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国会議員の急速な劣化が進んでいる。
国会議員の24.3%が2、3世の世襲議員になっている。これは国会議員の約4人にひとりが世襲議員ということになる。自民党にいたっては31.4%にもなる。約3人にひとりが世襲議員という異常事態に手が届きそうな形勢だ。
わたしが心配するのは、かれらには果たして国家の危機管理に対して、明確なビジョンがあるのかということだ。いや、それ以前に、そもそも政治家を志す情熱があったのかということだ。
「ワシントンは、インフラを機能不全に、市場を大混乱に陥れる力をもつ大規模なサイバー攻撃に対する懸念を強めている。ウィリアム・リン国防次官(当時)は2010年に、軍事作戦においてサイバースペースは「陸、海、空と同じくらい重要だ」と指摘し、レオン・パネッタ国防長官(当時)も、「サイバー空間での真珠湾」を警告した。ジェームズ・クラッパー米国家情報長官も2013年に発表した「トランスナショナルな脅威」のトップにサイバー攻撃をあげている。
(中略)
現在、電子メール、電話、送金など国境を越えた通信の95%は空や宇宙ではなく、海底を走る約300本、全長96万キロ超の光ファイバーケーブルを経由している。だが、この重要な通信ケーブルは、海底でも地上との接続部分でもほぼ無防備な状態におかれているし、小さな破損が重なり、大規模なダメージが生じるリスクも抱えている。
光ケーブルだけでなく、石油・天然ガスの海底掘削施設も無防備な状態におかれている。メキシコ湾の沖合で生産される石油と天然ガスは、いまやアメリカの生産量の約25%を担っており、米エネルギー省は、その割合は2040年までに40%に達すると予測している」(『Foreign Affairs Report』2015 NO.1)
このような危機に対して、元軍人が、非常に専門的な論文を発表し、対策を訴え、『Foreign Affairs Report』に掲載されるところが、いかにも米国らしい。
サイバースペースの危機が、きわめてアナログな「海底を走る約300本、全長96万キロ超の光ファイバーケーブル」にある。しかも「海底でも地上との接続部分でもほぼ無防備な状態」にあるという指摘は重要だ。
しかも、別なところで、ロバート・マーティネージは「アメリカを混乱させたいのなら、必ずしもこの国が直接に利用しているケーブルを狙う必要さえない。アメリカの通信データは、世界の海底ケーブル網のハブとなっている十数か国を経由しているからだ」と書いている。
実に脆弱で、ジェームズ・クラッパー米国家情報長官が、トランスナショナル(国境や一国の利害を越えた)脅威のトップにサイバー攻撃をあげたのも、それだけ無防備だからであろう。
もうおわかりだろうが、「海底インフラの安全を守る」という問題意識、「脅かされる海底ケーブルと資源掘削施設」という視点が日本にとって非常に重要なのは、安倍晋三という世襲のボンボン政治家が、ISISと戦う国への後方支援表明をやり、対ISIS宣戦布告をやってしまったからである。
日本では、東京の大手メディアが持続的にこの問題を扱わない。安倍晋三が中東から帰国したら、もうこの問題は終わったといった認識だ。しかし、ISISにとっては終わっていない。始まったばかりだ。
ロバート・マーティネージは、こうも書いている。
「しかも、海底ケーブルをターゲットとする大規模な攻撃は驚くほど簡単にできる。まず、光ケーブルの太さは通常2−5センチほどしかなく、交通量の多い航路や漁場、さらには貴重な環境のある海域を避けたところに敷設されている。
これによって偶発的な破損はある程度抑えられるが、ケーブルを地上と接続するポイントは20−30か所に集中している。
例えばアメリカは約40本の海底ケーブルによって世界の海底通信インフラにつながっているが、そのほぼすべてがカリフォルニア州、フロリダ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オレゴン州で陸と接続されている。
東海岸の場合、ほぼすべての大西洋横断ケーブルの陸上接続ポイントはニューヨーク州とニュージャージー州に集中し、それぞれの間隔は15キロほどしかない。
しかも、ケーブルの敷設ルートを示した地図は簡単に入手できる。(中略)ケーブルの位置を示した地図はインターネットでも入手可能で、これを見れば各国の弱点が簡単にわかる。
海底ケーブルの位置を示す詳細な座標があれば、敵国が、高解像度ソナーと爆弾を積んだ無人自律型無人潜水機を遠隔操作して相手国にとって重要なケーブルを破壊できる。この種の海底戦争に「参戦」するのはさほど難しくない。今や必要な技術の多くが市販されている。
実際、自律型または遠隔操作型の数千の無人自律型潜水機がすでに世界の海で活動している。潤沢な資金を擁するテロ組織なら、自律型無人潜水機を入手して、簡単に主要ケーブルいや分岐装置を攻撃できる。浅水域なら、トロール漁船からフックを垂らしてケーブルを寸断する「原始的」な方法をとることもできる」
海底ケーブルという反戦な存在 兵頭に訊こう
http://m-hyodo.com/international-dispute-61/
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