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2015-03-23 12:44:38
「憲法改正『賛成』51%」ーー読売新聞は本日3月23日朝刊の一面にこの見出しを麗々しく躍らせていました。改憲賛成がかつかつで50%を超えた数字ですが、それでも「やったぞ」という気分が改憲推進新聞である読売の見出しから感じられます。
この「51%」という数字自体、人為的に操作して50%超えにしたのではないかという”疑念”を持たざるを得ません。それはあくまで”疑念”にとどまりますが、読売新聞の普段の論調を合わせ考えると、とにかく今の時機に「憲法改定」への流れを加速させたい”意志”を感じます。
今回の調査のやり方自体が、「誘導」です。設問の第1問は、「今の日本の憲法のどんな点に関心を持っていますか。次にあげた問題は、すべて憲法に関係するものですが、あなたがとくに関心を持っているものを、いくつでも選んで下さい」とし、18項目を並べました。
第2問が、「今の憲法を改正する方がよいと思いますか、改正しない方がよいと思いますか」です。
つまり、この組み立ては、まず第1問で現憲法の問題点を意識させ、次の第2問で「問題点が意識されれば、『改正する方がいい』に丸をつけるはずだ」という巧妙な設定の仕方なのです。事実、第1問には、「環境問題、選挙制度問題、情報公開問題、地方自治問題国会の二院制の問題」など、現憲法で指摘されてきた問題点や、国会運営の問題点などを並べています。
こうした誘導によっても、「改正派」はなんとか50%を超えた程度という体たらく。第1問のような前提を置かずに、最初から「改憲に賛成か、反対か」をストレートに聞けば、読売の調査でも「改憲賛成」は過半数を下回ったのではないでしょうか。
もっともひどい質問の仕方は、第5問。「戦争を放棄し、戦力をもたないとした憲法9条をめぐる問題について、政府はこれまで、その解釈や運用で対応してきました。あなたは、憲法9条について、今後、どうすればよいと思いますか。1つだけ選んで下さい」としたうえで、三つの答えを並べました。
次のような選択肢をあげており、それぞれの答えた%は以下の通りでした。
@これまで通り、解釈や運用で対応する 40%
A解釈や運用で対応するのは限界なので、9条を改正する 35%
B9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない 20%
これに対する読売の記事は、「戦争放棄などを定めた憲法9条については、『これまで通り、解釈や運用で対応する』が40%で最多。『解釈や運用で対応するのは限界なので、9条を改正する』は35%、『9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない』は20%だった」と書きました。
一見、何の作為もないように見えますが、ここには「9条改正」の賛成と、「反対」との間であまり差がないように見せる仕掛けがありました。「解釈や運用」を二つに分けたことです。
記事としては、「9条改憲に賛成は35%、反対は65%」と書かなければならないところです。これなら、改憲反対が3分の2を占めています。ところが、「解釈や運用」を分散させる設問に仕立てることで、目立たないようにしたのでした。
読売が大々的に宣伝する「改憲賛成」は51%ですが、真の狙いの「9条改憲に賛成」は35%にすぎないのです。それでも、紙面全体を通じて「憲法改定」の気分が高まるように誘導する紙面づくりです。その意味では、「ご苦労さん」と声ををかけてやりたいくらいですが、なんとも始末に悪い新聞社です。
こうした悪辣(あくらつ)なメディアが今後さらに勢いを増してきそうです。質の悪いメディア、情報にくれぐれもお気をつけ下さい。
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