http://www.asyura2.com/15/senkyo181/msg/660.html
Tweet |
日本も似たような歴史的変遷を遂げてきたというか、米国の後追いを続けてきたのが日本である。
紹介されている書籍の書名をもじれば、「何が日本の総中流社会を崩したのか?」という問いに答える必要があるのかもしれない。(総中流社会が錯覚であったにしろ、そう表現することにそれほど違和感はなかった)
「グローバル自由主義」なのか、それとも、「国民経済主義」なのか、国民経済の存在意義や経済政策の基軸といった国家社会の根底をめぐるテーマを議論しなければならない時代になったと考えている。(r>gレベルではなくね)
==================================================================================================
[この一冊]誰がアメリカンドリームを奪ったのか?(上・下) ヘドリック・スミス著 「普通の人」が没落する社会赤裸々に
機会均等を標榜する国、米国。その平等な機会を活(い)かし、勤勉と努力によって成功を勝ち取ることがアメリカンドリームとされる。夢の体現者としては、マイクロソフトを創ったビル・ゲイツ、アップルのスティーブ・ジョブズらが挙げられる。
本書で議論の対象となるのは、そうした一握りの大成功者ではない。ミドルクラス(中間層)と称される、ごく普通の人々による幸福の追求である。彼らは庭付きの家を持って、安定した生活を送ることを夢見て日々、仕事にいそしんでいる。
このささやかな夢の実現が現在、困難になるだけでなく、中間層の貧困層への没落が進んでいる。ここに超富裕層の誕生が加わり、米国では所得格差がこれまで以上に大きく拡大した。これが著者の見立てである。この診断を基軸に据えて格差社会米国の実相が明らかにされるとともに、しかるべき対策が論じられる。
普通の人々による夢の実現はなぜ難しくなったのか。大企業による議会への働きかけが奏功し、労働法、破産法、年金制度などが企業に有利となるように次々と改正されたことが指摘される。人員削減が容易になり、企業による年金費用負担も減少した。企業収益が拡大する中で、経営者に支払われる報酬も一挙に増大した。富裕層に対する所得税率の引き下げなどが加わり、大企業の経営トップやウォール街のトレーダーなどを中心に超富裕層が誕生した。
その一方で、普通の人々の職場であった工場などはグローバル化の流れの中で中国など海外に移転し、就業機会も乏しくなった。事態打開のためにも情報技術(IT)関連の仕事など、いわゆる知識産業での雇用拡大が見込まれた。しかし、これらの仕事もやがて賃金が割安なインドなどに流出したり、外国人労働者によって埋め合わされたりした。
こうして普通の人々の仕事の多くは米国からなくなり、あったとしても賃金は従来の半分程度まで引き下げられ、彼らの夢を奪ったのである。事態の改善を図る方策として、製造業の復興を目指した産業政策の実施や超富裕者に対する課税の強化などが提案される。
以上が、著者が見立てた超格差社会、米国の姿である。
特に中間層没落の実際が赤裸々に語られる。ただし、産業政策の実施で雇用や賃金が回復し、夢の実現が容易になるとは到底思われない。夢を描けなくなったことが今後、米国社会にどのような影響を及ぼすのか気になるところである。
原題=WHO STOLE THE AMERICAN DREAM?
(伏見威蕃訳、朝日新聞出版・各2000円)
▼著者は米ニューヨーク・タイムズ元記者。著書に『ロシア人』『パワー・ゲーム』などがある。
《評》同志社大学教授 鹿野 嘉昭
[日経新聞3月15日朝刊P.23]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK181掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。