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教科書とは支配層に都合の良い話を子どもに植え付けるための道具だが、安倍政権は度が過ぎる
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2015.04.07 櫻井ジャーナル
日本では「検定」に合格しない限り「教科書」として認められない。来年度から使われる中学校の教科書について4月6日に文部科学省は検定結果を公表した。「領土問題」に関する記述が大幅に増えたという。事実に基づく記述をするというなら、対立関係にある主張も公平に載せなければならないのだが、そうしたことはないようだ。
安倍晋三政権は自分たちの妄想に合わせて歴史を書き直させようとしているが、元々、教科書とは庶民の子どもを洗脳するための道具にすぎないわけで、その内容に期待するのは無理。そもそも「検定」とはそういうもの。歴史について学びたいなら「歴史物語」ではなく、信頼できる多くの歴史に関する本を読み、できたら元の資料や証言などにあたるしかない。違った視点の本を読む必要もあるだろう。
日本だけでなく、外国の研究者が書いた本を読む必要もある。日本国内には歴史学者の人脈があり、その人脈を利用して支配層は影響力を及ぼし、偏った見方が広まることになるからだ。「御用学者」の仕組みである。学者の世界でも、権力者にへつらえば地位と資産が手に入り、逆らえば仕事を奪われ、困窮する。こうした仕組みに人びとが疑問を抱かないようにするためにも「教育」や「報道」という名目で洗脳は行われている。
権力者の影響力をできるだけ排除するために「学問の自由」が謳われ、「大学の自治」が尊重されていたが、今では支配層の大学支配が進んでいる。これは一般企業などでも基本的に同じだが、資金面で大学を締め上げ、教員の立場を不安定にし、政府に楯突くと解雇される状況が作られてきた。いわば脅し。脅しに基づく恐怖(テロ)政治。彼らはテロリストだ。この仕組みはマスコミでも効果的に機能している。
歴史は無数の出来事の地理的、そして時間的な連鎖で成り立っているのだが、そうした出来事に関する情報を日本人は軽視する傾向が強い。支配層は情報を隠すだけでなく、都合の悪い出来事は調査せず、重要な資料を簡単に廃棄してしまう。そのうえで「証拠はない」と開き直るわけだ。承認が現れたり、外国で文書が出てきたりしても「証拠はない」と言い張る。現在の検定では「閣議決定など政府の統一的見解がある場合はそれに基づいた記述をする」ことになっているようだが、それがいかに馬鹿馬鹿しいかは明らかだ。
勿論、不明なことは不明だと明示する必要はあり、不明なことを事実であるかのように語るべきではないが、その前提として、資料をきちんと保存し、公正に調査、研究する必要がある。日本政府が行っていることはこの前提が欠落、犯罪者の証拠隠滅工作と大差はない。
検定でも「固有の領土」という言葉を使わせているようだが、そんなものが存在しないことは明らか。「不変の国」を前提にしているのだろうが、人類の歴史を考えれば国というシステムができたのは新しく、国の範囲も一定していない。徳川時代は「連邦制」に近く、当時の北海道や沖縄を日本の領土と呼ぶことはできない。
安倍首相やその「お仲間」たちは、自分たちの妄想にとって都合の悪い事実を主張する人びとに対して「自虐史観」という言葉を投げつけるが、世界を見渡すと似た用語を使う人びとがいる。シオニストだ。イスラエルが行ってきた破壊と虐殺を批判するユダヤ系の人は少なくないのだが、そうした人びとに対して「自己憎悪(Self-hating)」だと攻撃する。歴史の書き換えにも熱心だ。ここでも安倍人脈はシオニスト(ネオコン)と仲が良い。
世界で起こりつつあることに関する情報も安倍政権は自分たちに都合良く書き換えようと必死で、マスコミに対する締め付けを強め、マスコミは自主規制してきた。マスコミ側としては政府にすり寄ってプロパガンダに協力した方が得だということもある。支配層に従って彼らが提供する情報を垂れ流すだけなら苦労して取材する必要はなく、トラブルが起こる可能性も小さく、カネ儲けという視点から考えると合理的だ。メディアは「社会の木鐸」、あるいは「権力の番犬」であるべきだとする主張は妄想にすぎない。
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