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岸 信介 − 佐藤栄作 ー 安倍晋三 CIAの手先家系図秘話<この祖父にしてこの孫あり>
@ 岸 信介はアメリカのエージェントだった
インターネット上でもというか,もちろん,きちんとした文献にもとづく話題でもあるが,「岸 信介とCIA」「岸は同盟者ではなく,(アメリカの)エージェントだった」という記述が,同じ典拠によって大々的に披露されている。2007年10月中の話題であった。
1) 『週刊文春』2007年10月4日号
『週刊文春』2007年10月4日号は,「岸 信介はアメリカのエージェントだった!」と題する特集を組んだ。この特集が特筆されるのは,岸 信介元首相がこれまでいわれていた「CIAの同盟者」ではなく,「CIAのエージェント(代理人,スパイの意味)」だったと断定していることである。同特集は,ミューヨーク・タイムズの現役記者,ティム・ウィナーの著書 “LEGACY of ASHES,The History of the CIA” (『灰の遺産−CIAの歴史』2007年6月発行)から,岸がCIAのエージェントだったとする部分を引用している。引用部分はつぎの部分である。
「米国がリクルートしたなかでもっとも有力な二人のエージェントは,日本政府をコントロールするというCIAの任務遂行に協力した」。「(そのうちの1人)岸 信介はCIAの助けを借りて日本の首相となり,与党の総裁となった」。「岸は新任の駐日米国大使のマッカーサー二世にこう語った。もし自分の権力基盤を固めることに米国が協力すれば,新安全保障条約は可決されるだろうし,高まる左翼の潮流を食い止めることができる,と」。
出所)左側画像は,http://hikosaka.blog.so-net.ne.jp/2007-09-02
「岸がCIAに求めたのは,断続的に支払われる裏金ではなく,永続的な支援財源だった。『日本が共産党の手に落ちれば,どうして他のアジア諸国がそれに追随しないでいられるだろうか』と岸に説得された,とマッカーサー2世は振り返った」。「岸は,米国側の窓口として,日本で無名の若い下っ端の男と直接やりとりするほうが都合がいい,と米国大使館高官のサム・バーガーに伝えた。その任務にはCIAのクライド・マカボイが当たることになった」(注=CIA側の窓口となったビル・ハッチンソンもクライド・マカボイも日本共産党が発表した在日CIAリストには載っていない)
「CIAの歴史」は同書の序文によれば,匿名の情報源も伝聞もない,全編が一次情報と一次資料によって構成された初めてのCIAの歴史の本である。重要なのは,岸 信介が児玉誉士夫と並んで,CIAが日本政府をコントロールするためにリクルートしたもっとも有力なエージェントと指摘していることである。そのために,CIAは岸に巨額の金を注いだと指摘している。
つまり,安倍前首相がもっとも敬愛する祖父,岸 信介はあの無謀な戦争を指揮した戦犯であるだけでなく,売国の政治家だったことがあらためて裏づけられたことになる。岸は1952年7月,追放解除者を集めて,自主憲法制定を旗印に日本再建連盟を結成する。
2) 自主憲法とはなにか
あの悲惨な戦争体験から13年しかたっていない時期に,岸 信介首相(当時)はこんな発言をしている。朝日新聞の縮刷版によると,1958年10月15日付の夕刊の1面に,「憲法9条廃止の時」という記事が載っている。米国NBCの記者のインタビューに,岸は「日本国憲法は現在海外派兵を禁じているので,改正されなければならない」「憲法9条を廃止すべき時は到来した」と言明している。
これが自主憲法の中身である。安倍前首相(これは2007年時点の記述)のいう「戦後レジームからの脱却」も,これと同じである。まさに,自衛隊を米軍の身代わりとして海外で戦争させようというものにほかならない。米国の長年の願望である。
なぜ,鬼畜米英と叫んだ戦争中の指導者が,米国の手先になったのか。その秘密を解くカギが最近発売された,柴田哲孝『下山事件−最後の証言−完全版』(祥伝社文庫,2007年)にある。柴田哲孝の祖父(柴田 宏)が勤めていた亜細亜産業の社長で戦前の特務機関である矢板機関の矢板 玄(くろし)の証言に,その秘密が書かれている。以下,矢板証言の注目部分を引用する。
☆ 岸を釈放したウィロビー ☆
(佐藤栄作は,兄岸 信介の件で来たのではないか。岸 信介を巣鴨プリズンから出したのは,矢板さんだと聞いているが)。−−「そうだ。そんなことがあったな。だけど,岸を助けたのがおれだというのはちょっと大袈裟だ。確かに佐藤が相談に来たことはあるし,ウィロビーに口は利いた。岸は役に立つ男だから,殺すなとね。しかし,本当に岸を助けたのは白洲次郎と矢次一夫,後はカーンだよ。アメリカ側だって最初から岸を殺す気はなかったけどな」。
注=東条内閣の閣僚で,戦争指導者の1人であり,A級戦犯容疑者として逮捕された岸の釈放については,昨〔2006〕年9月22日付「赤旗」の「まど」欄が,「GHQ連合国軍総司令部のウィロビー少将率いるG2(参謀部第2部)の『釈放せよ』との勧告があった」ことを紹介している。ウィロビーは,直轄の情報機関として,キャノン機関や戦後も暗躍した矢板機関をもっていた。
☆ 秘密工作の全容の解明を ☆
A 安倍晋三のオジイチャンの秘話−CIAの手先となった岸 信介−
つぎは『オフイス・マツナガのブログ』( http://officematsunaga.livedoor.biz/archives/50454697.html )の記述である。
−−CIAが「同盟者」である岸 信介に総選挙で資金を流し,てこ入れしたことは,すでに春名幹男『秘密のファイル下 −CIAの対日工作−』(共同通信社,2000年)が,くわしく指摘している。それによると,マッカーサー2世大使(マッカーサー元帥の甥)は1957年10月,秘密電報を国務省に送っている。そこには,つぎのように書かれている。
つぎの総選挙で自民党が負ければ,「岸の立場と将来は脅かされる」。後継争いに岸が負けた場合,「憲法改正などの政策遂行は困難となる」。さらに,「岸は米国の目標からみて最良のリーダーである。彼が敗北すれば,後任の首相は弱体か非協力的,あるいはその両方だろう。その場合,日本における米国の「立場と国益は悪化する」。
マッカッサー大使はさらに岸を援助する提案をしている。その中身について,同書は,「結論からさきにいえば,つぎの総選挙で中央情報局(CIA)の秘密資金を使って岸を秘密裏に支援すべきだ,という提案」だとしている。しかし,同書はCIAが具体的にどのような工作が行われたのかは明らかではないとしている。
今回の『週刊文春』2007年10月4日号は,岸へ渡されたCIA資金は1回に7200万円から1億800万円で,いまの金にして10億円ぐらいと指摘しているが,その金が選挙対策としてどう使われたかは触れていない。
CIAの汚いカネで日本の政治が歪められたというこの問題は,戦後日本の最大の暗部である。CIAの秘密工作の全容を明らかにすべきである。外国から選挙資金をもらうことは,公選法や政治資金規正法や当時も外為法に違反する犯罪行為でもある。『東京新聞』(10月3日付)で,斎藤 学(精神科医)が,週刊文春の記事が事実なら大変なことだと思うのだが,「他誌も新聞も平然としている」と疑問をなげかけている。
※ 以上,文責・本山 洋(オフイス・マツナガ外部ライター)
B「『集団的自衛権』報告書 行使ありきの危うさ」(『東京新聞』2014年5月16日「社説」)
話題はいきなり半世紀以上もあとのいまに移る。岸 信介の外孫に当たる安倍晋三が2012年12月,2度目の首相の地位に就いてから,この世襲3代目のお坊っちゃま宰相は,祖父も大いに寄与してきた「戦後体制(レジーム)」が気にいらない。どうしても,戦前・戦中のファシズム体制への郷愁を,本気で実現させようとしている。そのもっとも典型的な事象が,集団的自衛権行使のできる国,いいかえれば,安倍晋三流の「ふうつの・美しい国」になりたいという欲望の実現させられている。
しかし,この国を囲む国際政治環境は,戦前・戦中とは完全に異なっている。敗戦以前の日本は鬼畜米英とののしった国々と戦争をして,完全に敗北した。そのために,敗戦以後から21世紀のいままで,日本国中に米軍基地が陣どっており,軍事的には実質,アメリカ国の半植民地状態という〈ありさま〉である。
おまけに「思いやり予算」なども,この米軍基地のためにたっぷり支出していながら,この在日米軍を,けっして「思いどおりにはできない〈番犬〉」として飼わされている始末もある。この番犬のために,国家予算のうちあれこれで都合,4千億円に近いお手当を気前よく仕送りしてやっている。たとえば,沖縄の米軍基地の将兵たちの宿舎は,自衛隊員の官舎の質素さ(貧弱さ)に比較したら,豪邸に映ること間違いない。
このような日米安保条約体制のもとで−−しかもこの安保条約を1960年に改定したときの首相が岸 信介であったが−−,集団的自衛権行使のできる国にしたところで,米軍の褌担ぎ部隊の役目を果たさせられる以上のものには,けっしてなりえないことは,目にみえている。そもそも,集団的自衛権というものの由来もしっておく必要が,ここではある。そこで,この5月16日の東京新聞「社説」の主張(批判)を聞いてみたい。
☆「『集団的自衛権』報告書−行使ありきの危うさ」☆
「出来レース」の誹(そし)りは免れまい。安倍晋三首相に提出された報告書を「錦の御旗」に,集団的自衛権の行使容認に踏みきることなど断じて許されない。
報告書を提出したのは “有識者” らでつくる「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」だ。第1次安倍内閣で設けられ,第2次内閣でも再開された安倍首相の私的諮問機関である。
報告書では,政府が憲法違反としてきた「集団的自衛権の行使」を認めるよう,憲法解釈の変更を求めた。集団的自衛権の行使も「自衛のための必要最小限度」の枠内という理屈だ。
a)「大国の介入を正当化」−−集団的自衛権とはたとえば,米国に対する攻撃を,日本が直接攻撃されていなくても反撃する権利である。政府は国際法上,権利を有しているが,その行使は憲法9条で許される実力行使の範囲を超える,との立場を堅持してきた。
この権利は,報告書が指摘するように,1945年の国際連合憲章起草のさい,中南米諸国の求めで盛りこまれた経緯がある。安全保障理事会の常任理事国に拒否権が与えられ,発動されれば国連の安全保障措置が機能しない懸念があるとして,中小国が集団で防衛しあう権利を認めさせたのだ。
しかし,国連に報告された行使の事例をみると,米国などのベトナム戦争,旧ソ連のハンガリー動乱やプラハの春への介入など,大国による軍事介入を正当化するものがほとんどだ。このような「戦争する」権利の行使をいま,認める必要性がどこにあるのか。
補注)この指摘,集団的自衛権行使の問題に関する由来をしれば,安倍晋三のようにこの自衛権の行使にひどく執着する態度は,大国「風」の軍事方針に近づいて悪用だけされる危険性:問題性があるが理解できる。現在の日本は大国,それも軍事大国ではない。それでも大国風に軍事行動がしたいのか? それは,違う。アメリカに利用されるだけの集団的自衛権行使になることは,いまからたやすく予想できるのである。
北朝鮮がアメリカ向けにミサイルを発射したとき,これは日本上空は通過しない。北極圏を飛んでアメリカに向かう。このとき,日本はただちに北朝鮮に向かい,自衛権を集団的に発動するというのか? 安倍晋三という男,ともかく,戦争がやりたいらしい。それもとくに北朝鮮と……。北朝鮮なら勝てるなどと思いこんでいるのか?
しかし,考えてもみよ。アフガニスタンやイラクのような戦争を東アジアで起こしたら,いまのところ平和的に過ごせげいるこの地域は,もうお陀仏である。日本とて,お陀仏にはならなくても,政治・経済・社会に大打撃を受けること必定である。
いったい,この男,なにを考えているのか? おもちゃの兵隊や軍隊が戦争ゴッコをするのとは,わけが違うことくらい,「大国日本」の最高責任者として認識できていないというのか?
中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発が現実的な脅威だとしても,外交力を駆使して解決するのが筋ではないのか。軍事的な選択肢を増やしたとしても,軍拡競争に拍車を掛ける「安全保障のジレンマ」に陥るのが落ちだ。
b)「正統性なき私的機関」−−戦争放棄と戦力不保持の憲法9条は,第2次世界大戦での310万人に上る尊い犠牲のうえに成り立つことを忘れてはなるまい。その9条にもとづいて集団的自衛権の行使を認めないのは,戦後日本の「国のかたち」でもある。
1981年に確立したこの憲法解釈を堅持してきたのは,ほとんどの期間政権に就いていた自民党中心の歴代内閣にほかならない。憲法解釈じたいは内閣法制局が担ってきたが,国民に選挙で選ばれた国会議員と政府が一体で30年以上積み上げ,国会での長年の議論を経て「風雪に耐えた」解釈でもある。それを一内閣の判断で変えてしまっていいはずがない。
もし,集団的自衛権を行使しなければ,国民の命と暮らしを守れない状況が現実に迫りつつあるというのであれば,衆参両院での3分の2以上の賛成による改正案発議と国民投票での過半数の賛成という96条の手続に従い,憲法を改正するのが筋である。
補注)ものごとの〈筋〉とは無縁の世界に生きているのが,いまの首相である。民主党に政権を奪われる前,1年ほど首相を務めたときこの男,よほどくやしい思い出を残しているらしい。こんどこそは,ということで,自党の圧倒的な国会勢力を背景に,自分の欲望を乱暴にも一気に実現させているつもりである。
そうした正規の手続を経ない「解釈改憲」が許されるのなら,憲法は法的安定性を失い,憲法が権力を縛るという立憲主義は形骸化する。それでは法の支配という民主主義国家共通の価値観を,共有しているとはいえない。
安保法制懇のメンバー14人は外務,防衛両省の元事務次官,国際政治学者ら外交・安全保障の専門家がほとんどだ。憲法という国の最高法規への畏敬の念と見識を欠いていたのではないか。
補注)「安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)」の有識者構成は,以下の成員である。安倍晋三の賛同者ばかりであって,なかには,アメリカ国の家来みたいな人物も含まれている。
岩間陽子 政策研究大学院大学教授
岡崎久彦 特定非営利活動法人岡崎研究所所長・理事長
葛西敬之 東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
北岡伸一 国際大学学長・政策研究大学院大学教授
坂元一哉 大阪大学大学院教授
佐瀬昌盛 防衛大学校名誉教授
佐藤 謙 公益財団法人世界平和研究所理事長(元防衛事務次官)
田中明彦 独立行政法人国際協力機構理事長
中西 寛 京都大学大学院教授
西 修 駒澤大学名誉教授
西元徹也 公益社団法人隊友会会長(元統合幕僚会議議長)
細谷雄一 慶應義塾大学教授
村瀬信也 上智大学教授
柳井俊二 国際海洋法裁判所長(元外務事務次官。右上写真)
出所)写真は,http://www.nonsolofole.it/?p=256428
そのうえ,集団的自衛権の行使容認をめざす安倍首相への同調者ばかりである。バランスのとれた議論などできるわけがない。そもそも,この “有識者” 懇談会の設置に法的根拠はない。
補注)つまり,安倍晋三のお友達=支持者だけが集められた懇談会である。このような会議をもって日本国の将来に重大な影響を与える中身を相談(懇談)させるなどといった政治手法は,独裁者の好むやり方に等しいものでしかない。手前味噌,牽強付会,我田引水,唯我独尊,夜郎自大,マッカーサー流にいえば「12歳のニッポン少年による政治」……。
首相は記者会見で,今後実現を検討すべき具体例として,邦人輸送中の米艦船防護や,国連平和維持活動(PKO)の他国部隊が武装勢力に襲われたさいの自衛隊による「駆けつけ警護」を挙げた。
国民の命と暮らしを守る方策を検討するのは当然だ。しかし,現行憲法の枠内でも可能とされるこれらの事例と,憲法解釈の変更を前提とする報告書の事例とは,あまりにも懸け離れている。混然一体とした例示で,集団的自衛権の行使容認の必要性を印象づけようとするのは姑息だ。
c)「守るべきは平和主義」−−首相は会見で「憲法の平和主義を守り抜く」「自衛隊が湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは,これからもけっしてない」とも述べた。これじたいは評価したい。ぜひ実践してほしい。
補注)「けっしてない」と政治家がいったときは,絶対にけっして信用してはいけない。食言は政治家のつねであり,不可避・固有の政治的な体質である。集団的自衛権行使の問題を検討するならば,より現実的に考えねばならない。湾岸戦争やイラク戦争のときを思いだしたい。当時,もしも日本がアメリカとのあいだで集団的自衛権行使をする間柄であったならば,自衛隊がその湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加させられること」は当然であった。
「憲法の平和主義を守り抜く」というのは,もう寝言のたぐいでしかになくなる。こんどはまさにそういう事態の発生を,いつも具体的に迎えることを覚悟しなければならない自衛隊3軍となるわけである。
自衛隊の若者よ,辞めるならいまのうちだ。実際の戦闘部隊に配置されたら,命の保証もない。いまの自衛隊でも逃げると逃亡罪に問われる。下っぱの兵隊になればなるほど,1発の弾丸と同じ消耗品あつかいされる軍隊の現実を,いまからよく認識しておく必要がある。
イラク戦争に駆りだされたアメリカ兵の相当数は,劣化ウラン弾の放射線障害を受けており,これが原因になる障害児も大勢生まれているが,アメリカ政府はこれを公にしていない。戦争は結局,悲惨と不幸をばらまく政治の延長である。兵士はその手駒にいいように使われて傷つき,殺される(死ぬ)。
ベトナム戦争の帰還兵たちの不幸・不運・不満も,アメリカ社会にとっては大きな社会問題になっていたことを,よもや忘れたわけではあるまい。
しかし,公明党や自民党の一部など与党内でも,解釈改憲という安倍内閣の政治手法に対する危機感が高まっているのも事実だ。カギを握るのは公明党である。戦後日本の「専守防衛」政策を根底から変えようとする安倍内閣に,政権内部からどう歯止めをかけるのか,日本の命運を左右する正念場と心えるべきである。
補注)公明党が「カギを握る」のは,歯止めになりうる可能性をもつからなのか? 平和の党を自称するこの宗教政党,与党にへばりついていたいがために,結局,あってもなくてもなんの変わりもない,単なる自民党のオマケ政党になりはてている。それも,だいぶ以前から……。
今日のニュースには,「創価学会,憲法解釈変更に反対 集団的自衛権協議影響も」(『朝日新聞』2014年5月17日)という見出しの記事も出ていた。この宗教団体に全面的に支持される公明党であるから,創価学会のいうことはすなおに聞くらしい。もともと「政教分離の原則」問題に危うく同居している公明党であるが,なぜ,いつも与党でいることを望んでいるかも,ついでに浮き彫りにするのが,このニュースである。
C 小 括−岸 信介・東條英機・安倍晋三の影が,
この21世紀において,三つ巴に重なるような,この陰湿なる日本的光景
日本が昭和16〔1941〕年12月8日に始めた大東亜戦争(太平洋戦争)のとき,首相は軍人の能吏ではあったが,まともな政治家としての資質をまったく欠いていた東條英機が就いていた。その戦争を完全に負け戦にしていた途中でも,なお首相の座に執着していた人物である。敗戦後,いわずとしれたA級戦犯になった1人である。おかげで昭和天皇の首がつながったが……。
岸 信介はA級戦犯になっても,敗戦後に落ち着いた時期になってからは,アメリカの手先になって使える(仕える)人物だと認定されていた。もっとも,戦後に駐日米国大使になるライシャワーなどは,敗戦させた日本の占領管理のなかでは,昭和天皇を「パペット(操人形)に使える(有用だ)」という認識を,それも学問的な立場−−『日本研究』の視点−−から,早くも戦争中に提唱していた。
安倍晋三も,集団的自衛権の行使を実現させて「日本の政治史に残る」首相になりたいらしい。だが,アメリカ側からみれば「出すぎたまね」をする日本の総理大臣が出てきた,困ったもんだくらいにしか観ていないはずである。オレたちのいうとおりに日本はしたがい,黙って付いてくればいいと,この程度にしか観ていないのである。「余計なことするな」というのが,あちらさんの正直な気持である。
米日関係のなかで首根っこをアメリカに抑えられているこの日本国が,いかに対米関係を維持・構築しながら,うまく国際環境のなかで生きていくのかという問題意識で考えるとき,安倍晋三の今回における政策決定は,あまりにも浅薄であり近視眼的である。別のいいかたでいえば,粗暴であり無知でもある。
彼は,自分の欲求と国家のなすべき事項との混濁をはげしく生起させている自分の意識というものが,under control されていないのである。もっとも本当のところでは,アメリカに under control されていること〔← 日本・自民党・ABE Sinzou などが〕のほうは,間違いなくたしかであるが……。
出所)http://grevo.blog51.fc2.com/blog-entry-37.html
安保法制懇の成員も成員たちである。とくに大学教員である人間が,14人中8人もいるが(名誉教授も含むらしいから,後段では学識経験者は9人とある),政府の単なる提灯もちになっている。その程度の役割なら果たせるような,本当は,その「学識が疑われる先生たち」である。
彼らは本気でこの日本国の利害得失(最適・最善・最上の国家利益と国民福祉)のためを考えて,その懇談会に参席しているのか? このお坊っちゃま首相にでも,なんとか審議会に呼ばれたら,唯々諾々と応じて,この首相が喜ぶ結論を出すだけの能(脳)しかもちあわせていない人たちである。
D 参 考−「集団的自衛権巡る論点は」
(NHK NEWSWEB 2014年5月15日22時27分から引用)
集団的自衛権の行使をめぐって,安倍総理大臣が設置した有識者懇談会は5月15日,憲法解釈を変更し,行使を容認するよう求める報告書を提出しました。戦後日本の安全保障政策の大転換となりえる議論が本格化することになりそうです。
★−1 安保法制懇とは。政府の有識者懇談会は,正式名称を「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」といい,安倍総理大臣の私的諮問機関として議論を続けてきました。メンバーは14人で,座長は柳井俊二元外務事務次官,座長代理が北岡伸一国際大学学長で,経歴をみますと学識経験者が9人,元官僚,元自衛官が4人,財界人が1人となっています。
補注)柳井俊二(写真は前掲)はアメリカ・スクールの元外交官であり,日本の国益よりもアメリカ志向でしかものごとを考えることができない人物である。
全員がこれまでに発表した論文などのなかで,集団的自衛権の行使を容認することにいずれも肯定的な意見を明らかにしています。
★−2 報告書とは。報告書は,日本をとり巻く安全保障環境はいっそう厳しさを増しているとして,日本の平和と安全を維持するためには従来の憲法解釈では十分に対応できないとしています。そのうえで,憲法上認められる必要最小限度の自衛権のなかに集団的自衛権の行使も含まれると解釈すべきだとして,憲法解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認するよう求めました。
補注)この「憲法上認められる必要最小限度の自衛権のなかに集団的自衛権の行使も含まれると解釈すべきだ」という解釈そのものは,実際における戦争法規としては,なんでもかんでも自衛権行使を許すことになる,いうなれば,打ち出の小槌になる必然性がある。
いざとなれば「必要最小限度の自衛権」など,際限などないかたちと方向性でもって,いくらでも・いかようでにでも「必要最小限」の拡大(拡張)解釈がなされることは,火をみるよりも明らかである。
この種の事実は歴史が過去において繰り返し実証してきている。ここまでみえすいた「必要最小限度」論は,いわゆるグレーゾーンの解釈と絡めば,それこそいくらでも拡延されていく運命にある理屈なのである。
★−3 集団的自衛権をめぐる論点。憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認については,さまざまな論点があります。主なものとして,
◇ 論点1.憲法解釈の変更という手続きをとることの是非,
◇ 論点2.行使を容認した場合に歯止めが効くかどうか,
◇ 論点3.今の解釈で認められている個別的自衛権や警察権でどこまで対応できるのか,
という3点が挙げられます。
◇ 論点1.−−憲法解釈の変更という手続をとることの是非について,慶應義塾大学の小林 節名誉教授は,「集団的自衛権の行使容認という実質的な憲法改正を解釈の変更でおこなうことを許せば,将来,憲法を土台から壊し,権力者だったらなんでもできるという独裁国家を生むおそれがある。集団的自衛権の行使を容認したいのなら,堂々と憲法改正を提起して,国民的な論争を経て,国民投票で可決してもらうのが筋だ」と批判しています。
一方,有識者懇談会のメンバーの1人で駒澤大学の西 修名誉教授は,「いまの憲法はそれぞれの国の固有の権利である自衛権を否定しているわけではなく,その自衛権の1つである集団的自衛権の行使のしかたを議論していくことは立憲主義に反しない。現代は,憲法で国家権力を制約するだけでなく,国家に積極的な役割を果たさせることが求められる」と話しています。
◇ 論点2.−−行使を容認した場合に歯止めが効くかどうかについては,行使を容認した場合に歯止めが効くかどうかについて,自衛隊のイラク派遣当時,内閣官房副長官補を務めた,元防衛官僚の柳澤協二さんは,「集団的自衛権を行使してほしいという他国から要請されて助けないとなったら,政治的なダメージは計りしれないため,結局,集団的自衛権は歯止めが効かない」。
「自衛隊は発足以来,1人の戦死者も出さなかったが,集団的自衛権の行使が容認されれば,そうした犠牲を強いることになるという認識が必要だ。こうしたリスクやデメリットもすべて考慮して議論すべきだ」と指摘しています。
一方,駒澤大学名誉教授の西 修さんは,「報告書では,国際法上の縛りにくわえ,『日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある』といった条件を定めている。その範囲でしか行使できないようにすれば,歯止めになる。さらに,必要最小限の行使を容認していくのであり,政府,国会,国民それぞれが歯止めの在り方を議論していくべきだ」と話しています。
補注)こういう歯止め論については,以下のように指摘しておく。戦争事態が発生というときはたいがい,関係国が興奮状態になってしまうときでもある。だから,上の説明はまともな説明になりえず,視野狭窄の,それも近視眼的な解釈である。この歯止め論は,ただもっともらしく語るけれでも,実は現実をごまかしながら,しかもひたすら楽観的に期待する話でしかない。
さきほども指摘したように「必要最小限の行使を容認していく」のだとはいっても,実際の場面に遭遇したときは,この必要最小限といわれる範囲は,結局,どこまでも拡大されていくほかなくなる。
なせに「敵がいての・敵国があっての話である」。たいていは「攻撃は最大の防御だ」という要領で敵・敵国が攻撃してくるのに対して,その相手国側において「必要最小限の行使を容認していく」という対応(応戦の方法)は,〈戦争話〉に関していえば,あまりにも非現実的な想定である。いざとなったとき措置される「必要の最小限」というものの水準は,実際においては「狂躁的に最大化する」ことを覚悟しておくほかない。ここではともかく,もっと現実的に議論せよといっておかねばなるまい。
大東亜戦争の範囲がどこまで戦線を拡延していったか,もう一度思いだしておいたほうがよいのではないか。おまけに戦争などおっぱじめたら,経済のほうも大混乱させられること必至である。
どういう大混乱かは,上記の戦争において発行された国債(戦時債権)が,敗戦後,完璧に紙屑になったという歴史的事実からもたやすく想像できる。こんなことで歴史に学ぶことにはしたくないが,それでもまたぞろ,同じような愚を繰りかえしたいかのような幼稚な政治家が出てきた。
出所)http://www13.ocn.ne.jp/~seiroku/kousai.html
これらは敗戦によって「紙切れ同然」となった。償還
期間は10年間と説明されている。昭和26年〜に償還?
◇ 論点3.−−いまの解釈で認められている個別的自衛権や警察権で,どこまで対応できるのかについて,たとえば,報告書で示された事例のうち,公海上で攻撃されたアメリカの艦船を自衛隊が守るケースなどは,個別的自衛権で対応できるという指摘があります。
安全保障が専門で,流通経済大学教授の植村秀樹さんは,「報告書には,日本が対応する必要がない事例や,個別的自衛権でも対応できる事例が含まれている。国民が集団的自衛権の行使容認を受け入れやすい事例を並べている印象があり,結論ありきで,世論をミスリードするおそれがある」と指摘しています。
補注)安保法制懇は,すでに指摘されているように,あくまで安倍晋三の私的懇談会である。ここで,一国の大事である戦争法規問題を相談させ議論させ,自分の好むような「結論がさきにありき」の議論をさせるのは,出来レースもいいところであり,ひどくみえすいている。
いうなれば,国家運営を私物化しているのが,現在の首相である。彼はすでに,退任すべきに値する十二分の事由を自分で提供している。この国では,独裁者が首相の座を占めて政治をやっているのではない。民主主義の基本理念を勘違いしているのでなければ,あえて無視しているごとき人間に,この国の首相を務める資格はない。
一方,安全保障が専門で,拓殖大学海外事情研究所教授の川上高司さんは,「日本をとり巻く安全保障環境は激変しており,領海領空をめぐる争いや,北朝鮮の弾道ミサイルなどの脅威が日に日に増している。ほかの国が日本を守ってくれているのに,日本がほかの国を守れない現状はあらためていかなければならない。日米同盟を強化するためにも,集団的自衛権の行使容認は早急に必要だ」と指摘しています。
補注)この安全保障の専門家だというこの教授は,日米軍事同盟関係の歴史的本質を,まともにわきまえたうえで,ものをいっているようには受けとれない。こういう人間のいうことを真に受けていたら,アメリカ軍の支援(褌担ぎ)だけをやらされる自衛隊3軍の立場だけは,確実にさらに深刻化(=発展)するのが関の山である。
イラク戦争のとき日本の自衛隊はこの「褌担ぎ」の役目もろくにできなかったから,これを反省してこれだけでもきちんとできる軍隊になりたいということなら,理解できなくもない。だが,前述にも説明されていたように,集団的自衛権を主導し,行使する国は以前から「軍事大国のほうだけ」と相場が決まっていた。
そうではなく,日本自身がその自衛権をアメリカ側に発動させる場面というのは,想定としては可能性がありえなくもないけれども,ほとんどありえないとみておいたほうが順当である。仮に,北朝鮮との悶着が発生したとき,どの国の軍隊がまずさきに作戦行動するかといえば,米軍に決まっている。そのとき自衛隊3軍は,この米軍にいいように使われる,協力させられるのがオチである。
またいえば,この逆の順序・関係・布陣で「日・米軍が行動する」ということは,ほとんどありえない。以上が集団的自衛権行使としてもっとも可能性の高い予想例である。
こうした補注の議論を踏まえていう。となればしょせんは,なんのために集団的自衛権を行使できる日本国になりたいというのか,まだまだ不可解な点を残している。アメリカの子分・舎弟格としてこの親分・ボスに仕える日本の自衛隊になりたいというのであれば,論理がいちばんすっきり通る。だが,このためにといって挙げる「集団的自衛権行使のための理由」なのであれば,この日本国の対米従属性をただ再確認させられ,さらにもっと自縄自縛の自衛隊3軍になっていくに過ぎない。
最後にもう一度いいたい。自衛隊勤務の若者よ,これからは早くこの軍隊を辞めて,命の安全性が高い職業に転換したほうが賢明である。アメリカの手先たちの政治家の命令一下,戦地に派兵され,戦場に放りだされて,紛争のなかでの戦闘などで命など落としたら,あなた方の人生にとっては,なにも面白くないことになる。家族も悲しむ。
「尊い命」などと「死んでからいわれる」よりも,生きていてこそ,この尊い命の価値が発揮できるはずである。だいたい「尊い命」など口にする人物たちが,いったいどのような範疇の人間たちであり,そしてしかも安全地帯からそう叫んでいることを,注意してみなければいけない。
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