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文民統制も撤廃 安倍首相が目論む「積極的平和主義」の暴走
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157860
2015年3月8日 日刊ゲンダイ
<「歴戦の臆病者」の世代は、いずれはこの世を去っていく。そして問題はその後の「戦争を“劇画的にしか知らない勇者”の暴走」にあり>――評論家・山本七平氏の39年前の著書「一下級将校の見た帝国陸軍」の一節だ。
先の大戦時、山本氏は砲兵隊の見習士官としてフィリピン・ルソン島に赴任。その体験記で、歴戦の臆病者=戦争の本質を知る人々が逝った後、戦争を知りもせず勇ましく振る舞うであろう世代の暴走を厳しくいさめた。そんな先人の警告も、安倍首相には馬耳東風なのだろう。
安倍政権は6日、防衛省内で「背広組」(文官)が「制服組」(自衛官)より優位だとしてきた「防衛省設置法」の改正案を閣議決定した。
文民である防衛相が自衛隊を統制するのが「文民統制」(シビリアンコントロール)で、防衛相を政策の専門家の背広組が支えるのが「文官統制」だ。先の大戦を招いた「軍部の暴走」への反省の象徴だった文官統制を、安倍は改正案で「見直す」という。
文官統制の「重し」を失えば、戦前のように現場の自衛官が暴走する恐れが強まるのは明らかだ。そんな疑念に、安倍首相は6日の衆院予算委で「シビリアンコントロールは、国民から選ばれた総理大臣が最高指揮官であるということにおいて完結している」と答弁した。
「安倍首相が最高指揮官だから、余計に危なっかしいのです。文官統制が外れれば、軍事の素人の総理は制服組の言いなり。ましてや、自衛隊を世界展開させる安保法制をもくろむ安倍首相が最高指揮官では、歯止め役どころか、暴走に拍車をかけかねません」(立正大教授・金子勝氏=憲法)
冒頭の山本の一節は<その予兆は、平和を叫ぶ言葉の背後に、すでに現れているように思われる>と続く。「積極的平和主義」を掲げる暴走首相の出現を見事に予言している。
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