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社民党の福島瑞穂氏が参院予算委員会で安倍晋三首相に質問した際、政府が提出をめざす安全保障関連法案を「戦争法案だ」などと述べたことについて、自民党の理事は17日、一方的な表現だとして修正を求めた。国会発言を削除・修正するのは国会の権威や人権を傷つけたり、事実関係を間違えたりした例が大半。政治的な信条に基づく質問の修正を求めるのは異例で、論議を呼びそうだ。
■福島氏拒否「表現の自由に関わる」
福島氏は1日の参院予算委で、与党が協議中の安保関連法案について「安倍内閣は14から18本以上の戦争法案を出す」などと質問した。
安倍首相は「レッテルを貼って、議論を矮小(わいしょう)化していくことは断じて甘受できない」と反論したが、福島氏は重ねて「戦争ができるようになる法案だ」と指摘。この質疑を受けて、岸宏一委員長(自民)は「不適切と認められるような言辞があったように思われる。(予算委)理事会で速記録を調査の上、適当な処置をとる」と述べていた。
自民党は、福島氏の質問について「『戦争法案』と再三決めつけており、レッテル貼りだ」(予算委委員)と問題視。自民の堀井巌・予算委理事が17日、福島氏と面会して「戦争法案」とした部分を「戦争関連法案」などに修正するよう要求したが、福島氏は拒否した。
福島氏は面会後、朝日新聞の取材に「国会議員の質問権を、こういう形で抑え込もうとするのは極めておかしい。表現の自由に関わる」と語った。
質疑の動画は現在、ネット上で公開されているが、文書として記録した議事録は公開されていない。今後、自民が福島氏の対応に納得せず、記録の修正を求めれば、一連の質疑が「未定稿」として扱われ、議事録は公開されない可能性もある。
■「国会議論の抑圧」指摘も
政府提出の安全保障関連の法案について、野党が国会質問で「戦争法案」と批判する例は過去にもあったが、与党側が修正を求めたことはなかったとみられる。1999年の周辺事態法案の審議では、共産党議員が同法を「戦争法案」と批判。当時の小渕恵三首相は「御(おん)党から言えば、戦争法案ということであると思うが」と答弁していた。
そもそも、国会での発言が問題視され、議事録から削除・修正されたのは、国会の権威や人権を傷つけたり、国民の権利を侵害したりしたと受け取られるような例にほぼ限られてきた。
2010年には、民主党政権の仙谷由人官房長官が中国漁船衝突事件に関する資料を、国会内で写真記者に撮影された。仙谷氏が委員会で「盗撮された」と発言し、与野党が問題視。「撮影」との表現に修正された。
前田幸男・東京大准教授(政治学)は「与党にとって都合が悪いから直せと言うのであれば、国会の議論の抑圧につながりかねない。『言論の府』である国会で、あってはならないことだ」と指摘する。
4月18日 朝日新聞 朝刊より
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