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2015-03-05 「政界の佐村河内守」小沢一郎にとっての「新垣隆」は誰だったか
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150305/1425513534
「リベラル・左派」の床屋経済談義を眺めていて思うのは、相変わらず竹中平蔵への批判は活発なのだが、安倍晋三のお墨付きを得て、稲田朋美のブレーンとして「緊縮財政」に励む土居丈朗に対する批判はさっぱりお目にかかれない。ネット検索をかけても、過去数日間に私自身が書いた記事ばかりが目立つのだからお話にならない。「リベラル・左派」の範疇には入らないが、国家社会主義者の三橋貴明が土居丈朗を厳しく批判しているのが目立つ程度である。
また、「リフレ派」から安倍政権が土居丈朗を取り込んで財政再建に邁進しようとしていることに対する批判がさっぱり聞かれないのも不可解だ。「リフレ派」かどうかは知らないが、東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋が「リフレ派」の高橋洋一とつるんで「財務省と闘う安倍政権(あるいは『××ノミクス』)」という印象操作をやろうとしていたと記憶しているが、土居丈朗とは「消費税増税派」の代表的人物であって、「デフレ派」と言っても過言ではない人物だ。
そんなこんなで、今の「リベラル」や「リフレ派」の床屋経済談義に不信感が強まる一方の今日この頃。
さて、土居丈朗は竹中平蔵やノビー(池田信夫)とウマが合うらしく、鈴木亘を入れた4人で2010年に共著を出している。鈴木亘も代表的な新自由主義者の1人である。
日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか
http://www.amazon.co.jp/dp/456979291X/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-bqbu
私はこの本を読むどころか、本屋で見かけた記憶すらない。5年前の本だからもう絶版だろうし、5年前に「余命3年」とタイトルに銘打った間抜けな本が文庫化される可能性も皆無だろう。
ところで、土居丈朗と竹中平蔵、ノビーらとのつながりなどを調べているうちに、面白いものを見つけた。下記の話をこれまでに知らなかったのはうかつだった。なぜなら、今となってはその名前を記事に取り上げるだけでブログのアクセス数が激減する過去の人、あの「小沢一郎」に関する話だから。こんな話は、小沢一郎がまだ「大物」と世間に思われていた3年前に知っておくべきだった。
池田信夫 blog : 小沢一郎氏の「西南戦争」(2012年6月27日)より
今では知らない人も多いようだが、小沢一郎氏は1993年の著書『日本改造計画』の序文に、グランドキャニオンを訪れたときの印象をこう書いていた:
国立公園の観光地で、多くの人々が訪れるにもかかわらず、転落を防ぐ柵が見当たらないのである。もし日本の観光地がこのような状態で、事故が起きたとしたら、どうなるだろうか。おそらく、その観光地の管理責任者は、新聞やテレビで轟々たる非難を浴びるだろう。[・・・]大の大人が、レジャーという最も私的で自由な行動についてさえ、当局に安全を守ってもらい、それを当然視している。これに対して、アメリカでは、自分の安全は自分の責任で守っているわけである。
政府や企業に頼らないで「自己責任」で生きるという彼の政治哲学は、自民党政権の崩壊後の日本のビジョンとして鮮烈な印象を与えた。実際には小沢氏の書いたのは序文だけで、内容は当時の大蔵省の課長が編集長となり、竹中平蔵氏や伊藤元重氏などが書いていた。だからそこに書かれた経済政策は経済学者のコンセンサスに近く、所得税を下げて消費税を10%に引き上げると書いてあったのだ。
そう、竹中平蔵は小沢一郎のゴーストライターだったのだ。新垣隆と佐村河内守の関係と同じだ。
ノビーの話など信用できないと言われるかもしれないが、この話を書いているのはノビーばかりではない。自民党からみんなの党に移り、昨年の衆院選では民主党公認で立候補した山内康一も、みんなの党時代の昨年5月に書いている。
お薦めの本「日本政治ひざ打ち問答」 : 山内康一 の「蟷螂(とうろう)の斧」
お薦めの本「日本政治ひざ打ち問答」
久しぶりに「おもしろい!」と思った本をご紹介します。政治学者の御厨貴先生、日経政治記者出身の芹川洋一論説委員長の対談本の「日本政治ひざ打ち問答」という本です。 エピソードが具体的で読みやすく、政治に興味のある人にはかなりおもしろい本です。多少の予備知識がないと読みにくいかもしれませんが、対談なのでわかりやすいと思います。
例えば、小沢一郎氏の「日本改造計画」をつくったブレーンの名前をこの本で初めて知りました。政治の部分は御厨貴氏と飯尾潤氏、外交・安保は北岡伸一氏、経済は竹中平蔵氏と伊藤元重氏という豪華メンバーだったそうです。当時の小沢氏の政治的傾向が、後の小泉政権と似ていた理由がよくわかります。というより小沢氏の政策を小泉元総理が継承したとも言えるかもしれません。
政治記者出身の芹川氏のコメントも実感がこもっていて面白いです。ちょっと引用させていただくと(144ページ);
民主党政権はもうぼろぼろだったわけでしょう。私などは、大いに期待していたんですよ。
政治記者をずっとやっていて、政権交代を夢見ていたわけですから。 自民党の派閥取材をしていたのですが、いつの日か政権交代が可能な二大政党制的な政治ができるといいなと思って、何となくそういう動きをサポートしているというか・・・。もちろん精神的にですよ。新聞紙面ではサポートしませんし、してはいけないので。(笑)
ところが民主党の3年3カ月。私は「おれの青春を返してくれ」と言いたくなったんですね(笑)。「何なんだ、この連中は」と思ったんです。
かなり率直なコメントです。「おれの青春を返してくれ」というコメントなんて、政治部の記者が決して傍観者ではなく、当事者(プレーヤー)として振る舞っていることを改めて思い出させてくれます。
また90年代以降のメディア関係者の「政権交代可能な二大政党制、それを実現するための小選挙区制」への信奉ぶりもよくわかります。いまでも二大政党制論者がマスコミのある世代以上に多いのがよくわかります。
二大政党制信仰に染まっていない政治部の記者はあまり多くありません。いても中選挙区制回帰論者だったりします。世界ではあまり例のない中選挙区制というのは、あまり良い制度ではありません(良い制度なら世界で広まっていることでしょう)。
復古調の中選挙区制論者でもなく、小選挙区制論者(イコール二大政党制論者)でもない、新しいモデルを提唱しているのはみんなの党の「政党ブロック」くらいだと思います。まだまだ理解者は少ないですが、世界のトレンドにも近いので、いつか実現させたいと思っています(政界では少数派ですが)。政権交代可能な二大政党制への挫折を実感した芹川氏のような人にぜひご理解いただきたいものです。
*御厨貴、芹川洋一「日本政治ひざ打ち問答」日本経済新聞出版社、2014年
私は以前から、「みんなの党も山内康一も買わないけれど、彼らの比例代表制案は、定数削減の部分を除いて支持する」と書いてきた。山内康一は民主党に移って議席も失っているから影響力はないだろうが、小沢一郎を含むトロイカ(他に鳩山由紀夫と菅直人)の「宿痾」ともいえる、小選挙区制に固執する民主党の選挙制度に対する考え方を改めさせるべく頑張ってもらいたいものだ。もっとも、山内康一自身が所属政党が変わって小選挙区制論者に転向しているかもしれないが。
ところで、『日本政治ひざ打ち問答』という本も存在を知らなかったし、読みたいとも思わない。ただ、「政界の佐村河内守」小沢一郎にとっての「新垣隆」に相当する人間の実名(竹内平蔵ら)がそこに書かれているという情報だけで十分である。
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