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大前研一:“JA全中解体”の農業改革では「大山鳴動して鼠一匹」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150225-00000000-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 2月25日(水)11時14分配信
政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の農協改革をめぐる協議が2月9日に大筋で決着した。
全国に約700ある地域農協に対するJA全中の監査・指導権をなくし、2019年3月末までにJA全中を一般社団法人に転換することなどが取り決められた。JA全中は一般社団法人に転換した後、地域農協の「総合調整機能」を担うと付則に盛り込む。
■「一票の重み」で影響力を行使してきた
いわゆる「岩盤規制」を撤廃する狙いのもとで、政府は農業分野において農協改革を目玉に進めてきた。もちろん、JA全中から監査・指導権を取り上げたこと自体は評価できる。しかし、JA全中を事実上解体、すなわちつぶすだけで終わってしまいそうな今回の農協改革は、「大山鳴動して鼠一匹」というのが正直な印象である。
地域農協およびその上に君臨してきた全国農業共同組合連合会(JA全農)、その上のJA全中は、政治的に大きな力を発揮してきたことで知られる。農業人口が減る中で、JA全中が政治的発言力を保持することができたのは、「票の歪み」のおかげだ。農村地帯の方が「一票の重み」が大きかったため、選挙を通して影響力を行使する、すなわち政治的影響力を維持することができたのだ。
では、票の歪みがなければ、JA全中の勢力の実態はどのようなものなのだろうか。三つのグラフを順番にご覧いただきたい。
■減少し続ける農家、非農家の准組合員が増加
まずは、「農家戸数の推移」である。農家戸数はずっと減り続けている。
なお興味深いことに、専業農家の戸数はほとんど変わっていない。減っているのは兼業農家で、第1種兼業農家(農業取得を主とする兼業農家)、第2種兼業農家(農業取得を従とする兼業農家)ともに大きく減少している。
続いて、「農協の組合員数の推移」をご覧いただきたい。
農協と言えば、その組合員はすべて農家というイメージがあるが、実態はそうではない。農家もしくは農業を営む法人からなる正組合員が減り続ける一方で、農協の地区内の住民で非農家の准組合員が伸び続け、最近では両者が逆転してしまっている。
非農家が准組合員となるメリットは、JA全中の金融サービスだ。住宅ローンを借りる、保険を買う、などの目的で准組合員になる人が増えているのである。
■JA全中をつぶしたところで農業が成長産業になるわけではない
このように、農家戸数が減り、農協の組合員数も非農家が増えている。そうなると、下に掲載する「農業総産出額と農協取扱高の推移」に示したように、農業生産の金額が減り、農協が関わる農産物の量も落ちてくる。
1985年をピークに、農業総産出額は減り続けている。そのうち、農協取扱額も同じく減少を続けている。
今では産直仕入れやネット通販など直接販売の利用者が次第に広がっているため、農家が農協を通さないケースも増えてきた。ますます農協の存在感は薄くなっている。
安倍晋三首相は「農業を成長産業にする」と言っているが、JA全中をつぶしてみたところで農業が成長産業になるわけではない。地域農協がこれまでJA全中に納めていた年間約80億円の上納金がなくなるだけだ。
大事なのは、JA全中をつぶした先に何を行うかである。具体的には、地域農協を株式会社化していくべきだ。10年、20年かけて、その株式会社が本当に競争力のある農業を作り上げていくという仕組みにしなければならない。
■株式会社化を強制しない曖昧な姿勢ではダメだ
しかし、政府の農協改革では、地域農協の株式会社化というところが明確に見えてこない。いまのところ株式会社にしてもいいが、強制はしないという曖昧な姿勢にとどまっている。
株式会社化が重要なのは、意志決定が迅速になるからだ。意志決定機構が株式会社であれば、51%の賛成で前に進むことができる。ところが、現状の地域農協は組合員がみんな納得しないと大きな改革を行うことができない。
株式会社化するかしないかの判断を地域農協に委ねていては、結局、何の意志決定もできないまま終わってしまう可能性がある。迅速な意志決定のために株式会社化が必要なのに、その手前で、株式会社化するかしないかの意志決定を個々の組織に委ねてしまう、という情けない状況が生まれかねない。
意志決定できる地域農協を育て上げるためにも、株式会社化については政府がある程度強引に進めていく必要があるだろう。JA全中をつぶして終わりではなく、政府はさらなる改革姿勢を示すべきである。この具体的なやり方に関しては、九州程度の国土しかないオランダが世界第二の農産物輸出国となった経緯が非常に参考になるが、そのテーマについては稿を改めて詳述したい。
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