http://www.asyura2.com/15/senkyo182/msg/755.html
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(回答先: 天皇発言と八木秀次。最近、天皇陛下と皇后陛下が、ともに、安倍政権の改憲路線に逆らうかのように、しきりに「護憲発言」… 投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 07 日 14:45:15)
憲法規定に従えば、天皇をはじめとする皇室構成員は、憲法改正など政治的なテーマについて発言することを厳に慎まなければならない。選挙権や被選挙権もなく、憲法改正の発議権や国民投票への参加権もないのが皇室メンバーである。
皇室メンバーは、現実として、そのような態度を心がけてきたと思っているが、いわゆる有識者とされる人たちのなかには、天皇など皇室メンバーの散発的な発言を牽強付会で自分の思想信条に引きつけて解釈し“利用”する人もいる。
売れっ子の池上彰氏も、先頃、皇太子の発言を都合よく解釈した内容を流布させた。
※ 参照
「戦後日本の歴史的経緯と国家統治の現実を語っただけの皇太子の発言を“政治利用”し悦に入る池上彰氏」
http://www.asyura2.com/15/senkyo180/msg/683.html
スレッドの内容に移るが、山崎行太郎氏の言説も、八木秀次氏の“宮内庁”批判も、ともに皇室メンバー発言に対する的外れな解釈に基づくものだと思う。
山崎行太郎氏は、「皇后陛下が、「五日市憲法」について肯定的発言を行ったので、驚いた。明らかに政治的発言であり、護憲的発言である。かなり踏み込んだ発言等思われる。ということは、皇后陛下も、相当の危機感を持っているのだろうと思われる。つまり、天皇や天皇周辺は、安倍政権の「改憲路線」「軍国主義路線」、あるいは近隣諸国との「軍事対立路線」に危機感を感じているということだろう」と書いているが、「五日市憲法」について肯定的発言を行ったことが、どうして現行日本国憲法の護持につながると判断したのか理解しがたい。
皇后の「五日市憲法」に関する発言は、「今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。 主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います」というものである。
この発言がどうして護憲を表明したという解釈につながるのか、どうにも合点がいかない。
「五日市憲法草案」は地域の小学校の教員や地主や農民が集って討議を重ねて書き上げたものであるが、大日本帝国憲法(明治憲法)や日本国憲法は、制定の形式は欽定であり、内容も国民レベルで議論された結果としてまとめられたものではない。
皇后の発言は、幅広い国民の叡智が結集したものとはいえない現行憲法をある意味で否定的にとらえているとも解釈できてしまうものである。
続いて八木氏の宮内庁批判に移る。
山崎氏に「天皇陛下も皇后陛下も、あきらかに、安倍政権の改憲路線に危機感を感じている。八木秀次が、天皇を名指しして批判したのも、偶然ではない。八木秀次も、確信犯的に天皇と対決しようとしている。要するに、天皇や天皇周辺と安倍政権とは、憲法改正か護憲かを巡って対決しようとしている」と批判された八木氏は、天皇と対決しようとしているわけではなく、宮内庁官僚たちと対決しようとしている。
昨年暮れの天皇の発言である「、「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」も、八木氏のように「陛下が日本国憲法の価値観を高く評価されていることが窺える」と受け止めることもできれば、“陛下は現行憲法には連合国軍の占領下に作られた否定的な側面もあることを指摘した”と解釈することもできる内容である。
八木氏は、「私がここで指摘しておきたいのは、両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねないことだ。なぜこのタイミングなのか。デリケートな問題であることを踏まえない宮内庁に危うさを覚える」と続けているが、憲法の条文には「改正」の規定もあるのだから、真意は不明だが憲法の価値観を高く評価していることと憲法改正を否定したい意識とはイコールではない。
ともかく翌年の天皇誕生日前に敗戦70周年を迎えることを踏まえた発言であり、現行憲法が条文を全く変えることなくそのほとんどの期間において国体を規定したことを考えれば、ことさら政治的な発言だとはいえない。
ともかく、有識者と自負する人たちは、天皇をはじめとする皇室の発言をあれこれ解釈して、それらを護憲や反安倍政権など政治的な発言として勝手に流布するような愚を慎むべきである。
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