http://www.asyura2.com/15/senkyo182/msg/331.html
Tweet |
左遷! さらば、NHK『ニュースウオッチ9』大越キャスター エースはなぜ飛ばされたのか(その1)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42660
2015年03月30日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
ときに政権への独自の見解をさしはさむなど、お堅いNHKの報道番組のキャスターとしては異例の存在だった大越健介氏が、3月末に降板する。唐突な異例人事の裏側でなにが起きていたのか。
■前例のない交代劇
「まさに青天の霹靂でした。NHK局内の現場でも、誰もこのタイミングで大越さんが降りるとは思っていなかった。まさに異例のキャスター交代ですよ」
こう語るのはNHK報道局の記者。夜の報道番組『ニュースウオッチ9』で5年にわたってキャスターを務めてきた大越健介氏が、3月いっぱいでキャスターを降板することになった。『ニュース9』といえば、NHKの看板番組、そのキャスターである大越氏はNHKの「夜の顔」だが、今回の人事の経緯には不可解な点が多い。
「NHKでは、毎年10月か11月頃に『キャスター委員会』という会議が開かれます。『ニュース9』や『おはよう日本』『あさイチ』といった番組のメインキャスターを誰にするかを話し合う場で、翌年春の番組改編などでキャスターが代わる可能性があれば、そこで新任のリストが挙げられ議論される。
昨年の委員会では、『ニュース9』に関してキャスター交代の話が持ち上がらなかったので、当然、大越さんは留任するものだと皆が思っていた」(前出の記者)
ところが、年が明けてから突然、大越氏が交代するという報道が出た。NHK職員のほとんどが、報道で彼の交代を知ったのだ。あまりに唐突な話だったので、NHK上層部が官邸の意向をうかがって行った特別人事ではないかと見る向きも多い。NHK関連会社の幹部が語る。
「大越さんは昨年暮れ、上層部から呼び出され、降板を言い渡されたそうです。本人も寝耳に水だったので、なぜこのタイミングなのか、もう少しやらせてもらえないかと食い下がったが、決定は覆らなかった。表向きは通常の異動による交代ということになっているが、事実上の『左遷』といっていい人事で、本人も煮え切らない思いでいっぱいのようです」
大越氏は'61年、新潟県生まれ。東京大学在学中には野球部のエースとして活躍した。'85年、NHKに入局し岡山支局を担当した後、政治部記者として頭角を現していく。
政治部では自民党の旧経世会(現・平成研究会額賀派)を担当した。経世会は放送局に影響のある郵政族議員を数多く輩出してきた田中角栄系の主流派閥。その担当記者は、政治部の出世コースといえる。当時の大越氏を知る全国紙の編集委員が語る。
「橋本龍太郎首相や野中広務官房長官(共に当時)の担当記者として活躍していました。野球部出身だけあって体力には自信があるようで、とにかくガッツで取材をするタイプ。NHKの政治部記者というと、政治家にすり寄っていく官僚タイプが多いのですが、大越さんは違った。取材で疲れてくると下ネタを連発して大笑する、豪放磊落な記者でしたね」
アメリカ総局ワシントン支局長などを経て、'10年3月より『ニュース9』のキャスターに。ニュースの末尾に独自の見解をさらりとさしはさむスタイルは、NHKのニュースキャスターとしては珍しく、話題を呼んできた。
■珍しくモノを言える人
いうまでもなく、公共放送のNHKの報道は公正中立を第一の原則とする。だが、大越氏は単にニュースを垂れ流すだけの報道では満足しない「モノ言うキャスター」だった。大越氏はかつて、本誌のインタビューに答えている。
「政治に対しては多少モノを言いたいと思うし、原発事故に関しても、やっぱり言うべきことはきちんと言いたい。NHKだから無味乾燥でいいということは、絶対にないと思いますから」
実際、大越氏は特定秘密保護法や原発再稼働について番組内で意見を述べることもあった。とりわけ、安全保障や外交面では安倍政権に対して批判的な立場だ。前出の報道局の記者が語る。
「大越さんは、NHK政治部の記者としてはリベラルな人。普段は立場をわきまえて言いませんが、仲間内で飲んでいるときには、『こんな政権はさっさと潰れたほうがいい』と公言するほどです。
政治的に右か左かという以前に、報道機関として政権に批判的な意見も公平に流さなければならないという、ジャーナリストの矜恃がある。よくイギリスのことを引き合いに出して、『BBCは公共放送でも政権にきちんとモノ申す。NHKも政権の犬になったらおしまいだ』と語っています」
番組降板が決まってからも、そんな大越氏の意地が見える場面があった。
「3月5日の放送では経世会の大物だった野中さんを引っ張り出してインタビューしていました。野中さんは現在の菅義偉官房長官が憧憬していると言われる辣腕官房長官でしたが、憲法改正や集団的自衛権の問題では安倍政権に批判的で、大越さんとは肝胆相照らす仲です。彼を出演させたことは、官邸へのメッセージとも取れる」(NHK元政治部記者)
大越氏はあくまで公正中立な報道を心がけているだけだが、公共放送をハンドリングすることを目論む官邸としては面白くない。ある大手紙政治部記者が語る。
「安倍首相は公邸か自宅で9時のニュースを見ることが多いのですが、大越キャスターの話すことがいちいち癪に障るみたいです。一度、私が公邸で同席したときには、大越さんがコメントを始めると舌打ちして『また始まったよ』とぼやいていました」
■官邸にとって「目障り」に
戦後70年という節目を迎える今年は、安倍談話の発表があるし、集団的自衛権についても議論が白熱するだろう。官邸にとってみれば、そんなデリケートな時期に、大越氏のような人材は目障り以外の何物でもない。
(その2へ続く) 「週刊現代」2015年4月4日号より
◇
左遷! さらば、NHK『ニュースウオッチ9』大越キャスター エースはなぜ飛ばされたのか(その2)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42678
2015年03月30日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
現実的に、官邸が大っぴらにキャスター人事にまで口をはさむことは難しい。だが、官邸の意向を何より重んじる籾井勝人会長とその顔色をうかがう雰囲気が、現在の局内には漂っている。NHK社会部中堅記者が語る。
「もともとNHKの記者、とりわけ政治部記者は官邸と近しい関係にあります。公共放送として予算を通さなければならないので、政界との微妙な調整役を政治部記者が担うことも多く、それもしかたない面がある。しかし、籾井氏が会長になってからは、局と官邸の距離が近づきすぎて、報道の中立という理念は絵に描いた餅になってしまいました」
官邸とNHKの間には、目下4つのパイプがあるといわれている。社会部記者が続ける。
「第1のパイプが、菅官房長官と籾井勝人会長のホットライン。ただし、籾井氏のたび重なる失言が政局になるのを嫌った官房長官は、最近では籾井氏と距離を置いています。むしろいま官邸と近いのは元政治部長の井上樹彦理事でしょう。
他に杉田和博官房副長官と板野裕爾NHK専務理事も親しい。板野氏は現場に『ちゃんとグリップを利かせた報道をしろよ』と伝えて、暗に官邸の意向を忖度するようしむけたがる。
他には今井尚哉首相秘書官と、いま最も安倍首相と親しいと言われている女性記者・岩田明子解説委員のパイプも太い」
これらのパイプを通じて、安倍首相をはじめとする官邸の意向はNHK上層部に伝わる。直接、人事に口をはさむことはなくとも、「大越キャスターの発言はなんとかならないのか」というぼやきが伝わってくると、NHK側がその意を「汲み取って」人事に動くということはありうる話だ。
■美人記者との確執
さらに、事情を複雑にするのが、大越氏の古巣である政治部内部での権力闘争だ。前出のNHK元政治部記者が語る。
「現在の政治部長である小池(英夫)さんは、大越さんの同期。昔は二人の仲は良かったそうですが、あるとき原稿の書き方をめぐって対立し、それ以来仲違いしている。
小池さんはとにかく部下に厳しい剛腕タイプ。彼が政治部長になってから、デスクたちは夜勤で朝5時頃まで働いても、翌朝10時からまた会議があるというような環境で働かされています」
NHKでは6月に人事異動が予定されているが、小池氏は編集主幹のポストを狙っているとされる。前出のNHK関連会社の幹部が語る。
「編集主幹のポストは3つあり、それぞれ政治部、社会部、ディレクター出身者が務めることになっています。大越さんが左遷され、小池さんが編集主幹になれば、二人の出世レースは完全に勝負がついた形になる」
もう一人、政治部のなかで大越氏と微妙な関係にあるエース記者がいる。それが前出の岩田氏だ。岩田氏は、安倍氏が官房副長官だった頃からの番記者で、官邸との距離が近いことで有名だ。
「首相の自宅にも出入りできる数少ない記者。小泉政権時代に安倍氏が若くして官房長官に抜擢されたので、それに乗じて政権中枢に喰い込んだ運のいい人です。東大出のすらっとした美人で、仕事ぶりは優秀だが、安倍政権の御意見番と言ってもいいほど官邸びいき。
あくまで報道は中立であるべきと考える大越さんは、以前から岩田さんの取材姿勢を疑問視していました。逆に岩田さんは、大越キャスターのコメントのしかたに不満がたまっているようです」(前出の元政治部記者)
このように、個人的な思惑も絡まり、大越氏を疎んじる空気がNHK報道局の一部で共有されていた。彼らにとって「官邸の意向」は人事抗争の側面を覆い隠す錦の御旗になる。そして、官邸は自ら動かずとも「大越外し」という目的を達することができる。こうしてエースが、我々視聴者の前から姿を消すことになったのだろう。前出の関連会社幹部が語る。
「国民の受信料で賄われているNHKという組織は、体面を非常に気にします。今回のキャスター交代に関しても、官邸からの横槍人事ではないかという噂を打ち消すため、大越さんを小池さんと一緒に編集主幹に昇進させてしまおうという意見もあるそうです。しかし、そのようなアクロバティックな人事はハードルが高い。おそらく大越さんは、体裁のいいポストをあてがわれる形で『左遷』されるのではないか」
大越氏の後任キャスターは、河野憲治国際部長に内定している。NHKきっての英語遣いで、記者としての評判は高い。
「国際部畑を歩いてきただけに政治色が薄く、官邸からしてみると扱いやすい人材でしょう」(前出・社会部記者)
本誌は、今回の人事は通常のものとは異なる、官邸の意向を反映した事実上の左遷ではないのかとNHKに問い合わせたが、同広報部からは「番組のキャスターについては、内部の所定の手続きにより、独自の判定で選考しています。ご質問のような事実は一切ありません」との回答だった。
モノ言うキャスターが去り、NHKの「政権の広報機関化」はますます進むのだろうか。大越キャスターの最終登板は3月27日。エースが最後に何を語るのか、注目したい。
「週刊現代」2015年4月4日号より
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK182掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。