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脱藩官僚いろいろ。古賀茂明さんの「『報ステ』内幕暴露」で考えたこと
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42674
2015年03月30日(月) 高橋 洋一「ニュースの深層」 現代ビジネス
先週、テレビ朝日の朝生(『朝まで生テレビ!』)に出演した。格差問題でピケティ本を題材にするというので、その解説本(『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める! 』http://www.amazon.co.jp/dp/4860637402/)を書いている筆者にも話があったわけだ。
番組における筆者の役割は、本の解説だったので、それをやってお役御免、後は、他の出演者の話を楽しんだ。堀江貴文さんの話はいつも刺激的で面白かった。堀江さんとは、その日に、冨山大学のオープンカレッジ(http://enjin01-toyama.jp/open)でもご一緒させていただいた。
■朝生で指摘した、民主党の事実誤認
格差問題や貧困問題は、価値観によって大きく対応が異なる分野だ。だから、短時間のテレビ番組では言いたい放題になって終わる。筆者は、価値観の違いによって答が異なる社会問題では、政治プロセスがないと、まともな対応ができないと思っているので、テレビなどの発言は控えめにしている。
ただし、議論の中で、事実誤認があれば指摘する。朝生では、民主党の大塚耕平参議院議員が、民主党政権と自公政権で、雇用の状況のトレンドは変わらないと発言したので、それは事実でないといった。
本コラムでは再三にわたって指摘しているのは、金融政策は雇用政策であるということだ。それを、いち早く理解したのは、今の安倍首相だ。雇用を増やせれば、右も左も関係ないと安倍首相は筆者に語ってくれたことがある。筆者はもちろん民主党幹部にも同じことを言ってきたが、残念ながら民主党として理解できなかったようだ。かつて、同じ朝生で、今の枝野幸男幹事長とも、金融政策で議論したことがあるが、まったく理解していなかったし、今でも同じだ。
大塚氏の意見は、民主党内に根強いが、まったく事実でない。朝生の番組中に言ったことだが、下図をみれば一目瞭然だ。なお、朝生では以前にも大塚氏とやりあったことがある(2010年5月31日付け本コラム「「郵政改革法案」強行採決国会で浮上した大塚副大臣の「虚偽答弁」疑惑」( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/633 )。
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安倍政権は金融政策によって雇用を増やしたのは事実だ。そして、民主党は論外としても、自民党の中でも、正しい金融政策を主張したのは安倍首相だけだった。本コラムの、2012年9月17日付け「金融政策のイロハも知らない自称「金融財政のスペシャリスト」も登場!「経済政策」から見た自民党総裁選5氏の「通信簿」」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33559)を読めばわかる。
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■ 古賀茂明さんのように、「私にはできない」
そこで、今日の本題に入ろう。朝生に出演する前に、同じテレビ朝日の報道ステーションをみて、びっくりした。旧知の間柄である古賀茂明さんが出演しており、生放送中、ニュースと関係のない話で、古館氏と激論し内幕暴露したのだ(例えば https://www.youtube.com/watch?v=QiSbmhekgWg&feature=youtu.be ただし、リンク切れになるかもしれない。書き起こしならいくつもネットにある)。
古賀さんの行動について、どう思うかと聞かれるが、「私にはできない」と答えている。
その理由は、テレビ出演上の契約が気になるからだ。契約と言っても、普通のゲスト出演では明確な契約書類があるわけでない。番組のメインキャスターくらいだと、契約書類があるようだが、その内容はアバウトらしい。まして、通常の場合には契約書類はなく、事前にスケジュールが空いているかどうかの打診があり、その後、口頭ででてくださいと言われるだけだ。
この意味では、番組レギュラーといっても、明示的な長期契約になっていないのが通常だ。出演依頼について今回だけなのか、ちょっと先まで予定確認されているかどうかの違いでしかない。
番組の依頼の際、担当者と打ち合わせる。特に、まとまって話す場合には、フリップを作るために、打ち合わせは入念だ。筆者の場合、テレビで話す内容は、どこかで公表済みであるので、その公表物を担当者に伝えて、フリップその他をつくってもらう。
先週の朝生では、ピケティ本の解説を期待されていたので、ピケティの不等氏「r>g」のフリップが用意されていた。番組中、紙の資料も使って説明したが、それは、r(資本収益率)とg(成長率)の具体的な推移を表す図のフリップが間に合わなかったので、本番前に担当者がプリントアウトしてくれたものだ。
テレビ番組は、出演者一人のものではなく、スタッフを含めた共同作品であるので、大きな進行枠の中で、各人が割り当てられた役割をこなすというものだろう。この点は、明確な契約関係があるわけではないが、筆者はそう思っている。テレビ局との間は、担当者との口頭の打ち合わせと本番前に渡される紙の番組進行プログラムだけしかない。口頭打ち合わせと紙の進行プログラムは、テーマと大まかな流れに関わるもので、これが出演契約で、出演者はその枠内で番組進行させる義務があると、筆者は考えている。
朝生は、番組進行プログラムはかなりおおざっぱであり、その場の雰囲気でどうにでも変わりうる。ただし、報道ステーションは、もっと具体的だったと思う。
■「官邸からの圧力」を客観的に明らかにできるか
もちろん、以上の一般論は、今回の古賀さんの行動を批判するものではない。古賀さんは、そんな小さな私的契約関係より、もっと大きな公益があるというだろう。ここで公益とは官邸からの圧力を世間に知らせることだ。
筆者は、これまで事実関係を客観的に明らかにできる場合にそれを言うというスタンスだ。これは、本コラムその他をみてもらえれば分かると思う。逆にいえば、そうでなければ意見表明することはまずない。そうした観点から見れば、官邸の圧力を客観的に示せないと、ちょっといえない。
古賀さんも知っていると思うが、官邸であれば、尻尾をつかまれるほどバカなマネはしない。官邸の職員の誰かがテレビ朝日に報道内容を確認していても、官房長官の指示はありえないし、職員も報道ステーションだけを狙ってやらない。オフレコ記者懇のメモだって、客観的とはいいがたい。
筆者は、キャリア公務員でも数%しか経験しない官邸勤務がかなりある珍しい存在だが、官邸ではやることが一般の省庁より多いので、マスコミ対策ばかりやっていられない。それに、報道ステーションの世間に対する影響力を考慮すれば、今の官邸にとって特別の存在でもないことくらいは察しが付く。
直接的にでないものとして、テレビ朝日の放送番組審議会のメンバーが問題で、そこを経由して圧力という話もあるが、報道ステーションが取り上げられたのは、2014年10月9日だけである(http://company.tv-asahi.co.jp/contents/banshin/index.html)。そこでは、川内原発報道と”従軍慰安婦問題”検証番組が取り上げられている。前者は間違った編集は大問題だったが、後者はいい評価だった。
もし、本当に官邸が圧力をかける気があるなら、放送番組審議会経由なんて官邸がやるような手口でないことは、古賀さんも知っているだろう。
おそらく古賀さんは何かをつかんでいるかも知れない。別の手口を具体的に国民に示せるなら、公益があるといってもいいと思う。
ただ、筆者なら、それだけの公益があれば、契約で制約のあるテレビではなく、他のメディアやネット上で自由にやっただろう。今はそれが容易にできるからだ。
なお、筆者は、抜き打ちでやり、手順上の問題との指摘を受けたことはこれまでない。例の埋蔵金でも、既に公表されている経済財政諮問会議での作成資料や予算書に書かれていた内容を説明しただけで、暴露でも何でもない。これまで筆者の書いたものは、公表資料による客観的なデータに基づくものだけだ。
■原発問題への古賀さんと筆者のアプローチも違う
古賀さんと筆者のアプローチの差は、他にもある。別にどちらがいいという話ではないが、例えば、エネルギー問題にもある。
古賀さんは、原発問題を倫理的に追究するので、「原発の倫理学」という本を書いている。そこでは、経産省と東電のダメぶりが描かれ、原発もダメという。前者は納得できる部分もあるのだが、それが原発にどうつながるのか、筆者にはちょっと分からない。おそらく、古賀さんは、特に原発だけは、倫理の問題として、経産省や東電の問題とは別に、ダメというのだろう。まさか、火力や水力までを否定するわけではなかろう。
筆者のアプローチは市場原理によって経済問題として扱うものだ。原発のコストが高いので、電力自由化などをうまく進めれば、原発は自然とフェードアウトしていくことやその他のエネルギーの組み合わせはコストとの関係で最適になることを使っている。
本コラムでも、2012年9月10日付け( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33497)や2012年12月3日付け( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34216)などで書いてある。
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この原発を経済問題とするアプローチからは、再稼働即ストップには直結しない。むしろ、その主張は東電を法的整理・原発を国有化して電力を自由化することなど、倫理アプローチに基づく原発即ストップの人からは生ぬるいといわれる。ただし、原発の危険性も保険料換算で組み込む経済原理を使っているので、長い目で見れば、電力会社サイドにも受入可能なロジックである。
経済問題アプローチをとるためには、客観的なデータで原発推進の人も説得する必要がある。そこでの攻防は、いかに原発コストを社会的にビルトインさせ、原発事業をフェードアウトさせる仕組みを作るかである。
一方、倫理アプローチは、経済問題ではなく、即脱原発すべしと世間全体を信じるように持って行くことで大衆運動が主体であろう。そうであれば、両者の行動パターンは自ずと異なって行かざるをえない。
古賀さんが倫理アプローチをとっていることを筆者が感じるようになったのは、古賀さんが大飯原発の再稼働で運動していた時からだ。
古賀さんが、原発に限らず各種の社会問題に対して倫理アプローチをとるであろうことからみれば、今回の騒動は、古賀さんにとっては合理的な選択かもしれない。倫理アプローチに共感する者は社会に一定割合で存在するが、そうした人たちに対し古賀さんの倫理アプローチの価値を高める行動だからだ。
主義主張の展開は、ネットの上では自由にできる。政府の圧力という名目でテレビ以外で活動すればいいわけだ。その方が熱狂的なファンを獲得できるかもしれない。
また、倫理アプローチは、価値観に基づくものなので、政治行動に転化しやすい。古賀さんは、今のところ政治活動をやらないと言っているが、今後どうなるのか興味を持って注目したい。社会をよりよくするのであれば、白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である。
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