http://www.asyura2.com/15/senkyo182/msg/357.html
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90年の「バブル崩壊」、98年からの「デフレスパイラル」、そして、今回の「ミニスタグフレーション」(原油安で終わりつつあるが)のどれも、消費税が絡んでいる経済変動である。
財務省(旧大蔵省)は、円高対策の“切り札”として、税制で輸出企業に利益を供与できる消費税(付加価値税)を利用しようとしてきた。
89年の消費税の導入は、85年のプラザ合意に基づく超円高水準への移行が“動機”であり、97年の消費税増税は、90年代中盤の80円を切ることもあったエンドか状況への対応として政策化され、昨年4月の消費税増税も、リーマンショック後の円高(傷を負わなかった円と傷を負ったドルとユーロの関係)不況の打開策として政策化されたものである。
(「財政」問題は、輸出企業に利益を供与するとは言えないから、口実として持ち出しているだけ)
“不幸なこと”に日本は民主国家なので、過酷な円高だからといって、すぐに消費税を導入したり増税したりすることはできない。円高対策として政策化しようと動いても、立法に成功し実施しようとした段階で円安に転換していることもある。
昨年の消費税増税も、一昨年秋の実施最終判断でもめにもめたが、それは、すでに円高から円安へと為替水準が転換していたからである。
結局のところ、TPPやEPA(FTA)といった関税障壁の低下に対抗する政策として、関税代替性がある消費税の増税に踏み切らせた。(関税がゼロになっても消費税は輸入段階で課される)
消費税政策は、「バブル崩壊」・「デフレスパイラル」・「ミニスタグフレーション」と、どれも有効な経済活性化をもたらさず、全体の税収も“減少”してしまうという頓珍漢な状況を出現させている(これからもそうなるであろう)。
消費税は、輸出企業には利益だが、その他の経済主体にとっては、「給与支払い税」であり「債務履行税」である。
(消費税は付加価値への課税だから、付加価値の使い道として60%を占める給与への課税であることは明らかである)
むろん、家計も、それらの税負担を何とか転嫁しようという経済主体の動きを通じて可処分所得を失っていく。
他の経済主体が稼いだ付加価値(荒利)を、経済主体のなかでもっとも競争力が高いグローバル企業に移転させようという倒錯した政策が消費税であり、そのような歪んだ政策が経済社会の活性化につながらないことは自明である。
世界的に見ても、欧州や日本の経済がダメで、米国の経済が相対的に良好な理由として、付加価値税(消費税)制度の有無を指摘することもできる。
このようなことは財務省の官僚たちもわかっていたが、グローバル企業を経済の牽引力と考えているため、ずるずると失敗を重ねてきたのである。
先頃、安倍首相が、消費税は20年まで10%が上限と答弁したことに象徴されるように、財務省は消費税を活用した経済政策に見切りを付け始めたように思える。
賃上げを推進するため口が裂けても言えないが、現状のような経済状況が続けば、17年4月の10%への増税も“延期”(取りやめ)になる可能性が高いと思っている。
(昨年、今年と続いているグローバル企業を中心とした賃上げの“原資”は消費税増税で増えた“消費税利得”の一部である。10%への増税はしないと言った途端、賃上げの波が一気に引いてしまうだろう)
最後に「富裕層への所得増税」について一言:
ある経済状況(悪性インフレ)では富裕層を中心に中高所得者の所得への増税が必要だが、現時点ではそれを必要としない。
社会保障給付額もことさら削減する必要はない。
増税や歳出削減を考えるより、設備投資と輸出を増やす政策に注力すべきである。
※ 参照投稿
「財政健全化、はや暗雲:首相、消費税10%超えは封印 成長頼み、歳出削減も及び腰:安倍政権の政策のほうが合理的」
http://www.asyura2.com/15/senkyo182/msg/303.html
「黒田総裁は「財政の番人」に:政府は国民の下僕、日銀は政府の下僕:「財政ファイナンス」ではなく「国債サイクル管理」 」
http://www.asyura2.com/15/senkyo182/msg/306.html
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アングル:富裕層の所得増税案浮上、消費税10%でも財政再建困難なら
2015年 03月 30日 10:36 JST
[東京 30日 ロイター] - 4月1日で消費税率8%への引き上げから1年が経過するが、政府部内では早くも10%への引き上げ時の景気落ち込み対策が水面下で議論されている。
8%増税で想定を超えた長期間の影響が出た点を踏まえ、一定規模の経済対策が欠かせないとの声が浮上。同時に財政目標の進ちょくを点検する中間評価を2018年にかけて実施し、目標達成が困難なら富裕層向け所得税や相続税の引き上げ検討を主張する声も政府部内で出てきた。
<想定超え長期化した8%増税の後遺症>
首相官邸や内閣府関係者などには、8%への消費税率引き上げ時に想定を超えたショックが日本経済に走ったと分析する見方がある。10%への引き上げ時には、この経験を踏まえ、慎重に政策対応すべきとの意見が広がりつつある。
複数の政府関係者によると、17年度に予定されている10%への消費税増税に合わせて経済対策を実施し、景気の落ち込みをできるだけ回避する政策対応が検討されている。
昨年の消費税引き上げにより「国民が消費税にものすごく敏感だということがわかった」(政策当局者)といい、政府内では物価の上昇がもたらす消費不振のマグニチュードが確認できたとしている。
次の消費税引き上げ幅2%は、昨年の3%よりも小幅とはいえ、先の複数の政府関係者は、経済対策が必要との認識が政府部内でほぼコンセンサスとなっていると述べる。
<消費税10%、安倍首相はそこから上げない覚悟>
問題は、その後の景気情勢と財政状況だ。政府関係者の1人は「消費税は安倍晋三首相の意向もあり、10%以上には上げない覚悟。しかし、最後に歳出と歳入を合わせなければならない。歳出カットか歳入を増やすか、選択しなければいけない」と指摘。安倍政権としての軸足の置き方を検討していると話す。
その関係者のシナリオは、10%への増税後にしばらく時間をかけて景気への影響を見極め、18年にかけて財政健全化目標の達成状況について中間評価を実施。困難な見通しとなれば、追加策を検討する──としている。
今年2月に経済財政諮問会議で公表されている財政健全化の基本フレームでは、中間評価について、目標達成が難しければ「歳出、歳入の追加措置を検討し、20年度の財政健全化目標を確実に達成すべき」としか記されていない。
別の政府関係者は「まだ文章に記されていないが、歳入増は他の税目の引き上げも選択肢になるのではないか、という議論になる」と語る。
政府関係者の間では、追加の増税対象として相続税や富裕層をターゲットにした所得増税などの案が水面下で検討され出した。
<赤字改善しなければ、大胆な医療費削減検討も>
歳出カットよりも成長による税収増に軸足を置きたい安倍政権としては、産業競争力会議で検討されている公共インフラの民営化(PFI)や、医療分野への民間参入に期待したいところだ。
だが、これらの成長戦略が思うように効果を発揮しない場合や、今後の景気動向によっては税収が期待ほど伸びず、財政健全化目標に全く到達できないというケースも出てきそうだ。
そのケースでは、歳出面で最もウエートの大きい医療費に大胆なメスを入れないと、歳出と歳入のギャップは開いたままになるとの厳しい意見も政府部内にはある。
(中川泉 編集:田巻一彦)
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