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育鵬社の歴史・公民教科書
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150309/dms1503091140001-n1.htm
2015.03.09
★(5)
2011年に全国的なニュースとなった「八重山教科書問題」。育鵬社の中学校公民館教科書採択をめぐり、八重山諸島の石垣市、与那国町と竹富町が熾烈なバトルを繰り広げた事件だ。あれから4年たち、今年夏には新たな中学校教科書採択がある。地元では公民教科書だけでなく、歴史教科書の切り替えにも踏み込む可能性が取り沙汰されている。正々堂々としたタブーのない論戦に期待したい。
沖縄ではマスコミを中心に、沖縄戦で旧日本軍が住民の「集団自決」に関与したなどと明記する歴史教科書が賛美される。
いたずらに軍隊の残虐性を際立たせることで、自衛隊や米軍への反感を煽ろうというイデオロギー的な狙いだ。日本史を肯定的に記述する育鵬社版や自由社版は「右翼の教科書」扱いで激しい誹謗中傷にさらされている。
4年前は公民教科書が問題になり、「八重山採択地区」を構成する3市町のうち、石垣市、与那国町が育鵬社版、竹富町が東京書籍版を採択。採択地区内では同一の教科書を採択するよう求める教科書無償措置法の違法状態となった。
3市町が組織した教科書選定の組織「八重山採択地区協議会」は各教育委員会に育鵬社版を答申していたため、答申を拒否した竹富町が違法とされた。だが、その後の法改正で、竹富町の八重山採択地区離脱が認められ、一件落着となった。
従来の教科書選定は、教員が協議会に教科書を推薦するシステムだった。教員は育鵬社や自由社の教科書に批判的な教職員組合の影響を受けやすく、両社の教科書は事実上、議論の入り口でシャットアウトされてきたのである。
しかし、協議会会長で、石垣市教育長だった玉津博克氏は昨年、教員による推薦システムを廃止した。協議会が各社の教科書を色眼鏡なしで比較検討し、自主的な判断で教科書を選定できるフェアなルールに改革した。玉津氏は同年退任したが、ルールは残った。
国境の島である八重山は現在、中国の直接的な脅威にさらされている。子供たちが自国の歴史や文化に誇りを持ち、不屈の精神的土壌を養うことも「抑止力」だ。それは島々の平和と繁栄を守る道でもある。
住民からは、柔軟な思考で歴史教科書を選定するよう求める声が上がっており、育鵬社版や自由社版も当然、他社と横一線の候補である。
どの教科書が採択されるにせよ、最重要なのは「ルールを守る」ことだ。4年前の教訓を生かし、沖縄だけでなく全国から監視の目を注ぐことで、国境の島にふさわしい教科書採択を実現したい。 =おわり
■仲新城誠(なかあらしろ・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点する地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)など。
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