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2015.04.18
支配システムと一体化することで自らの立場を強め、物質的な見返りを得ようとしている人が日本のマスコミや出版界にも少なくない。前にも書いたが、日本の「言論界」に「反体制」も「左翼」も「右翼」も存在せず、「もどき」ばかりで、そうした人たちにとって、安倍晋三政権に屈服することを拒否する沖縄県の翁長雄志知事は憎悪すべき対象。彼らの目には「敵意をむき出し」にしていると映るようだ。
安倍政権はアメリカの好戦派に従属している。その好戦派とはネオコン/シオニスト、戦争ビジネス、金融資本などを中心とする勢力で、世界は自分たちの所有物だと勘違いしている。そうした勘違いを表に出す切っ掛けが1991年12月のソ連消滅。アメリカは「唯一の超大国」になったと認識、世界の人びとは自分たちに従属するべきだと考えるようになったのだ。
その世界制覇プランは1992年にDPG(国防計画指針)の草稿http://www.nytimes.com/1992/03/08/world/us-strategy-plan-calls-for-insuring-no-rivals-develop.htmlとして形になる。その中心はリチャード・チェイニー国防長官とポール・ウォルフォウィッツ国防次官で、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザド、アルバート・ウールステッター、リチャード・パール、そしてONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルたちが作成に参加したという。
ウールステッターは核戦略の専門家で、1951年から63年にかけて国防総省系のシンクタンクRANDに所属し、64年から80年までシカゴ大学で教えている。彼がRANDに在籍していた時代、軍や情報機関の好戦派がソ連に対する先制核攻撃を目論んでいたhttps://prospect.org/article/did-us-military-plan-nuclear-first-strike-1963ことは本ブログで何度も書いてきた通りで、この計画にウールステッターも関わっていただろう。彼らが攻撃を予定していた1963年にRANDを辞め、シカゴ大学へ移ったことは興味深い。勿論、1963年はソ連との平和共存を訴えていたジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された年でもある。
ウォルフォウィッツやハリルザドはシカゴ大学でウールステッターの教え子。この大学にはネオコンの思想的な支柱と言われたレオ・ストラウスもいた。「ユダヤ系ナチ」とカルガリ大学のジャディア・ドゥルーリー教授から呼ばれている人物だ。フライブルク大学でマルチン・ハイデッガーから思想面で大きな影響を受けたと言われている。ウォルフォウィッツはストラウスの下で博士号を取得した。
強者総取りの新自由主義経済の教祖的な存在、ミルトン・フリードマンもシカゴ大学で教えていた。フリードマンはフリードリッヒ・ハイエクと関係が深く、ジョン・ケインズの理論とは敵対的な関係にある。ドナルド・ラムズフェルドも1960年代にシカゴ大学で開かれたセミナーでフリードマンに傾倒している。ジェラルド・フォード政権で国防長官を務めた際、ラムズフェルドはONAのマーシャル室長や好戦派に大きな影響力を持っていたフリッツ・クレーマーから助言を受けていた。
DPGの草案では潜在的なライバルの台頭は許さないとしているが、「同盟国」に対しても容赦ない。1991年にフランスとドイツは西ヨーロッパの外交と軍事を統合する道を探り始め、「ヨーロッパ軍」を創設しようとしたが、こうしたことは許さない。日本が影響力を拡大することも阻止する。1990年代に入って証券や銀行のスキャンダルが噴出、アメリカの軍事システムに日本が組み込まれていくのは偶然でないだろう。当然、TPPにもそうした計略が反映され、こうした代物に賛成する日本人はアメリカ支配層の「傀儡」であり、「買弁」と呼ばれても仕方がない。
アメリカは世界制覇という「予定」を実現するため、敵を作る。ソ連、アカ、ロシア、中国などがキーワードとして使われてきた。かつて「自由の戦士」と呼んでいたアル・カイダ系の戦闘集団を「テロリスト」として利用、そのアル・カイダ系の武装集団がリビアでNATOと手を組んでいたことが広く知られると、IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)を使い、ロシアのウラジミル・プーチンの悪魔化にも余念がない。
CNNの創設者は「ロシアが攻めてくる」という宣伝を批判http://www.huffingtonpost.com/reese-schonfeld/the-russians-are-not-comi_1_b_7072900.htmlしているが、西側の有力メディアはそうした批判を意に介していない。特にアメリカと日本が酷い状況だ。権力者を批判して支配システムにおける自らの立場を弱め、経済的に苦しくなるようなことをする意思はない。「リベラル派」や「革新勢力」もそうしたメディアを信じ、あるいは信じた振りをしているが、その理由も同じだろう。だが、そうした人びとが信奉しているアメリカの支配システムは崩壊し始めている。
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