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安倍政権は、国連平和維持活動(PKO)協力法の制定以来、20年以上かけて積み上げてきた自衛隊の海外派遣の枠組みを、たった1カ月の生煮えの議論で大幅に拡大しようとしている。
集団的自衛権の行使容認を柱とする昨年7月の閣議決定を法制化するための自民、公明両党の与党協議は2月13日に始まり、これまで3回開かれた。政府からは週替わりメニューのように自衛隊の海外での活動を拡大する提案が次々と示されている。中でも大きいのは、周辺事態法の抜本改正と恒久法の制定だ。
◇閣議決定の拡大解釈だ
周辺事態法は、朝鮮半島有事など日本周辺で日本の平和と安全に重要な影響を与える事態に米軍へ後方支援ができると定めた法律だ。政府は、法改正により周辺事態という事実上の地理的制約を廃止し、政府が「日本の平和と安全」に重要な影響があると判断すれば、地球のどこでも自衛隊を派遣して後方支援ができるようにすると提案した。
これとは別に「国際社会の平和と安定」のためには、国連決議がなくても有志国連合に後方支援などができる恒久法を新しく制定する。この新法では、後方支援だけでなく、駐留、巡回、検問などの治安維持活動までできるようにするという。
閣議決定文には「切れ目のない対応を可能とする国内法制の整備」や「他国軍隊に対し必要な支援活動を実施できるようにするための法整備」という大枠の考え方が示されているだけだ。周辺事態法の名前まで変える抜本改正や、恒久法を制定し治安維持活動まですることは閣議決定文には書かれていない。
昨年の閣議決定に至る与党協議では、集団的自衛権の行使容認の議論に早く入ろうとして、グレーゾーン事態や国際平和協力分野の議論をほとんど深めずに終わった。その分、閣議決定文はあいまいなところがあり、政府はそこを突いて、拡大解釈ともいえるような提案をしている。
公明党は先月末の協議で、自衛隊を海外に派遣する際の条件として、(1)国際法上の正当性(2)国民の理解と民主的な統制(3)自衛隊員の安全確保−−の「3原則」を踏まえて法制化を検討するよう求めた。だが、これらは当然のことであり、最低限の歯止めと考えるべきだろう。
改正周辺事態法や恒久法により、自衛隊の海外での活動は地理的にも内容的にも飛躍的に拡大し、武力の行使にあたらない活動ならば相当のことができるようになる。だが、中東で他国軍に後方支援をする場合など、目的が日本と国際社会の平和の両方に関わるような事態に、どちらの法律を適用するかといった整理は政府内でもできていないようだ。
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自衛隊を派遣すべき事態に対する全体的なイメージがあって法制化の方針が出てきているというより、「切れ目のない対応」の名のもとに、山盛りのメニューが整理されずに提案されているようにみえる。
与党は、今月20日までに安保法制の骨格について大筋合意を目指すという。協議の自民党責任者の高村正彦副総裁が今月下旬に訪米を控えており、それまでに決着させたいようだ。大型連休中に予定される安倍晋三首相の訪米に間に合わせることも考慮に入れているのだろう。
◇理解が浸透していない
日米防衛協力の指針(ガイドライン)の今年前半までの改定をにらみ、今国会中に関連法案を成立させるには、大型連休明けに法案を提出する必要がある。4月には統一地方選があるため、3月末までの与党合意が必要だという逆算もされている。まさにスケジュールありきだ。
安全保障は国民の理解なしに成り立たない。将来も政権交代が起きる可能性があることを考えれば、本来、安保法制は主要政党の幅広い合意を得ながら整備するのが望ましい。
だが、今の議論は、複雑で盛りだくさんな内容を短期間で決着させようとしている。このため政府・与党内でさえ十分に理解している人は驚くほど少なく、突っ込んだ議論になっていない。
国民的にも政治レベルでも理解が浸透していないのに、重大な政策変更を含むテーマが次々と協議のテーブルに載せられていく。まるで積載重量オーバーのトラックが猛スピードで急カーブを曲がるようなものだ。今のままでは法体系が荷崩れを起こしてしまうのではないか。
http://mainichi.jp/opinion/news/20150306k0000m070119000c.html
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