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3月9日夕方、首相官邸で安倍首相との会見に臨んだメルケル首相
Photo:picture alliance/Aflo
メルケル首相の「静かなる警告」に耳を傾けよう
http://diamond.jp/articles/-/68238
2015年3月12日 田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授] ダイヤモンド・オンライン
“3・11”に合わせるかのようにメルケル独首相が来日。われわれの胸に響く数々の言葉を発して去った。
かねてから私は、強い関心を持って、メルケル首相の言動に注目してきた。
彼女はしばしばサッチャー英元首相と対比されてきた。両者は共に「鉄の女」と呼ばれることがあるらしい。顕著な共通点もある。女性政治家であることはもちろんだが、2人とも保守政党に属する。そして、サッチャー氏は化学、メルケル氏は物理学と理系女子であることもふしぎな共通点だ。
最も違うのは、サッチャー氏が化学を学んでいた若い頃から政治家を目標としていたのに対し、メルケル氏はベルリンの壁の崩壊、冷戦の終結、ドイツ統一の激流の中で政治家への道を選択したことだ。
大きな野心と構想力で英国首相の座を得たサッチャー氏と違い、メルケル氏は現実政治に柔軟に対応して最善の道を選び現在の地位に至ったと言ってもよい。その流儀は脱原発への大転換を成し遂げることに発揮された。
メルケル首相には、わざとらしいパフォーマンスは見られない。言動もすこぶる抑制的である。言わば「静かなるサッチャー」と言うところだろうか。
ヨーロッパだけでなく、世界政治の中でも年毎に彼女の存在感は増している。それは、ロシアと中国からも信頼されていることによるものだろう。だからと言って、八方美人の域にはいない。
■日本とドイツの違いを感じさせたメルケル首相の3つの発言
今回の訪日で、彼女は日本に対して示唆に富む発言をした。これは「静かなる警告」と言ってもよい。
(1)東アジア情勢については「アドバイスする立場にはない」とした上で、独仏関係の例を語った。ドイツの「過去の総括」とフランスの「寛容な振る舞い」が、独仏関係を修復して現在の連携を可能にしたと言う。日本にとっても中国や韓国にとっても実に耳の痛い言葉だ。
(2)メルケル首相は「長年、核の平和利用に賛成してきた」と率直に述べ、「その考えを変えたのは福島の原発事故」であり、「日本も共にこの道を進むべきだと信じている」と明言した。
また、脱原発に反対した政治家も、今では「決定が遅すぎたと言っている」とも述べている。
福島原発事故に学んで脱原発の重大決断をしたドイツに比べ、当の日本が再稼働を急いでいることに同首相は大きな疑問を抱いているに違いない。
(3)彼女は講演で「日独両国は、ブラジル、インドと共に国連の強化と安保理の改革に尽力している」と述べ、今後も日本と共に国連改革に努める姿勢をあらためて示した。
日本とドイツを比べると、ドイツが世界のための国連改革という面が強いのに対し、日本は、日本の常任理事国入りのための国連改革を志向しているように見えるのが残念だ。
現在の常任理事国制が時代に適応していないことはもちろんだが、まずは常任理事国5ヵ国以外の大多数の国を背景に日、独、印、ブラジルが先頭に立ち、常任理事国制度の運用に対して注文をつけることが先ではないか。例えば、「5ヵ国による拒否権不行使の申し合わせ」をするように働きかけることも必要だ。
今回、あらためてひたすら「常任理事国になりたがっている日本」とドイツとの温度差を感じさせられた。
日本とドイツは、共に第二次世界大戦で敗戦国となり、戦後は「旧枢軸国」として不本意な立場に置かれてきた。そこには共通の国民感情もある。両国はこれからもお互いに学び合って進み、国際社会で貴重な役割を果たすことができる。今回はメルケル首相の「静かなる警告」をしっかり受け止めようではないか。
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田中秀征
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