http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/293.html
Tweet |
(回答先: 日本、参加で役割果たせ IMF前副専務理篠原尚之氏(元財務官) 米中心の一極構造に転機:対中戦略、思考停止脱却を 投稿者 あっしら 日時 2015 年 4 月 16 日 02:01:00)
※政治板に投稿するにあたり、論者の順序を新聞掲載記事と逆にさせてもらっています。
========================================================================================================
磁力増すアジア投資銀 欧州勢、成長市場に傾く 中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院院長 李向陽氏
中国が主導して準備を進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の磁力が日増しに強まっている。日米が慎重な構えを保つ半面、英国、ドイツ、韓国などが続々と参加を決めた。多くの国がなびく事情と新機関の課題を李向陽・中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院院長と篠原尚之・国際通貨基金(IMF)前副専務理事に聞いた。
――AIIBへの参加表明はなだれを打つようです。
「英国が表明するまで、メンバーは主にアジアの途上国や支援を受ける側の国だった。欧州勢が加わり、より本格的で成熟した国際金融機関となるだろう。組織は多くの人が心配するような中国が銀行を牛耳る形にならず、より合理的で、長く安定した収益を上げるために運営する」
「欧州は中国が提唱する『一帯一路』の構想、つまり中国から欧州まで周辺国と共同で陸と海の2ルートでインフラを整備する『シルクロード構想』に間接的に信任票を投じた。AIIBは独立した国際機関だが、『一帯一路』をはじめとするインフラ整備の支援が重要な業務だからだ」
――欧州が中国に近づく理由をどう考えますか。
「アジアは依然として世界で最も活力のある地域で、アジア開発銀行(ADB)の試算では2010〜20年に8兆ドルのインフラ投資が必要だ。欧州はアジアの高い成長の恩恵にあずかろうと考えた。中国と協力するという理由だけで、欧州勢が参加するのは難しかっただろう」
――日本と米国は当面の参加を見送りました。
「米国の懸念は世界経済の秩序をだれが決めるかという点にある。オバマ大統領は今年の一般教書演説で『中国は急成長する地域のルールをつくりたがっている』と強調した。米国が主導する国際金融秩序に中国が挑戦しているというのが米側の認識だ」
「日本は最大の出資者としてADBを運営してきた経済的な側面、日米同盟という政治的な側面の双方から考慮せざるを得ない。釣魚島(尖閣諸島の中国名)の問題から日中関係が冷え込み、まだ両国関係は実質的に好転したとはいえない。日本にとってAIIBへの参加はなかなか受け入れがたいだろう」
――日本国内でも参加すべきだとの意見があります。
「中国の立場からいえば、日本、米国の参加はもちろん喜ばしい。特に日本の参加は日中の経済協力にとって意義がある。大国がアジアで対抗するのではなく、協力できれば双方にメリットが大きい。ただ政治家は単純に経済的な観点から考えるわけではないことは理解できる」
――日本が加わらないと、日本企業がアジアのインフラ事業で不利になりませんか。
「心配するような深刻なことにはならないだろう。日本にはADBがあるし、アジアの巨大なインフラ市場から特定の国の企業を排除することなどできないからだ」
――そもそもなぜ新銀行を作る必要があるのですか。
「ADBや世界銀行などの既存機関はアジアのインフラ需要を満たせていない。競争があってこそシステムは公正になる。中国など新興国の発言権を高めるIMFの改革は米議会が承認せず、実現していない。AIIBは(第2次大戦後の米主導の国際金融の枠組みである)ブレトンウッズ体制に代わるのではなく、補完するものだ。補完と同時に競争することで既存機関の改革も進む」
――AIIBの運営、融資基準の透明性や中立性に対する疑念がぬぐえません。
「組織の機構や情報公開などは既存機関と変わらないだろう。ただ、世銀やADBの単なるコピーでいいのか。金融危機の際、IMFは南欧諸国の救済に注力したが、同様に苦しむアジアに目を向けなかった。既存機関が完璧だとはいえない」
――AIIBは世銀やADBと協力できますか。
「顧客や市場に重複があるからこそ、そこに協力が生まれる。アジアの経済の結びつきを深める点で、一致点を見つけることは可能だ」
――AIIBも絡めた「一帯一路」構想は、米国が進める環太平洋経済連携協定(TPP)への対抗策なのでは。
「米国人からもよく質問される。『一帯一路』は自由貿易協定(FTA)や共同市場といった既存の経済協力の概念とは異なる。アジアの多様性に応じた新しい経済協力だ。アジアは経済発展の水準、政治体制、宗教、文化などの違いが大きい。TPPは貿易や投資のルール統一が目標だが、『一帯一路』は域内の国々の需要に応じてインフラを整備したり、産業パークを作ったりする。統一ではない」
「TPPは参加に厳しい審査がある。『一帯一路』は違う。参加を望む国に厳しい境界線は設けない。習近平国家主席が掲げる開放と包容を基礎とする枠組みだ」
Li Xiangyang 中央財政金融学院卒。国際経済が専門の経済学博士。新興国への造詣が深く、中国政府内で信頼が厚い。52歳。
[日経新聞4月12日朝刊P.11]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK183掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。