http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/250.html
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実力差が歴然であり、「アメリカは中国に追い越されたか」という問いは端から論外だが、アメリカも承知の上(それどころか勧めた可能性も)の欧州“同盟”各国のAIIB参加なのだから(記事にあるような対中国お目付役として)、「メンツは丸つぶれ」だとか「これまでで最悪の外交的失態」といった見立てもお門違いである。
それはともかく、創設メンバーとしてAIIBに参加しなかった日本政府も、「イソップの狐」のような説明ではなく、転載する記事にある次のような問いに答えなければならない。
「では、アメリカはどう振る舞うべきだったのか。AIIBに参加しないよう各国に根回しするのではなく、自ら参加の意思を示し、友好国にも同調するよう呼び掛けるべきだった。環境問題に懸念があるなら、AIIBに加わって発言力を行使したほうがよほど好ましい結果を生み出せただろう。
中国がソフトパワーを拡大する道具になると心配なら、なおのこと友好国と共に乗り込んで、AIIBを徹底的に「国際化」すべきだ。アメリカの主導でアメリカ寄りの国々がごっそり加われば、中国はこの組織を自国の外交の道具にすることが難しくなる。アメリカは、中国に責任ある行動を取らせ、大国としての義務を果たさせることを目指すべきだった。
AIIBが使命を果たせないようであれば、そのときは脱退してもいい。」
※ 関連投稿
「AIIB外交戦から見える「日中分離」政策とアジア経済牽引二頭立て馬車方式:日本はイソップの狐意識から脱却を」
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「AIIB不参加の日本はインフラ輸出が不利に? 日本国内でも懸念:AIIBは経済ではなく政治の問題」
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「アジア投資銀の衝撃:幻の日本人副総裁」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/230.html
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『ニューズウィーク日本版』2015−4・14
P.24〜25
「アメリカは中国に追い越されたか
AIIB:同盟国に不参加を働き掛けたが「造反」続出でメンツは丸つぶれ
国際社会で孤立する結果に
ウィリアム・ドブソン(本誌コラムニスト)
大国として扱ってほしければ、国際社会に対し大国にふさわしい貢献を果たすべきだ!アメリカは20年近くも中国にそう言い続けてきた。
例えば05年、当時のロバート・ゼーリック国務副長官は中国に対し、世界の「責任あるステークホルダー(利害関係者)」になるよう促した。この立場は長年、アメリカの対中外交の基盤になっていた考え方だった。要するに、アメリカは台東する中国を既存の体制の枠内に組み入れようとしていたのだ。
しかし中国は多くの場合、不満を口にするだけで世界第2位の経済大国に見合う国際的役割を引き受けることに消極的だった。「彼らは30年間、(国際社会のシステムに)ただ乗りを続け、たっぷり恩恵を享受してきた」と、バラク・オバマ米大兢領は昨年語った。
だが、この指摘が的を射ていたのは1年半前までだ。中国は13年10月、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を提唱した。この構想の背景には、世界の成長センターとなったアジアの深刻なインフラ資金不足があった。米ドルに換算すると、資金鎗額は20年までに8兆jに達するとみられる。
アジア地域の需要と中国の資金供給力を考えれば、AIIBの設立はいいアイデアだ。中国は豊富な外貨準備を積み上げており、急速な経済発展を成し遂げた自国の経験から巨大インフラ事業のあらゆる面を知り尽くしている。
ついに中国が国際社会への責献を打ち出したのだから、アメリカはAIIBを歓迎するかと思いきや、さにあらず。オバマ政権はその足を引っ張ろうとした。アジアやヨーロッパなどの同盟国に対し、AIIBを無視するよう水面下で働き掛けたのだ。
アメリカの政策担当者はこの新組織を、自国と同盟国が主導権を握る世界銀行、IMF(国際通貨基金)、アジア開発銀行(ADB)を中心とする既存の国際金融体制に対する挑戦と受け止めた。同時に非軍事的な「ソフトパワー」を使ってアジアの同盟国をアメリカから引き離そうとする中国の工作ではないかという疑念もあった。
米当局者は、AIIBに反対する表向きの理由として環境基準や運営の透明性に対する懸念を挙げた。だが多くの関係者や観測筋は、アメリカのアジア覇権を脅かそうとする試みをつぶしたいのが本音だろうと考えている。
いずれにせよ、アメリカの反AIIB工作は失敗に終わった。オバマ政権にとって、これまでで最悪の外交的失態と呼べるかもしれない。
AIIB創設メンバーの資格が得られる3月未の申請期限までに、参加を申請またはその意向を表明したのは51カ国。オーストラリアや韓国は、ためらった末に参加を決めた。
アメリカの最も重要な同盟国の1つであるイギリスが参加に踏み切ると、フランス、イタリア、ドイツを含む他のヨーロッパ諸国も雪崩を打ってAIIBへの参加を表明した。
日本だけはアメリカに同調する姿勢を維持しているが、AIIBへの出資期限の6月未までに参加を決断する可能性もあるようだ。オバマ政権は中国を孤立させる代わりに、自分たちがのけ者にされる結果を招いた。
米政府がすべきだったこと
オバマ政権は、無礼で不誠実で時代遅れに見える。かつて、落日の大国が過去の栄光にしがみつこうと躍起になっていた婆とだぶって見える。
しかし、過剰反応はすべきでない。アメリカの外交がお粗末だったことは明らかだし、アメリカが昔のような影響力を持てなくなったことも事実だが、アメリカを中心とする国際秩序の終焉をうんぬんするのは大げさすぎる。
アメリカの国防支出は今も世界1位で、2〜11位の国の合計よりも多い。世界のどこへでも直ちに軍隊を送り込める国は、ほかにない。
軍事力だけではない。アメリカは、世界の経済大国の上位20カ国のうち15カ国と同盟関係にある。歴史上、世界最強の国がほかの豊かな国々の支持をこれほど取り付けられた例はない。
要するに、今回の一件でアメリカの時代が終わるわけではない。ただし、メンツを失ったことは確かだ。
では、アメリカはどう振る舞うべきだったのか。AIIBに参加しないよう各国に根回しするのではなく、自ら参加の意思を示し、友好国にも同調するよう呼び掛けるべきだった。環境問題に懸念があるなら、AIIBに加わって発言力を行使したほうがよほど好ましい結果を生み出せただろう。
中国がソフトパワーを拡大する道具になると心配なら、なおのこと友好国と共に乗り込んで、AIIBを徹底的に「国際化」すべきだ。アメリカの主導でアメリカ寄りの国々がごっそり加われば、中国はこの組織を自国の外交の道具にすることが難しくなる。アメリカは、中国に責任ある行動を取らせ、大国としての義務を果たさせることを目指すべきだった。
AIIBが使命を果たせないようであれば、そのときは脱退してもいい。しかし、AIIBの設立がアメリカの影響力の弱体化につながるなどと考えるべきでなかった。アメリカが中国に国際的な役割を果たすよう促し続けた未に、ようやく中国が重い腰を上げたのだ。むしろオバマ政権は、これを逆手に取って自国の手柄と宣伝してもよかったくらいだ。
中国経済崩壊なら状況一変
オバマ政権がもっと建設的な取り組みを推進したければ、自国が強い影響力を振るえる世界観行とADBに目を向ければいい。この2つの機問には改善すべき点が多い。両機関で中国にもっと大きな役割を与えていれば、AIIBは設立されなかったかもしれない。
それに、世界銀行とADBは官僚主義に毒されていて、何事にも時間がかかり過ぎる。ADBのプロジェクトが完了するまでには、平均して7年を要する。世界銀行も、AIIBが扱うようなプロジェクトの多くを手掛ける余力がない。AIIBとの競争により、こうした問題が改善するなら、それは結構なことだ。アメリカはAIIBの足を引っ張ることより、世界銀行とADBの改革に取り組むべきだ。
AIIBが成功するかどうかは、現時点では誰にも分からない。官僚的で旧態依然の世界銀行とIMFを中心とする国際金融体制に取って代わり、目覚ましい成功を収める可能性もあるが、無残な失敗に終わる可能性もある。
中国は、どの国をAIIBに迎え入れるかをかなり選別している。近代的な金融システムを持たない北朝鮮は締め出され、歴史的に対立関係にある台湾の申請は受け入れられた。
しかし、中国経済がつまずいたとき、AIIBの参加国が結束を保てるかは定かでない。創設メンバーの多くは、明らかにビジネスチャンスを期待して参加している。中国経済が崩壊したり、資金が底を突いたりしたら、中国の政治的・文化的意思だけではメンバーをつなぎ留めておけないだろう。気が付けば、再び中国は独りぼっちになっていないとも限らない。
とはいえ、オバマ政権の対応が望ましくないものだったことは事実だ。新しい現実を直視せず、チャンスを生かすどころか、友好国を気まずい立場に追いやってしまった。
致命的な事態ではないが、メンツはつぶれた。アメリカは、この手痛い経験を貴重な教訓とすべきだ。」
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