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安倍政権の成長戦略の目玉は「戦争」と「カジノ」
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2015/02/post-2566.html
2015.02.25 きっこのブログ
あたしは今まで「イスラム国」という呼称を使って来たけど、トルコ国営放送から日本の報道各社に対して、2月4日付で「この呼称は使わないでほしい」という公式リリースがあったので、あたしは別に報道社じゃないけど、今後は、特別な理由がある場合を除いて、基本的には「ISIL」と表記して行くことにした。
トルコ国営放送のリリース
http://tokyo.be.mfa.gov.tr/ShowAnnouncement.aspx?ID=226985
‥‥そんなワケで、今日は書きたいことが多いから、「マクラ」も「いかがお過ごしですか?」も割愛してさっそくスタートしちゃうけど、今回の「ISIL」による日本人2人の殺害事件は、パリのテロ事件の直後という最悪のタイミングで強行された安倍晋三首相の中東歴訪と、そこでの「ISILと戦う周辺国への2億ドルの支援」を表明したことが引き金となった。
特に、最大の引き金になってしまったのが、安倍首相が今年1月19日にイスラエルで行なった支援表明で、この時のニュース映像は「ISIL」の脅迫動画の冒頭にも使われた。そして、「ISIL」の戦闘員は、安倍首相を名指しして身代金を要求した‥‥ってワケだけど、これは今に始まった話じゃない。
今回の日本人人質殺害事件について、多くの媒体は昨年8月に湯川遥菜さんが「ISIL」に拘束されたところからしか検証していないけど、今回の問題の根本原因である「安倍首相とネタニヤフ首相との蜜月関係」に焦点を当てるのであれば、もっと以前にさかのぼる必要がある。で、1つ1つ書いて行くと長くなっちゃうので、以下、関係項目を時系列で箇条書きにしてみる。これに目を通せば、全体の流れが見えて来ると思う。
2012年12月16日、第46回衆院選で自民党が与党に返り咲き、自公連立の安倍政権が発足。
2013年3月1日、米国の最新鋭戦闘機「F-35」の開発に日本企業が参加することを「武器輸出三原則の例外とする」と閣議決定。
2013年7月21日、第23回参院選で与党が勝ち、衆参両院を安倍政権が牛耳ることに。
2013年7月22日、安倍首相が「武器輸出三原則の抜本的な見直しの議論を始める」と発表。
2014年4月1日、安倍内閣が「武器輸出三原則」を撤廃して「防衛装備移転三原則」を閣議決定。
2014年5月11日〜15日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が訪日し、12日に安倍首相と、13日に岸田外相と会談し、「中東地域の平和と安定に向けて両国が協力を強化していく方針」で一致。
2014年5月15日、安倍首相が「集団的自衛権の行使容認」を訴える会見。
‥‥そんなワケで、ここまでの流れを見て来て、1つのキーワードに気づいた人もいると思う。そう、米国の最新鋭戦闘機「F−35」だ。参院選の前に「F−35」の開発に日本企業が参入できるように閣議決定しておき、参院選で大勝した翌日に、安倍首相は電光石火の早業で「武器輸出三原則の抜本的な見直し」を宣言。そして、翌年4月1日には「武器輸出三原則」を撤廃して、自由に武器が輸出できる「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。
で、これは以前から日米の政府間で決められてたんだけど、日本が「F−35」の開発に参入した場合、約40%の部品を日本企業が製造していいことになってる。そして、日本の防衛相が選定したのが、機体は「三菱重工」、エンジンは「IHI」、電装品は「三菱電機」、この3社が日本での元締めになり、それぞれが下請けを使って製造するというシナリオだ。
この3社は、安倍首相が外遊してトップセールスする時に必ず引き連れて行く「大名行列」の常連で、今回の中東歴訪にも、もちろん、国民の税金で飛んでいる政府専用機で着いて行った‥‥ってなワケで、ここで登場するのが、待ちに待ったイスラエルのネタニヤフ首相だ。非武装のパレスチナの市民を虐殺し続けて来たイスラエルは、アメリカのバックアップがなければ完全に「テロ国家」だけど、エジプト軍が軍事クーデターを起こして誕生したエジプトの現シシ政権と同様に、アメリカが全面的にバックアップしてるから、単なる「大量虐殺」を平然と「平和のためのテロとの戦い」などと言い続けていられるのだ。
ま、そこんとこは置いといて、この「F−35」というステルス戦闘機は、世界のあちこちで飛行中にエンジンが止まって墜落してることからも分かるように、完全に「欠陥機」だ。だから、アメリカ製のステルス戦闘機が欲しい国々は、みんな実績のある「F−22」を欲しがった。だけど、アメリカは、この「F−35」の開発に莫大な予算を注ぎ込んじゃったので、どうしても大量販売して元を取りたい。そこで、日本やイスラエルを始め、多くの国々に無理やりに売りつけたってワケだ。
ま、そこんとこも置いといて、日本の場合も、欠陥機の代表の「オスプレイ」と同様に「F−35」をたくさん買わされるワケだけど、イスラエルと違う点は、1機の約40%までの部品を日本企業が製造できるように、安倍政権が審議もせずに、お得意の閣議決定だけで勝手に決めちゃったという点だ。つまり、この欠陥機が複数の国々にたくさん売れれば、日本企業が儲かるっていうスンポーだ。
だけど、日本には「武器輸出三原則」があるから、今のままじゃ日本製の部品を使って製造した「F−35」は、戦争ばかりしているイスラエルには売ることができない。同じ「F−35」でも、「防衛」のために買う国には輸出できるけど、「戦争」のために買う国には「武器輸出三原則が歯止めになって輸出することができない。そうなると、イスラエルという武器の大型市場は韓国に持って行かれちゃうことになる。そこで、安倍首相は、2014年4月1日に「武器輸出三原則」を撤廃して、「武器」を「防衛装備」などと言い変え、「輸出」を「移転」などと言い変え、「防衛装備移転三原則」なんてものを閣議決定したワケだ。そして、翌月の5月にはイスラエルのネタニヤフ首相が訪日して、さっそく「会談」という名目の「トップセールス」が行なわれたってワケだ。
「積極的平和主義」なんてキレイゴトを言ってても、所詮は「カネ儲け」のための方便で、カネのためなら安全対策が不十分な原発だろうが、人殺しの武器だろうが、なんでもかんでも輸出しちゃう方針。どうせ死ぬのはヨソの国の人たちなんだから、カネさえ儲かればアトは野となれ山となれ。これが「死の商人」として世界を飛び回る安倍晋三という人物の実体だ。
‥‥そんなワケで、先ほどの時系列を見て、もう1つ気になる点があったと思う。それは、イスラエルのネタニヤフ首相が訪日して会談を行なった直後に、まだネタニヤフ首相が日本にいる時点で、まるで日程を合わせたかのように、安倍首相が「集団的自衛権の行使容認」の会見を行なったという点だ。例の紙芝居のようなパネルまで用意して、海外で暮らす日本人を救うためにナンタラカンタラと屁理屈を並べてたけど、これも、実際にはイスラエルのネタニヤフ首相に対するアピールだったのだ。
日本の自衛隊の海外派遣と言えば、2003年12月から2009年2月まで続けられたアメリカ主導のイラク侵攻の下請け業務が一番に挙げられるけど、もっと古くから続けられていた「ゴラン高原」への派遣がある。イスラエルとシリアという敵対する2国の境界に広がるゴラン高原に、PKO(国連平和維持活動)の「国際連合兵力引き離し監視軍」への派遣だ。
これは、1996年2月から派遣されていて、半年ごとに隊を交代させて来た。最初の第1次隊の隊長は、今や自民党の右派議員としてオナジミの佐藤正久氏、イラク派遣でも隊長をつとめた「ヒゲの隊長」だった。そして、半年ごとに隊を交代させて来たワケだけど、民主党政権下の2012年、当時の野田佳彦首相が、シリアの治安悪化を理由に、期限を延長せずに「撤退」を決定した。
イスラエルとしては、シリアの治安が悪化した今こそ、少しでも自分たちの味方が多いほうが助かるから、何とか留意してくれるように申し出た。でも、野田政権は自衛隊員の生命の安全を第一に考えて、17年間に及んだ自衛隊派遣を終了させたのだ。つまり、日本とイスラエルという2国間の外交的には、日本はイスラエルに「借り」を作ったことになる。で、この「借り」を返すだけでなく、もっと積極的にイスラエルの味方をして、「戦争ビジネス」でカネ儲けをしようと目論んだのが、今の安倍政権というワケだ。だからこそ、ネタニヤフ首相が日本にいる時に、全国民に向けて「集団的自衛権の行使容認」、すなわち「自衛隊の海外紛争地への派遣」の必要性を熱弁したってワケだ。
‥‥そんなワケで、ここまでは多くの人が簡単に想像できるシナリオだけど、2014年5月にイスラエルのネタニヤフ首相が訪日した時、安倍首相が会談後に発表した共同声明は、その名も「日本・イスラエル間の新たな包括的パートナーシップの構築に関する共同声明」というウサン臭さ全開のシロモノだった。この「包括的パートナーシップ」という言葉は、トランプのジョーカーみたいなもので、つまりは「オールマイティー」って意味だ。
日本製の部品を使った武器をイスラエルが買うだけじゃ、得をするのは日本だけだ。だけど、この「包括的パートナーシップ」という言葉には、「武器の共同開発」や「防衛システムの共同開発」などの他に、「戦争ビジネス」以外のものもすべてが含まれている。そして、その代表格なのが、これまた安倍政権が精力的に進めている「カジノビジネス」だ。
世界のカジノ王として知られる大富豪のシェルドン・アデルソン氏は、アメリカのラスベガスに本社がある「ラスベガス・サンズ」の会長で、アメリカに住んでるユダヤ人だけど、アメリカとイスラエルの二重国籍を持ってる。そして、アメリカでは共和党のミット・ロムニー氏の強力な支援者で、イスラエルではネタニヤフ首相の強力な支援者だ。イスラエルでは、私財を使って「フリーペーパー(無料の新聞)」を発行してるんだけど、毎号がネタニヤフ首相の素晴らしさを賞賛するチョーチン記事で埋め尽くされている。
で、そんなアデルソン会長が目玉としてるビジネスが、通称「IR」と呼ばれてる「統合型リゾート」だ。マカオとかが有名だけど、まず中心にカジノがあって、それを取り囲むように高級ホテルや高級レストラン、映画館やショッピングモールなどが立ち並び、ここに遊びに行けば、エリアの他に出なくても、すべてエリアの中だけでコト足りてしまう。ようするに、観光客のお財布のお金は、すべてこのエリアの中だけに落とされるという蟻地獄みたいなシステムだ。
マカオの場合は、最初は何もなかった「コタイ」という場所に造られた。約3600億円を投資して開発された「IR」には、広大な敷地の中央に、2万8000平方メートルの巨大なカジノがある。東京ドームのグラウンドの面積が1万3000平方メートルだから、その2倍以上だ。そして、この巨大なカジノの周囲には、ホテルだけでも「シェラトン」と「コンラッド」と「ホリデイン」の3つがある。「シェラトン」には客室の他に、5000人が収容できる大会場を含めた10タイプの大宴会場や170もの会議室がある。そして、これらのホテルの間には100の店舗が並んでいる。でも、これほど凄い「IR」のカジノでも、マカオに35もあるカジノの中では、売り上げは第7位だ。
‥‥そんなワケで、2014年5月に訪日したイスラエルのネタニヤフ首相と会談して、「日本・イスラエル間の新たな包括的パートナーシップの構築に関する共同声明」なんてものを発表しちゃった安倍首相が、「集団的自衛権の行使容認」を熱弁した2週間後の5月30日に向かったのが、シンガポールだった。表向きは「アジア安全保障会議」への出席だったけど、政府専用機がチャンギ国際空港に到着して真っ先に向かったのが、先ほどのアデルソン会長の「IR」である「マリーナ・ベイ・サンズ」だった。
シンガポールの新都心にある「マリーナ・ベイ・サンズ」は、巨大な空中庭園とプールが屋上にある高層ビル3棟が並び、カジノの他に数々の私用行施設やホテルが併設していて、カジノだけでも年間に約2500億円を稼ぎ出している。そして、ここを視察した次に安倍首相が向かったのは、今度はセントーサ島にある「IR」、「リゾート・ワールド・セントーサ」だった。こちらはさらに巨大で、カジノの他に「ユニバーサル・スタジオ・シンガポール」や世界最大の水族館「マリーナ・ライフ・パーク」まである。つまり、安倍首相は、「カジノのハシゴ」をしたってワケだ。そして、この2つの巨大な「IR」をタップリとタンノーした安倍首相は、夕方からチョコっと会議に顔を出して、夜は高級ホテルに宿泊した。
ちなみに、安倍首相がシンガポールに行く2日前の5月28日、アデルソン会長は、ニューヨークでの投資家会議で、次のように述べている。
「日本の安倍晋三首相が30日からシンガポールを訪問するが、その時に我が社の「マリーナ・ベイ・サンズ」を視察することになっていて、カジノ解禁を推進するように進言することになっている。うまく行けば安倍首相が側近に日本に電話を掛けさせてカジノ法案の国会通過を推進するように指示するかもしれない。これで日本でのカジノ解禁に向けた動きが加速することに期待している」
そして、このアデルソン会長の言葉の通り、単純な安倍首相は、視察後にこう語った。
「IRは日本の成長戦略の目玉になる」
安倍首相は、帰国直後に「IR推進」を盛り込んだ成長戦略の作成を指示して、6月24日には「IRの導入」を目玉にした「新成長戦略「日本再興戦略 改訂2014」を閣議決定した。そして、臨時国会では超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)が2013年末に提出した「カジノ解禁法案」を「IR推進法案」と言い変えて早期成立を目指すこととなった。ちなみに「カジノ議連」の会長は、「福島の不幸ぐらいで原発をやめるわけには行かない」というトンデモ発言でオナジミの自民党の細田博之幹事長代行だ。
「カジノ」と言うと聞こえが悪いので「IR」と言い変え、「解禁」と言うと聞こえが悪いので「推進」と言い変える。ここでも安倍政権の十八番が炸裂してるけど、とりあえず「2020年の東京オリンピックまでに横浜と大阪にIRを完成させる」のが目標だそうだ。だけど、安倍政権の得意技の「閣議決定」と並ぶ必殺技の「数の暴力」によって、確実に可決されると思われていた「IR推進法案」は、安倍首相の意味不明な解散総選挙によって、自動的に「廃案」になっちゃった。
衆参両院を牛耳っている安倍首相としては、どんな法案だっていつでも自由に可決できるという頭があるから、この時は解散総選挙で長期政権のベースを作っておいたほうが得策だと考えたんだろう。中小企業の倒産が増え始めてアベノミクスの化けの皮が剥がれ始めた時期だったから、ここでいったんコマーシャル‥‥じゃなくて、ここでいったん政権の延命措置を講じておいて、それからゆっくりと法案を通して行く‥‥っていう安全策を選択したワケだ。
そして、その計画通りに、今年1月26日、「カジノ議連」の会長、細田博之自民党幹事長代行は、自民党本部で議連幹部らと会談して、今国会に「カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案」を再提出する方針を確認した。1月26日と言えば、「ISIL」に拘束されていた後藤健二さんが「斬首された湯川遥菜さんの写真」を持たされた制止画像と後藤さんのメッセージが公開された2日後で、ヨルダンに収監されていたサジダ・リシャウィ死刑囚と後藤さんとの人質交換で緊迫していた時だ。安倍首相は「政府一丸となって日本人を救出する」と言ってたけど、多くの与党議員は「カジノ法案」のほうが重要だったのだろうか?
‥‥そんなワケで、今日はずいぶん長くなっちゃったけど、最後まで読んでくれた皆さんは、もう安倍政権のカラクリが分かったと思う。すべてのカギを握っているのが、世界のカジノ王のシェルドン・アデルソン会長だということだ。アメリカでは共和党が日本の自民党みたいな位置づけになり、今度の大統領選ではアデルソン会長が支援しているロムニー氏が勝つと予想されている。「右翼」のロムニー氏が勝てば、アメリカは一気に「オバマ大統領の抑え気味な戦争ビジネス」から、ドラクエ的には「がんがんいこうぜ」に該当する「積極的な戦争ビジネス」へと転換するだろう。そして、日本の安倍首相は、アデルソン会長が支援しているイスラエルのネタニヤフ首相と「戦争ビジネス」でパートナーシップを結んだだけでなく、アデルソン会長とも水面下で「カジノビジネス」でパートナーシップを結んでいると推測される。日本がアデルソン会長の「IR」を誘致することになれば、莫大なカネがイスラエルへ流れることになり、結果として、日本のカネでパレスチナ人が殺されることになる。つまり、安倍政権が目指しているのは、武器の面でも資金の面でも「日本が加害国」になる道であり、「日本人がテロの標的」になる道だと思う今日この頃なのだ。
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