02. 2015年4月01日 08:10:26
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http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/804.html#c3アジア投資銀に48カ国・地域 日米抜き、戦略欠き孤立 2015年3月31日22時36分 朝日新聞 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーの募集が31日、締め切りの期日をむかえた。欧州や韓国がなだれを打って参加したことに、米国の孤立感は深まる。日本にとって、待つのが得か、動くのが得か。 AIIBの融資基準や運営手法に懸念を示してきた米国だが、いまや孤立は明らかだ。30日から31日にかけても、北欧からフィンランドにノルウェー、スウェーデンが次々と名乗りを上げ、台湾までも申請することを発表した。 米政府内では当初から様々な意見があった。だが、そうした意見を集約し、一貫した戦略を作った様子はうかがえない。元政府高官は「ホワイトハウスの数人の強硬派の意見が強く、財務省や国務省とうまく連携が取れていなかった」と指摘。ある米政府関係者も「最初の段階から、もっと前向きに対応すべきだった」と話す。 米国はオーストラリアや韓国などに対し、参加の判断を慎重にするよう求めてきた。だが皮肉なことに、米国と最も緊密なはずの英国の参加表明で、主要国が堰(せき)を切ったように中国側に流れた。アジア開発銀行(ADB)関係者は「『一枚岩で対応しよう』と主要国を引っ張る姿勢が米国にみえなかった。AIIBという機関車に主要国が一緒に立ち向かうはずが、日米以外が直前に逃げ出した」と話す。 AIIBを後押しした背景には、中国など新興国の発言権拡大を狙った国際通貨基金(IMF)の改革が、唯一の拒否権を持つ米国の議会の反発で進んでいないことがある。2010年にまとまった改革案が通れば、中国の出資比率が6位から、米国、日本に次ぐ3位になるはずだった。米民主党のベテラン議会スタッフは「米国のオウンゴールだ」と言う。 政治学者のイアン・ブレマー氏は「中国主導の枠組み作りが成功すれば、米国主導の従来の国際秩序を弱体化させることにつながる」と指摘する。「問題は、中国が米国主導の従来の基準に追いつく前に大国になったことだ。長期的にみれば、自国の基準を変えなければならなくなるのは米国だろう」(ワシントン=五十嵐大介) ■加盟拡大、中国に制約も 各国が雪崩を打つように参加表明した流れをつくった英国。英紙フィナンシャル・タイムズによると、当初、日米との関係に配慮する英外務省は反対していた。だが、オズボーン財務相が、商業的な利益が外交上の懸念にまさると閣僚らを説得したという。 英国側が期待するのは、国際市場で増え続ける人民元取引を取り込むことだ。英王立国際問題研究所のロデリック・ワイ氏は「(金融街シティーがある)ロンドンの競争力につながるのも期待の一つだろう」とみる。ルクセンブルクなどとの、AIIBの欧州拠点の誘致合戦もささやかれる。 新興国の代表格「BRICS」から参加したロシアは当初、中国の影響力が強まりすぎることへの警戒があった。だが、中国の突出した経済力は無視できない。IMFや世界銀行が米欧主導になっていることへの不満も、共有している。中国が進める「シルクロード経済圏」構想に参加するためにも、AIIBに加わったという見方もある。 思惑通りの展開に見える中国だが、「本当に難しいのはこれから」(国際金融筋)との声もある。参加国が増えればその分、中国の発言権は薄まるからだ。 参加国には、銀行の運営に高い透明性を求め、中国の独走にブレーキをかける動きもある。オーストラリアは「理事会の権限が確保され、一国が銀行を支配できないこと」を正式参加の条件とする。中国の楼継偉財務相は、運営の仕方について「西側の規則が最良とは思わない」と述べており、「中国流」の運営にこだわりをのぞかせる。(ロンドン=寺西和男、モスクワ=駒木明義、北京=斎藤徳彦) ■日本、米の動向を様子見 31日午前、麻生太郎財務相は閣議後の会見で、AIIBへの参加について「極めて慎重な姿勢を取らざるを得ない」と述べ、改めて不参加の方針を示した。 AIIBへの参加をめぐっては年明け以降、財務省のもとに、中国・米国双方から水面下で接触があった。中国側が参加を要請する一方、米国側は直接的に不参加を求めてきたわけではないという。「別に要請はなかったが、『そうだよな』で(話は)終わった」(麻生財務相)という。 財務省のある幹部は「米国とこじれると何をされるか分からない。それは避けたい」と明かす。中国の経済成長に伴い、米中は安全保障分野だけでなく、経済分野でも覇権を争う。その米国とたもとを分かち、日米で主導するADBのライバルのもとに走る選択肢はそもそも取りえなかった。 政権は当面、参加表明国がAIIBの設立協定を結び、組織の運営や出資比率などが決まる6月末までは「様子見」の姿勢だ。不参加の場合、AIIBの融資を受けた案件の入札で日本企業が不利な扱いを受けかねない、との懸念もある。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は31日の会見で「インフラビジネスが不利になることだけはないようにしていただきたい」と注文をつけた。 米国が突然態度を翻して参加に転じ、日本がはしごを外されないとも限らない、との見方も政府内にはある。「米国が入るなら日本が入らない選択肢はない」(官邸幹部)と、「半身」の姿勢だ。 安倍晋三首相は31日午前、自民党の外交部会の幹部に対し、AIIBに対する日本のスタンスについて「大いに活発に議論して欲しい」と指示したという。同日午後には官邸に財務省の山崎達雄財務官や浅川雅嗣国際局長らを呼んで話を聞いた。 ◇ 〈アジアインフラ投資銀行(AIIB)〉 中国が提唱し、今年12月末までの設立をめざしている。本部は北京に置き、拡大するアジアのインフラ需要に対応することを目的にしている。昨年10月の設立覚書には中国やインド、東南アジアなどの21カ国が調印した。その後、英国やドイツなど欧州の主要な国々も参加を表明。これまでに48カ国・地域が創立メンバーに手を挙げている。法定資本金は1千億ドル(約12兆円)で、出資比率は各国の経済規模などをもとに話し合うと言われている。4月中旬に創立メンバーが確定。5月ごろに設立協定策定の最終会合があり、6月末までに協定署名のための閣僚大臣会合が開かれる。 http://www.asahi.com/articles/ASH3062H5H30ULFA02G.html
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