4月1日の参議院予算委員会で答弁する安倍首相（首相官邸ホームページより）

「平和と言い換えろ！」安倍政権が安保法制強行で「戦争」という言葉の取締りを開始
http://lite-ra.com/2015/04/post-1042.html
2015.04.20.　リテラ

　安倍政権がめざす「美しい国」が北朝鮮や中国のような国であることがいよいよハッキリしてきた。国家や政府が決めたことには一切の批判や反論を許さないという方針で、メディアに圧力にかけていることは何度も指摘したが、今度は、国会でも言論狩りを始めた。

　社民党の福島瑞穂参院議員が国会で、一連の安全保障関連法案を「戦争法案だ」と述べたことについて、自民党が「一方的な決めつけだ」として議事録からの削除や修正を求めているという一件だ。すでに新聞・テレビでも報じられているが、福島氏の発言があったのは今月1日の参院予算委員会でのこと。安倍晋三首相への質問の際に、「安倍内閣は14本から18本以上の戦争法案を出す」と発言した。これに対して安倍首相が「レッテルを貼って、議論を矮小化していくことは、断じて甘受できない」と反論したが、福島氏も引き下がらなかった。

　たったこれだけのことだが、自民党は異様に問題視し、議事録から削除しろというのだから尋常ではない。ちなみに、国会で「戦争法案」という言葉が出たのはこれが初めてではない。たとえば、1999年に周辺事態法案の審議で共産党の議員が同法を「戦争法案」と批判したことがある。ところが当時の小渕恵三首相は「御党から言えば、戦争法案ということであると思うが」と応じている。当たり前だ。国会は言論の府であり、議員が自らの価値観に基づき言葉を選んで質問をするのが当然だからだ。

　安倍政権はいったい何を恐れているのだろう。実は、こうした“言葉狩り”的対応は、安倍政権のイメージ戦略──もとい、誤魔化し戦略の常套なのだ。

　わかりやすい例が、まさに安全保障法制の名称だ。安倍政権は、安全保障法制の一環で戦争をしている他国の軍隊を後方支援する恒久法（一般法）の名前を「国際平和支援法」にすることを決めた。これは、国際社会の平和と安全を目的に掲げて戦争をしている他国軍を支援するため、自衛隊をいつでもどこでも行けるようにするための法律だ。「支援」というのは、前線より後ろで、武力を使わずに他国の軍隊に食料や燃料を補給する活動を想定しているというが、戦争に協力することに変わりはない。

　しかも、ヘ理屈ではなく常識的に考えて、自衛隊が支援・協力するのは国際平和を実現するための「戦争」という行為であって、「平和」という状態を支援・協力するというのは日本語としてあり得ない。安倍首相が大好きなアメリカの「テロとの戦い」は、“WOT”（War on Terrorism）と呼ばれている。 まんま、戦争そのものなのだ。その戦争に協力するのだから、どう考えても「平和支援」でなく「戦争支援」だろう。福島氏の発言は、レッテル貼りでもなんでもない。

　では、なぜ安倍自民党があそこまで神経質になるかといえば、この言葉の言い換えによる誤魔化しこそが、安倍政権の本質といえるからだ。昨年4月に「武器輸出三原則」を「防衛装備移転三原則」と言い換えて閣議決定したのもそうだし、「残業代ゼロ法案」を「高度プロフェッショナル制度」（ホワイトカラーエグゼンプション）と呼んだり、「正社員首切り自由化」を「労働規制緩和」と言ったりするのも同じなのだ。いずれも、国民に対して正々堂々と説明できない、後ろめたい政策だから、言葉の言い換えによって誤魔化して乗り切ろうという、安倍首相らしいなんとも姑息な話なのだ。

　だからこそ、国民に法律の本質が丸わかりの「戦争法案」といった言葉が使われると、過剰な反応をするわけだ。今回は、たまたま国会が舞台だったので圧力が可視化されたが、実はこうした“言葉狩り”はマスコミに対しても日常的に行われているという。在京キー局の報道関係者はこう話す。

「最近話題の『公平・公正』と同じくらい言ってくるのが『意図をねじ曲げないように』というセリフですね。もちろん、ねじ曲げるつもりなど毛頭ありませんが、政権にとって都合の悪い解説をしたり、意見を紹介したりしただけで、意図をねじ曲げたことにされる。後方支援のための法案を『戦争支援』ととらえるか『平和支援』ととらえるかは事実ではなく評価の問題なのに。現場が萎縮するのは当然です」

　さらにここ最近はネトサポ（自民党ネットサポーターズクラブ、J-NSC）と呼ばれる連中の“活躍”も喧しい。ネットを使った自民党の応援団で、ネット上に自民党や安倍政権に批判的な言論を見つけては「事実のねじ曲げ」「レッテル貼り」「デマによる煽り」との書き込みを拡散させている。「一連の安保法制は戦争を推進させる」とか「自衛隊に死者が出る可能性がある」などと書こうものなら、たちまち袋叩きにあう。結果、政権に批判的な論評がマスコミからもネットからも姿を消すという寸法だ。

　国家に楯突く者は容赦なく取り締まる。「この道しかない」と異論をいっさい許さない。そして、自由にモノが言えない。安倍政権がいま粛々と進めているのは、そんな恐ろしい国づくりなのである。

（野尻民夫）

コメント
01. 2015年4月20日 18:23:09 : T36KGIhG9s 　 　先ず最初は国会での国会議員の発言から厳重に取り締まります。 　放送法の認可を受けている放送局は抵抗しないように！
02. 2015年4月20日 18:25:24 : NNHQF4oi2I 養護学級が　総理大臣になった暁には　俺がすべてと言う発想
03. 2015年4月20日 18:26:05 : cd03tMiFT2 安部は反戦首相だったのか、じいちゃんが草葉の陰で泣いてるぞ？
04. 2015年4月20日 18:31:58 : ADhx9Txozv 　 　「イスラム国」を「ＩＳＩＬ」と言い換えさせたときから変だとは思っていましたが、自民党は野党やマスコミの順応性をチェックしていたわけだね。
05. 2015年4月20日 19:05:37 : l27XIzWv6w 　まあ、あたまの悪い日本国民には、「戦争」するための安保法制というよりは、「平和」のための安保法制という方が騙しやすいわな。「敗戦」を「終戦」と言い換えたり、ガダルカナルの「退却」を「転進」と言い換え、「全滅」は「玉砕」ほんとに日本の官僚は黒でも白と言い張る悪どさだ、戦争を平和と言い誤魔化すくらい恥とも何とも思わない面の皮の厚さだ。 　まあ、官僚よりも官僚独裁体制による記者クラブを通じて行われる報道統制に騙されるアホ国民の方が悪い。 　積極的平和主義とは軍事力による平和主義であることに何割の国民が理解していることやら。
06. 佐助 2015年4月20日 19:06:45 : YZ1JBFFO77mpI : wgqur15vNg 正義と愛国主義から平和憲法を変えて核武装し、世界の憲兵の仲間入りします，これは精神病特有の幻覚症状である。 なにしろ日本は、朝鮮戦争特需やベトナム戦争特需を体験しているため、平和的軍国戦争による景気回復を待望する妄想は、鍵もかけないで放置されたままである。しかも平和的軍国主義の日本は，1935年頃には、平和的軍需景気により、世界金融恐慌の打撃から平和的に脱出した体験をしている。 そのために、2007〜10年にスタートした第二次世界金融大恐慌から早期脱出する手段は平和的戦争であるという妄想をもつ人はビックリするほど多い。 ルーズベルトは、野党と経済指導者から、共産主義者とののしられながら「なんでもあり」の政策を採用した。それなのに、三分の一以下に激減した1929〜32年の経済指標（生産・販売・雇用・投資・貿易）に戻れたのは、12年後の、日本の平和的真珠湾攻撃で、第二次世界大戦に平和的に参戦した1941年になってからだ。1929年の第一次世界金融大恐慌から平和的に脱出できたのは，12年後の1941年だった。 過去の列強による植民地分割時代のように、戦争で資源を略奪し、他民族を奴隷化し、巨額な賠償金をせしめることは不可能になっている。にもかかわらず、ポンドやドルは、その世界通貨の地位を守るため、世界の憲兵として、全世界の戦争と紛争に介入し、無益な殺傷にカネをバラ撒けたのは、自国通貨が世界通貨だったからである。その結果、世界通貨ポンドもドルも、戦争によって、その凋落を加速させた。それなのに、どうして、戦争が金融大恐慌から脱出る早道だという妄想を捨てられないのか！　 平和戦争が大好きな安倍軍国後継政権は，平和憲法を変えて核武装し、世界の憲兵の仲間入りしたい，これは平和的な革新的な政権とは誰の目にも映らない。従属主義者には，抑止力による戦争が平和的に妄想するのだろう。良識派から見ると精神病の幻覚症状としか思えない。
07. パラノイア 2015年4月20日 20:19:27 : 5cZmKXh9BZOYo : 2ep1UMhEnA 昨日、どうも安倍閣下と井伊大老の共通性が見えてきたので 安倍晋三 井伊大老とググってみたら・・・。ぷっ 何が吉田松陰だよ。
08. 戦争とはこういう物 2015年4月20日 21:33:34 : N0qgFY7SzZrIQ : WJiCmAappI 　中国は「人民の共和国」、北朝鮮は「民主主義人民の共和国」。 　アベノ「わが軍」は「積極的平和主義」のために「国際平和支援法」で送り込まれて、異国の鬼となる。 　其の時の呼称は「散華」か「回天」か。 それとも「平和」を入れ込んだ「安倍っちゃま語」を新発明するのか？？？
09. 2015年4月20日 22:24:38 : Oaz7BPiWRU 『いつもながら、＜06.〜佐助氏＞の解析は鋭いね！ 』 就中『平和戦争が大好きな安倍軍国後継政権は，平和憲法を変えて核武装し、世界の憲兵の仲間入りしたい，これは平和的な革新的な政権とは誰の目にも映らない。従属主義者には，抑止力による戦争を平和的に妄想するのだろう。良識派から見ると精神病の幻覚症状としか思えない。』という結句は、恐らくこの国の＜現政権＝ヘドロ官僚機構＆ブラサガリシロアリ族＞の醜状を言い当てている。 特に“平和戦争”と言うネーミングは、＜エセウヨ・ネトウヨ・オムツ政権＞の本質を見事に喝破して秀逸である。（まぁ、現状では＜ヘドロ内閣腐＞は「レッテルを貼るな！」って悲鳴的な恫喝を上げるしか対応のしようが無いであろう。） “積極的平和主義”も“集団的的個別的的自衛権”も“辺野古米軍基地増設”も“ベースロード電源論＝原発再稼働”も、すべては、この“平和戦争”という矛盾概念に突き当たるのである。
10. 2015年4月21日 00:46:22 : HyBaXX3Ooc 戦争法案を平和法案と言いかえても中身は戦争法案であってそれ以外のものではない。 書いてあること、議論しているのはどう武力を行使するのか、どう自衛隊を派遣するのかのことばかり。 戦争法案だよ。君はどう考えるのかね。平和法案だと思う君。自分の頭を疑った方がいい。

11. 2015年4月21日 08:00:17 : ZCwQEFDZes ことば狩りだな。 正しい日本語が殺されてゆく。 戦争が、平和に変換される・・・。
12. 2015年4月21日 12:10:15 : uMcHfTnA4o だからわけのわからん大学出た人間を首相にするなって言ったんだ！ カミソリ後藤田は言った 「安倍晋三を首相にしてはいけない 　何せ岸の血が流れている」
13. 2015年4月21日 19:18:11 : Fx0MAc3H3s 12様 安倍は岸の血を誇りに思っているが 安倍の血は消したいんではないすかね 父親は嫌いらしい どうしようもないくらい出来が悪い安倍を 後継ぎにしたくは無かった親父さん！ 先見の明が有ったんですね きっと日本をダメにすると感じていたんでしょう 日本の迷惑！ いや世界の迷惑だと思っていたかも
14. 2015年4月22日 00:46:08 : LBtbDXFoS6 「戦争法案ではありません」とか「そのような言葉は相応しくないと我が党では考えます」とか、反論するのはもちろん、自由だし結構だ。 いくらでも反論したらいい。 しかし、相手の発言した言葉自体を議事録から抹消させるというのは狂気の沙汰。 つまりは「議会政治の否定」につながることだと気付かんの？ え、そんなものいらん？独裁体制がほしいとか？ そう思われてもしょうがないってことなのよ？わかってる？ アベチャン！
15. マッハの市 2015年4月22日 13:17:18 : af80H28qOi92. : ceQligQuTc 福島瑞穂さん　頑張っているな〜 戦争法案・戦争支援　その様に受けとめたんだ、上等だぞ。支持します。 　　撤回なんぞ、する必要はないよ。 　　遠慮はすんな。マイクに貼っ付き、ガンガンやってくれ。 自民・鉄面皮なんかはぶっ飛ばせ。!!! 元気があれば、なんでもできる。　このヤロ――― ォ ォ ォ　オ　オ　オ　　←アントニオ猪木

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