで徹底審議を
倉重篤郎のサンデー時評 no.53
どうもわからない。安倍晋三政権が進める新安保体制に対する議論が今ひとつ盛り上がらない。
だが、こう言ってみたらどうだろうか。今回の日米ガイドラインの改定と新安保法制は、専守防衛を貫いてきた戦後70年の日本の生き様をそれこそ根底から覆す、事実上の安保「再改定」である。
なぜか。それは海外での戦闘行為だけは認めない、としてきた自衛隊に対する憲法9条の縛りを以下2点で解き放つからである。
その一。直接の戦闘行為については、個別的自衛権の行使で自国防衛しかできなかったのを、限定付きながら他国艦船防護という他国防衛戦争もできるようになる。
その二。直接の戦闘行為ではない後方支援(補給活動)についても、「周辺」や「非戦闘地域」という場所の限定を取り払うと共に、武力行使と一体化する可能性があるとして禁じてきた弾薬などの補給もできるようにする。
要は、米軍が行う世界の警察官としての軍事行動に対して、それが日本国の存立に関わる事態と判断されれば全く同レベルで戦闘行為に入ることができ、また、それが国連など国際機関からのしかるべき要請事項であると判断されれば、補給活動まではワールドワイドに行える、ということである。
ここで注意すべきは、戦争というのは、正面での戦闘行為そのものを指すのが普通だが、後方からのきちんとした補給活動(後方支援)なしには戦闘も継続できない。いかに後方支援が重要かは、それそのものが戦闘対象になってきた数々の戦史が物語っている。
もちろん、国会承認という歯止めはかけるだろう。ただ、この問題の本質は、「できなかった」はずの自衛隊の海外での戦闘行為(ないしはそれと一体化の可能性のある後方支援)を米軍側のニーズに合わせて「できる」よう、法制度を変更することにある。
これを安保「再改定」といわずして何というべきか。
60年安保というのがあった。安倍首相の祖父である岸信介政権が断行した初の安保改定であった。事前協議制の導入など両国の対等性を強めるものであったが、国会前には改定反対の大デモが渦巻き、女子学生が1人亡くなった。
◇中国vs.日米 米国vs.日本 本土vs.沖縄
今回の「再改定」はいかがであろうか。国会外での運動やデモがどうであろうと、国会内では「再改定」にふさわしい質量ともに充実した深い議論が望まれる。
ここでは、私なりの議論の枠組みを示したい。今回の問題を三つのステージ(段階)で考えたい。
(1)は、今回の改定のきっかけになった中国の軍事的台頭に対し、日米安保体制をどこまで強化する必要があるのか、という「中国vs.日米」ステージである。
(2)は、(1)の議論の結果、必要とされる日米安保体制の中で、米国と日本がどのように役割、仕事を分担するべきなのか、という「米国vs.日本」ステージである。
そして(3)が、(2)の議論の結果、必要となった日本の安保体制の中で、沖縄と本土がそれをどうシェア(分担)するべきか、という「本土vs.沖縄」ステージである。
それぞれに突っ込んだ議論と適正な解が欲しい。
(1)では、中国軍事力の「二桁成長」により実際のところ何がどう変わったのか。それはどういう脅威を構成しているのか。それに対して日米安保体制はどう対峙(たいじ)しているのか。まだ圧倒的に日米が優位と言われるが、今後それがどう変わる見通しなのか。米上院軍事委員会ではないが、公開情報に基づいた骨太のパワーバランス論と、軍事専門性にも耐え得る緻密(ちみつ)な議論を同時並行で行ってほしい。
実は、日本の直接の平和に関する限り、今の日米体制で十分だという専門家の指摘がある。尖閣(せんかく)諸島問題は、日本の個別的自衛権と日米安保条約5条(日本防衛の義務)という枠組みで十分対処できる、というものだ。積極的平和主義という標語のせいか、生煮えの国際貢献論が横行しているが、何よりも足元の安保体制が肝心だ。議論の軸を本来の論点に戻し、冷静沈着な検討を加えることだ。
その際「抑止力」とは何か、その正体を明らかにしてほしい。これこそが鳩山由紀夫元首相を普天間問題で迷走させた安全保障上の概念である。まずは、抑止力一般論である。あくまで軍事的なものなのか。それとも外交、経済・文化交流も含むのか。抑止力を一方が高めれば、相手方もエスカレート、悪循環が結果的に戦闘のきっかけを作ってしまう、というジレンマも研究を深めるべきである。
そしてそれが今回の具体事例でどう働くのか。今の政権が不熱心な中国との外交関係改善によって、軍事的抑止力を制御する道はないのか。そもそもなぜ軍縮という道が出てこないのか。それは夢物語なのかも含めて質(ただ)してほしい。
(2)は、在日米軍基地の評価である。米国にとって世界戦略上の価値はどの程度のものなのか。思いやり予算は? 航空管制などにおける事実上の占領体制継続といわれる現状をどう見るか。日本は本当に米国の安保体制におんぶに抱っこか。タダ乗りか。集団的自衛権の行使容認により日米間の双務性が回復され、米が在日基地を置く根拠がなくなった、という議論をどう考えるか。その上、自衛隊を後方支援の補給部隊として米軍に世界規模で使わせる、という選択はツーマッチなのではないか。
(3)も重要だ。1%の国土に米軍基地の7割を抱え込むアンバランスは持続可能とは言えない。本土は何を引き受け得るのか。まさに利害調整という政治の原点だ。
国民がこの新体制の意味を理解し、納得し、覚悟を持つまで議論を続ける。それが安保「再改定」と向き合う国会の使命だと思う。
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