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2015年03月29日
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アルルの男・ヒロシです。今朝の読売新聞の一面に「債務GDP比を財政再建の新指標に…政府方針」という見出しの記事が出ていた。私はこの政府方針の変更の裏側を少し知っているのでこれについて書いていきたい。
まず記事を引用する。
(貼り付け開始)
政府は、2020年度までの財政健全化目標として、国と地方の債務残高(借金)の総額を国内総生産(GDP)比で減少させることを掲げる方針を固めた。
経済成長が財政に与える影響を直接的に反映した指標で、成長が財政再建につながっているとアピールする狙いがある。国と地方の「基礎的財政収支」(プライマリーバランス、PB)を20年度までに黒字化させる現在の目標も維持する。二つの目標が、今夏にまとまる財政再建計画に盛り込まれることとなった。
経済成長や増税で税収が増えたり、歳出削減が進んだりすれば、PBは改善される。一方、債務残高の対GDP比という指標を用いた場合、経済成長の「成果」を一層強調することになる。デフレ脱却が進めばGDPは大きくなり、債務残高が減らなくても、GDP比率の数値は減少するからだ。
内閣府の試算によると、15年度の国と地方の債務残高は985兆円で、20年度には、社会保障費の増大などで1115兆円に膨らむ。一方、経済成長を見込んだGDPは、504・9兆円(15年度)から599・4兆円(20年度)に拡大。このため債務残高を対GDP比でみると、15年度の指標195・1%が、20年度には186・0%と、9・1ポイント改善する。具体的なGDP比の削減目標については、政府内で今後検討する。
「読売新聞」(2015年3月29日)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150328-OYT1T50156.html?from=tw
(貼り付け開始)
この記事で重要なのは「デフレ脱却が進めばGDPは大きくなり、債務残高が減らなくても、GDP比率の数値は減少する」という点であり、経済成長をすれば債務残高は減らなくてもGDP比では減少するので問題ない、ということである。
経済成長といっても、手法的に「第一の矢」と[第三の矢」によるものがある。第一の矢は公共事業によって需要を換気するデマンドサイドの政策、第三の矢は構造改革路線でありサプライサイダーの思想に基づいている。今は需要を喚起することが重要であることは言うまでもない。地方においては直近のレベルでは公共工事が重要になる。第3の矢などは中長期の課題である。
実は、この債務残高のGDP比を財政健全化の指標として設けようとして運動していたのが、「日本経済復活の会」というケインジアンたちの集まりで、この主要メンバーとしては政治家で亀井静香衆議院議員がいる。この会は、いわば「財務省」にとって不倶戴天の敵であるといえよう。亀井氏は安倍首相の構造改革路線に対して反対姿勢を示していた政治家で、去年の衆院選でも広島6区で圧勝している。
この亀井衆議院議員が最近、国会内に超党派のグループを立ち上げた。産経新聞は次のように報じている。
(貼り付け開始)
政界風雲児・亀井静香氏が首相支援を表明 「日本は待ったなし。善政を敷いてもらわねば!」
産経新聞(2015年3月27日)
かつて政界風雲児といわれた無所属の亀井静香元金融担当相が27日、超党派グループ「地域活性化協議会」(根っこの会)を結成し、「日本は待ったなしだ。善政を敷いてもらわなければならない」と安倍晋三首相を支援する考えを表明した。
亀井氏はこれまで首相の経済政策「アベノミクス」や外交・安全保障政策に批判的な立場をとってきたが、「転向」の背景には、野党に甘んじていては存在感の低下は避けられないとの焦りがありそうだ。
この日国会内で行われた発足式には、首相に近い自民党の鳩山邦夫元総務相や、公明党の斉藤鉄夫選対委員長、民主党の篠原孝衆院議員ら与野党議員36人が出席。衛藤晟一首相補佐官も呼びかけ人となり、亀井氏自らが代表に就任した。
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地方再生で亀井氏が超党派グループ=鳩山氏ら50人参加
時事通信 3月27日(金)19時26分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150327-00000151-jij-pol
亀井静香元金融担当相(無所属)ら与野党の国会議員は27日、地方再生へ政策提言を行うことを目的とした超党派グループ「地域活性化協議会」を発足させた。
亀井氏は発足式で「(安倍政権に)善政を敷いてもらわなければならない。二つでも三つでも(政策を)必ずレールに乗せる」と強調した。
協議会には約50人の議員が参加。発足メンバーには、代表の亀井氏のほか、自民党の鳩山邦夫元総務相、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行、民主党の平野博文元官房長官らが名を連ねた。
(貼り付け終わり)
この「根っこの会」の設立について、実は亀井氏が今年のはじめに「日本経済復活の会」に呼ばれて講演したときに、「俺は一揆を計画している」と言う形で表明していたのである。
会の参加メンバー(呼びかけ人)は興味深い。(http://nekko.me/approve/)自民党から民主党、維新の党、社民党までずらっと揃っている。(計50名 敬称略・五十音順・3/27現在)会の規約には「会は、国会議員、地方首長、中小企業経営者,農林水産業事業者らを結集し、日本の根っことも言える地方や地域の活性化を実現する。」とあり、これが安倍政権の地方創生路線に対して政策提言をする集団であることがわかる。
これが必ずしも新党を目指しているものではないだろう。しかし、地方出身議員に重きをおいている議連であることは確かだ。
呼びかけ文では「現在裾野で踏ん張っておられる自治体、農山漁村、中小零細企業の方々と共に各首長、議員を結集し地域を元気にする、絶滅して手遅れとなる前に我が国の草木を育みしっかりした「根っこ」を張る方策を以って政府と社会を動かし、実行して参りたいと思います」とあり、これが構造改革路線に対向するものであることは明白だ。
亀井氏はもともと自民党時代には志帥会を率いていたが、この会で参加しているのは衛藤晟一首相補佐官だけのようだ。民主党からは、最近国会質問で下村博文を追い詰めている玉木雄一郎や、鈴木宗男の娘である細野派の鈴木貴子が、元新党大地では小沢系の松木謙公が参加している。自民党からの参加で注目なのは、100人の会員を持つと言われる「きさらぎ会」のリーダーの鳩山邦夫元総務大臣が参加していることだ。このグループは鳩山系や二階俊博とのネットワークにも広がっていく可能性がある。静かにタカ派の清和会グローバリスト路線との対決が始まっているのかもしれない。
この「根っこの会」は大阪維新の会のような都市型地方政党とは一線を画していることがいえるだろう。
そこに、二階グループが進めていた「債務残高のGDP比」という新基準の導入の動きがある。この新基準の導入のキーマンは二階総務会長である。
(引用開始)
■出足を鈍らせた二階ペーパー
「PBの改善を目指すことは、そもそもの財政規律目標である『債務残高の対国内総生産(GDP)比の改善』の障害だ」
自民党総務会長の二階俊博の名でこんな新説を唱える資料「二階ペーパー」が政権内で出回っている。1990年代のクリントン米政権は政府投資を大幅に拡大して経済のパイを膨らませ、債務残高のGDP比を低下させた、との論法で歳出削減をけん制。公共投資重視の旗を振り、農協改革の裏でも動いた二階の腕力には安倍も一目置く。与党から吹きつける逆風が諮問会議の出足を鈍らせる。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83244330W5A210C1000000/
(引用終わり)
このように、二階路線は与謝野馨元財務大臣らの掲げた路線を否定するものである。日本経済復活の会はこの「二階ペーパー」を評して「なぜ日本だけ政府債務の対GDP比が増えたのか。政府債務が増えるのは、どこの国でも共通だが、日本だけデフレでGDPを減らしている。日本が積極財政でGDPを増やせば債務の対GDPは減る。たったそれだけのこと」とブログで述べている。(http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-ca6d.html)
増税大好きの財務省が歯ぎしりしそうな意見であるが、これが正論だろう。その意味で「国土強靭化路線」の二階総務会長と「根っこの会」の亀井静香はかつて同じ派閥だった仲間でもあり、今後大いに連携していくのではないか。二階は党内部で、亀井は在野で。反ネオコンであり、あえて言えば「ゼネコン」路線である。それがいいのだ。草の根穏健保守の集まりである。
二階俊博といえば、中国派でもあり、福田康夫と一緒にボアオ国際フォーラムの折に中国の習近平国家主席と面会している。野党がいっこうに数において劣勢であり、まとまらない中、安倍晋三政権が長期政権化が視野に入ってきているが、そうなると反安倍を標榜していた勢力も、二階を通じて安倍政権の内部からの穏健化を推進していく必要が出てくるわけである。
この超党派の「一揆」は自民党一党独裁体制が確立した「2015年体制」を象徴する出来事だろう。二大政党制という理念よりも、実を取ろうという政治家の動きである。
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呼びかけ人
地域活性化協議会 呼びかけ人
(計50名 敬称略・五十音順・3/27現在)
衆議院議員 浅尾慶一郎 無所属
衆議院議員 阿部知子 民主党
参議院議員 荒井広幸 新党改革
衆議院議 稲津久 公明党
参議院議員 衛藤晟一 自由民主党
参議院議員 大久保勉 民主党
衆議院議員 逢坂誠二 民主党
参議院議員 大塚耕平 民主党
参議院議員 尾立源幸 民主党
衆議院議員 亀井静香 無所属
衆議院議員 吉良州司 民主党
衆議院議員 小山展弘 民主党
衆議院議員 斉藤鉄夫 公明党
衆議院議員 篠原孝 民主党
衆議院議員 鈴木貴子 民主党
衆議院議員 武田良太 自由民主党
衆議院議員 竹本直一 自由民主党
衆議院議員 田島一成 民主党
衆議院議員 玉木雄一郎 民主党
参議院議員 柘植芳文 自由民主党
衆議院議員 寺田学 民主党
参議院議員 寺田典城 維新の党
衆議院議員 照屋寛徳 社会民主党
参議院議員 徳永エリ 民主党
衆議院議員 仲里利信 無所属
衆議院議員 西村智奈美 民主党
参議院議員 野田国義 民主党
衆議院議員 野間健 無所属
衆議院議員 鳩山邦夫 自由民主党
衆議院議員 原口一博 民主党
衆議院議員 平沢勝栄 自由民主党
参議院議員 平野達夫 無所属
衆議院議員 平野博文 民主党
参議院議員 広田一 民主党
衆議院議員 福井照 自由民主党
衆議院議員 福島伸享 民主党
衆議院議員 福田昭夫 民主党
参議院議員 藤末健三 民主党
参議院議員 藤田幸久 民主党
衆議院議員 古川禎久 自由民主党
参議院議員 増子輝彦 民主党
衆議院議員 松木謙公 維新の党
衆議院議員 宮内秀樹 自由民主党
衆議院議員 宮崎岳志 民主党
衆議院議員 宗清皇一 自由民主党
衆議院議員 森山裕 自由民主党
元衆議院議員 山ア拓 自由民主党
参議院議員 山田俊男 自由民主党
衆議院議員 山本公一 自由民主党
衆議院議員 鷲尾英一郎 民主党
<参考>
産経新聞(2014.6.18 00:43更新)
鳩山邦夫氏の「きさらぎ会」、100人突破の勢い!?
自民党の鳩山邦夫元総務相が主宰する派閥横断型の政策グループ「きさらぎ会」の所属議員が、同党最大派閥の町村派(93人)を上回り、106人に達したことが17日、分かった。
同会は、鳩山氏と河井克行前衆院外務委員長らが平成23年6月に結成。当初は5人程度だったが、祖父が元首相、父が元外相という鳩山氏の毛並みの良さに加え、豊かな資金力で急速に拡大した。
かつて鉄の結束を誇った旧田中派の流れをくむ額賀派の佐田玄一郎元行革担当相や田村憲久厚生労働相らも役員に名を連ねている。19日夜には自身が育った東京・音羽の「鳩山会館」で開く「薔(ば)薇(ら)を観(み)る会」で結束を確認する。
鳩山氏は「安倍晋三内閣を徹頭徹尾支える」と周囲に公言しているが、党内では「新派閥結成に向けた動きではないか」との声もあがっている。
- ただただ現実を見ていくしかない。ということは(元記事)>>1さんに頷いてしまうんだけど。 五月晴郎 2015/4/03 05:37:17
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