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中国の影響力が強まる(習近平国家主席と李克強首相)/(C)AP
中国にやられた「アジア開発銀」 歴代トップたちの無能無策
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158246
2015年3月21日 日刊ゲンダイ
習近平国家主席の“高笑い”が聞こえてきそうだ。中国主導で年内に設立する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に、イギリスに続き、ドイツ、フランス、イタリアが参加を決めた。
これで参加国は計31カ国に。日米とカナダを除くG7の過半数が“支持”に回ったことで、アジア経済で中国の影響力が強まることは間違いない。
さらにオーストラリアも参加を検討中で、韓国も今月中に参加を表明するという報道が相次いでいる。
既存の「アジア開発銀行(ADB)」との役割分担が明確でないなどと反発してきた日米は、中国にまんまとしてやられた格好だ。
「そもそも、中国がAIIBの設立に向けて動いたのは、ADBに対する不満があったからです。1966年の発足時から最大出資国である日米(出資比率15・65%)主導で、総裁も初代の渡辺武氏から現在の中尾武彦氏に至るまで9代続いて日本人。それも、日銀出身のひとりを除いて全員元財務(大蔵)官僚です。財務省国際局長から財務官を経てADB総裁という天下りの指定席になっている。当然、67の加盟国から批判の声もありましたが、米国の後ろ盾もあって死守してきたのです」(財務省関係者)
先代の黒田東彦・現日銀総裁もお決まりのコースに乗って、13年3月までADB総裁を務めた。要するに“大株主”のやりたい放題が続いていたのだ。日本を抜いて世界2位の経済大国になった中国(出資比率6・46%)にとって、面白いはずがない。
「中国は、黒田氏の次の総裁の座を狙って画策していたのですが、財務省の牙城を崩せなかった。それもあって、習国家主席が13年10月にAIIBの創設をブチ上げたわけです」(前出の財務省関係者)
「日米」VS「中国」の主導権争いは、欧州主要国の参加表明で、一気に中国有利に傾きつつある。ルー米財務長官は「米国主導の多国間制度に挑んでいる」とかみついていたが、後手後手だ。
「鉄道や高速道路、発電所など、アジア新興国のインフラ投資は、欧州企業にとってもおいしいプロジェクトです。中国は実利をちらつかせ、粘り強く4カ国を切り崩してきました。5月に総選挙を控える英キャメロン政権がそれに飛びつき、独仏伊が追随した。ADBは、そうした欧州各国のニーズを読み切れていなかったともいえるでしょう」(経済ジャーナリストの岩波拓哉氏)
いかに大株主でも、トップが無能では務まらない。
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