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安倍首相の“歴史修正主義的”と受け止められかねない言動は、東アジア国際関係の歴史的流れに“貢献”するためのものと解釈している。
まず、対中国という側面で考えれば、関係悪化の口火を切ったのは、民主党の前原国交大臣(当時:尖閣諸島領海での中国漁船拿捕事件)や野田首相(当時:尖閣諸島の国有化政策)であり、安倍首相は、それらの問題が引き起こしその後も引きずっている日中関係に対し、日本国首相として“正論”を主張してきたに過ぎない。
(安倍政権は、その裏で、教科書検定制度を利用するかたちで、中国側の意向に沿った政策変更を行っている)
安倍首相は、第一次政権でも、小泉元首相の靖国参拝で冷え込んだ日中関係を改善するため“いの一番”で中国に向かい戦略的パートナーシップを確認した。
中国(共産党)は、それ以降現在に至るまで安倍氏を“好意的に”高く評価している。
07年9月、代表質問に答える直前に内閣総理大臣の職を投げ出し遁走するという前代未聞の醜態を見せたことで国会議員という身分さえ許されないはず安倍氏が、12年9月の自民党総裁選で総裁に再任され、それから2ヶ月ほどのちに野田首相(当時)が安倍総裁との党首討論の場で衆議院の解散をぶち上げ、12月の総選挙で自民党が大勝するという政局の経緯にも、中国側の強い要望が深く関わっている。
東アジア国際関係の流れに“貢献”するための言動というのは、基本的に朝鮮半島の統一に資するためという意味である。
派閥内で力を涵養してきたわけでも政策立案などで高い能力を示したわけでもない安倍晋三氏が内閣総理大臣になった(なれた)のは、奇妙な話だが、北朝鮮や中国に大きな政治的負い目があるからである。
“平時”や“自立した独立国”であれば、そのような近隣諸国に対し政治的負い目を持つ政治家が有力政党の党首や内閣総理大臣になることは考えられない。
しかし、従米的態度が政権を担当する可能性がある政治家の“宿命”となっており、朝鮮半島問題とりわけ北朝鮮関係正常化政策が“鬼門”となっている日本では、だからこそとも言えるが、火中の栗を火の粉を浴びてでも取り出さざるをえない立場にある人物=安倍氏が内閣総理大臣になってしまうのである。
(02年の小泉訪朝も米国支配層の差配であり、北朝鮮に政治的負い目がある安倍氏も官房副長官として訪朝に同行した)
06年に発足した第一次政権で安倍首相がわざわざ「従軍慰安婦」問題を蒸し返したのは、彼の政治的信条や歴史認識というより、韓国国民多数派が日本にそっぽを向くように仕向けるためのパフォーマンスと考えたほうがわかりやすい。
安倍首相の「従軍慰安婦」関連発言は韓国のみならず中国・米国・欧州諸国・アジア諸国で大きな反発を招いたが、これを契機として、韓国の外交が、韓米関係を基軸としながらも、徐々に中国寄りに傾いていった。
このような動向により、朝鮮半島の南北分断国家の両方が、中国とのあいだで強い関係性を築くようになった。(韓国対策なのか、北朝鮮と中国のあいだは“冷えた”関係と見せる傾向がある)
対日要求の集大成である「アーミテージ−ナン報告書」を読めば推測できるように、1990年代から(実際にも90年代の米国は活発な訪朝外交を展開)、米国支配層は、2020年頃までに朝鮮半島の統一を実現したいと考えていた。
東西ドイツが統一され、イランやキューバとの関係改善も明確に模索されるようになった今、残された“冷戦の遺物”は、朝鮮半島南北分断だけという国際情勢になりつつある。
最後の“冷戦の遺物”を壊すステップとして、朝鮮半島全体が中国の政治的経済的影響下に入ることを選択したわけである。
北朝鮮と米国も“お友達”だが、それを公然と示すことはできない。北朝鮮は、米国がアジアで軍事的戦略論をぶち上げるための格好のネタだからである。
そのため、中国を後ろ盾にするかたちでの南北統一をめざす政策を採っている。そのような米国は、日中韓朝の関係性を調整しつつその上位に立つ存在であろうとしている。
安倍首相は、日本国民にとってはえらい迷惑な話だが、「従軍慰安婦」問題で韓国民を怒らせることにより、韓国政府が外交政策を「日本離れ中国寄り」に転換することをサポートしたと言える。
総理大臣どころか国会議員になる“資格”さえない安倍氏には、日朝国交正常化を花道としてできるだけ早く職を辞してもらいたいと思っている。
【付記1】
河野洋平氏は、「安倍さん本人は非常に我慢して参拝もしないとしているが、彼の周辺の発言や行動を彼はあまりに許容し過ぎている」と評している。
このような政権の状況について、2月末にBSフジの「プライムニュース」に出演していた亀井静香氏は、“君側の奸”として非難気味に語っていた。
私は、亀井氏の“君側の奸”論よりは、河野氏の“許容”論をとる。
安倍氏ブレーンは、俗に言う右派的保守的愛国的言動を周辺の人物が行うことで、安倍氏も右派的保守的愛国的政治家だと国民に“錯覚”させる手法を採っている。
それにより、右派的国民は同士として安倍氏を捉え、左派的国民は危険な政治家として安倍氏を捉える。このような国民世論が、いい意味でも悪い意味でも安倍氏の外交政策を支えると考えているようだ。とりわけ、右派的人士の不興を買う政策を遂行しなければならない安倍首相にとって、右派を取り込むことが重要な術数といえる。
近隣諸国に対し政治的負い目を持つ“危険な”政治家だからなおのこと、そのスネの傷を隠すため、愛国主義やタカ派と見られるよう腐心しているのである。
【付記2】
河野氏は、「国民の不安を代弁する声があまり聞かれない。なぜか。」と問われ、「選挙制度に原因がある。小選挙区制に変ったために、民意がうまく反映されなくなった」とし、小選挙区制の弊害として、派閥の衰弱=執行部への権力・権限集中を指摘している。
小選挙区の弊害が明瞭に見えているのに、小選挙区制に非を唱える政治家が少ない事に驚く。
比例代表は、民意をより明確に議席に反映させる制度であることは認めるが、小選挙区制以上に政党執行部に忠実な議員が生まれる選挙制度であり、政治信条や政策が変動する歴史的状況のなか新しい政治家が生まれにくいことから望ましい制度とは言えない。
※ 参照投稿
「「大戦、深く反省」 首相、70年談話にらみ演説:UN常任理事国の役割を引き受ける用意があるとも:中途半端な反省は国益毀損」
http://www.asyura2.com/15/senkyo181/msg/586.html
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インタビュー:安倍首相、歴史修正主義の疑念払拭を=河野洋平氏
2015年 03月 18日 11:59 JST
[東京 18日 ロイター] - 河野洋平・元衆院議長(元自民党総裁)は、ロイターのインタビューに応じ、安倍晋三首相は自身の言動が歴史修正主義との疑念を招いているとし、疑念を払しょくするのは、今夏に予定する戦後70年の「安倍談話」では歴代の「談話」の文言を継承することだとの認識を示した。
疑念が払しょくされない場合は、「日本の国際的信用を失墜させる」とし、冷え込んでいる日中関係や日韓関係は今より悪化し、日米関係への波及にも懸念を示した。
安倍首相が進める安全保障政策についても疑問を呈し、「武力をもってでも平和を創る」という前のめりの考え方に不安感を持つと批判した。
インタビューは17日に行った。概要は以下の通り。
── 戦後70年の安倍談話で、日本がアジア、世界に送るべきメッセージは。
「本来なら『50周年の時、60周年の時よりも、日本は近隣諸国との関係がよくなり、世界平和のためにますます貢献していきます』と言うのが一番出して欲しいメッセージだが、今の状況は少し違う」
「歴史認識について注目を集めるような言動が安倍さんにあるからだが、そうであるならば、安倍さんは今度のメッセージで、明確に、歴史認識も従来通りで変わっていない、歴史修正主義との疑念は全く当たらないということを明確に言うことが大事だ」
── 安倍首相の言動とは。
「この1年、集団的自衛権の行使容認の閣議決定や、武器輸出3原則の原則を緩めるなど、戦うための準備と思える作業がどんどんと進む。しかもそれが、国会での十分な議論や国民の認識を深めることもなく進むということからくる心配だ」
──歴史認識に関する発言も原因のひとつか。
「中国、韓国との関係で友好的に改善しようという言動はほとんどない。一方で、靖国神社問題では、安倍さん本人は非常に我慢して参拝もしないとしているが、彼の周辺の発言や行動を彼はあまりに許容し過ぎていると思う」
──「村山談話」を継承し、「植民地支配」、「侵略」、「心からのおわび」という3つのキーワードを談話に盛り込むかが焦点だ。
「疑念を払しょくするのに一番簡単なことは、そのまま継承しますということだというのははっきりしている」
「村山談話のキーワードで日本は20年間やってきた。内閣はそれを継承してきた。(安倍首相)ご自身の言葉が何なのかはわからないが、今ここでそれを止めなければならない理由は何なのか。そこに、皆、疑念を持ってしまう。それが中国の疑問であり、韓国の疑問であり、日本の国内にもそれに対する疑問がある。安倍さんはまだこの点について答えてはいない」
──謝罪し過ぎとの指摘もある。
「私はそう思わない。リーダーが謝罪するそばから、閣僚や特別補佐官が違うことを言ったりする。そして違うことを言った人を処罰するか、あるいは人事異動させるかというと、そういうことを一切しない。むしろ、非常にかばっている。それでは疑いが濃くなる」
「村山内閣の時にも、村山さんと違う発言をした人はいる。しかし、その時には、閣僚は辞表を出した。それによって、村山さんの信用は維持された」
──疑念が払しょくされない場合、最も懸念することは。
「日本の国際的信用を失墜させる。日中関係は今より悪くなり、日韓関係も非常に悪くなる。日中・日韓の関係がごたごたすると、米国は非常に困るだろう」
──日中関係は昨年11月以降、改善の動きが出始めている。逆戻りか。
「逆になる可能性がある。中国はいまだに安倍政権にかなり懐疑的だ。しかし、少なくとも安倍さんも中国に来て(APEC首脳会議の際に)習近平国家主席と言葉を交わしたのだから、不安を持ちながらも、一生懸命自分に言い聞かせて、手探りで進めている。しかし、ここで、そうでないことがはっきりすれば、やはり違うなということになり、(日本に対する)信用は非常にマイナスの方向に進む可能性がある」
「日韓は今年国交正常化50周年。(文字通りの)節目だ。この節目の時に、問題を克服すべきではないか」
──安倍首相が進める安全保障政策についての評価は。
「疑問を持っている。『積極的平和主義』をとるというが、集団的自衛権行使も容認する、武器輸出(の原則)も従来より緩める、自衛隊の海外派遣についても従来のやり方とは違うのだという」
「簡単に言うと、武力を持ってでも平和をつくるという前のめりの考え方に非常に不安をもっている。私はもちろん、国民が非常に不安を持っている。なぜか。それは、本当に民主主義の手順が踏まれているだろうか、国会での議論が民意に沿っているのかどうかということへの不安がある。圧倒的多数を持っている与党が思ったことをやるんだというが、それは必ずしも民主主義とは言えない。民主主義では、少数意見の尊重やもう少し丁寧な手続きがあるべきだ」
──安倍首相が意欲的な憲法9条改正について。
「絶対反対だ。日本は70年前の悲惨な戦争で、あれだけの人命を失い、あれだけ周辺国に迷惑をかけ、その反省のもとに新しい日本を出発させた。そういうことへの反省・記憶をどこかに置いて、またもと来た道を歩くのかという不安を、日本人は心の底に持っている」
──国民の不安を代弁する声があまり聞かれない。なぜか。
「選挙制度に原因がある。小選挙区制に変ったために、民意がうまく反映されなくなった」
「また、小選挙区制を導入したころから、派閥の力を弱めようとしてきた。複数の候補者が立てられる中選挙区制時代は、派閥の力が盛んだった。ところが、一人の候補者しかたてられないとなると派閥の力は弱くなる。権力に対してモノを言おうとする時、昔は、不利益処分を被りそうになっても、派閥がそれを守ってくれた。ところが、今、派閥の力が弱くなってしまい、一人の力で、一人のリスクでやらないといけないということになり、言いにくくなった。
(リンダ・シーグ 吉川裕子 編集:田巻一彦)
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