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【阿比留瑠比の極言御免】
何が「メディアの萎縮」か 勝手な民主党の被害妄想
http://www.sankei.com/politics/news/150319/plt1503190004-n1.html
人は、自分がやったことは他者もやるものだと思い込む傾向がある。民主党幹部らがやたらと「安倍晋三首相の発言によってメディアが萎縮している」と強調するのを聞くと、彼らは政権の座にあったころの自分自身の似姿をそこに見ているのだろうと感じる。
■メディアを軽視?
民主党が問題視しているのは、首相が昨秋に民放テレビ番組に出演した際、放映された街頭インタビューがアベノミクスに否定的な意見ばかりだったことについて、「おかしいじゃないですか」と指摘した件だ。幹部らが相次いで次のように批判している。
「(首相が)報道機関に対してクレームをつけて、それを言論の自由なんて言われたら、人権そのものに対する大変な侵害だ。実際に私も報道関係者と話しているが、この話になるとみんな口を閉ざすんですよ」(細野豪志政調会長)
「(首相は)相当考えて出演しないと、報道の自由、言論の自由が萎縮してしまう」「やっぱり安倍政権になってメディアは萎縮している、完全に」(岡田克也代表)
「私も官邸で(官房長官として)仕事をした経験を踏まえると、首相が強い調子でいろんなことを言えば、どういう威嚇効果があるか」(枝野幸男幹事長)
とはいえ、テレビの街頭インタビューは、実際は何人に聞いたか分からないなどとかねて恣意(しい)性を指摘されてきた。海千山千のテレビ関係者が、今さら首相にちょっと言われたぐらいで萎縮する道理がない。
「報道番組の人たちは、それぐらいで萎縮してしまう人たちなんですか。(そうだとすると)情けないですね。極めて情けない」
首相は12日の衆院予算委員会で、細野氏の質問に対してこう反語表現を用いて反論した。それにしても細野氏はメディアを、どれほどなめきっているのか−。
民主党幹部らに、ここまで権力に弱く時の政権の顔色をうかがう存在だと決め付けられたメディア側は、この際「冗談じゃない。バカにするな」と怒りの声を上げるべきだろう。
■政権取ると態度豹変
振り返れば民主党は政権党時代、非常に細かく記事に文句をつけてきた。些細(ささい)なことで記者だけでなくその上司も呼び出して謝罪を求めたり、取材拒否をしたりは日常茶飯だった。
野党時代は「◯◯さん」と敬称付きで呼ばれていた年下の議員から、政権交代した途端に呼び捨てにされるようになった記者もいる。産経新聞に「言うだけ番長」と書かれた前原誠司政調会長(当時)は、産経を記者会見から閉め出した。
筆者も菅直人首相(同)の記者会見でごく当たり前の質問をしたところ、NHKで全国中継されている中で「すり替え質問だ。フェアじゃない」などと直接非難されたことがある。だがもちろん、そんなことで萎縮したり、質問を自粛したりはしない。
そのほか民主党政権は、菅首相がブログを始めるなどといったつまらない記者発表に「できるだけ(若手記者ではなく)官邸キャップが来るように」と指定してくるなど、高飛車で高圧的な姿勢が目立った。手にした権力に溺れた「成金」ならぬ「成権(なりけん)」を見るかのようだった。
結局、民主党は権力を握れば何でもできる、メディアも当然支配下に置けると勘違いしていたのである。そして現在はその幻影を安倍政権に投影して勝手に被害妄想に陥っているのではないか。(政治部編集委員)
[産経ニュース 2015/3/19]
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