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2015年03月20日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆「少子高齢化が進むなかで、これからは日本人口の3分の1が、65歳以上の超高齢社会」になる。この超高齢社会を「豊かさを実感できる幸福度の高い長寿社会」にするには、どうすればよいのか。そのヒントを与えてくれたのが、東大の宇沢弘文名誉教授(1928年7月21日〜2014年9月18日)だった。専門は数理経済学、意思決定理論、二部門成長モデル、不均衡動学理論など。「社会的共通資本」(ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を安定的に維持する―このことを可能にする社会的装置)という概念を打ち立て、「その考え方や役割を、経済学史のなかに位置づけ、農業、都市、医療、教育といった具体的テーマに即して明示した碩学」として、ノーベル経済学賞受賞候補者としても知られた。
◆この宇沢弘文名誉教授の実践的学問所論を想起させてくれる著作が、戦後70年目にして現れた。「社会保障が『公共事業』となる国へ〜介護・医療・子育てを軽視する社会は崩壊する」(阿部道生著、つくばね舎刊)だ。
著者は、1946年名古屋市生まれ。大企業幹部、経営陣を経て、現在、「阿部社会学ラボ」主宰、日本風俗史学会常務理事、日本社会学会会員。主な著書に「変わりたい日本人、変わりたくない日本人―日本的閉塞社会論―」(2002年、はる出版刊)「団塊世代の高齢者介護―お年寄りも家族も不幸にならないために―」(2004年、つくばね舎)がある。
◆「社会保障が『公共事業』となる国へ〜介護・医療・子育てを軽視する社会は崩壊する」のなかで、著者は「政治的アパシーの今こそ『闘う社会保障論』を展開する。「真に必要とされる社会保障」を政治過程に乗せなくては実現できないからである。ひょっとしたら、宇沢弘文名誉教授の「社会的共通資本」論は、学者特有の「空理空論」だったかも知れない。東大その他の私大で薫陶を受けた弟子たちが、「社会的共通資本」論が、政府の政策に反映されたという話を一切聞かないからである。現実の政策に反映されなければ、「実学」とは言えない。
その意味で、「社会保障が『公共事業』となる国へ〜介護・医療・子育てを軽視する社会は崩壊する」に提示されている政策が、現実の政治過程で具体的に法律化されて、実現されることが期待される。
この著書は、以下のような柱で構成されている。
第1章 社会を閉塞・劣化させた張本人は〈絶対善〉信奉という自己救済
第2章 日本社会の再生は「脱原発」を措いては始まらない
第3章 日本社会をミスリードする「経済成長至上主義」幻想
第4章 社会保障は必要悪でも絶対善でもない必須アイテㇺ
第5章 人口減と高齢化は否定すべき負の社会現象か
第6章 認知症高齢者介護を問題の中心からはずす政治的意図
第7章 せっかくの介護保険制度を漂流させる厚労省
第8章 医療現場の疲弊を放置すれば日本社会は危険水域へ
終章 〈絶対善〉の集積が招いた鬼っ子「安倍政権」に国民は
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