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写真週刊誌「FOUCS」で20年間パロディー作品を連載した (C)日刊ゲンダイ
パロディー作家マッド・アマノ氏 「風刺は権力への批評行為」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157387
2015年2月23日 日刊ゲンダイ
幹事長時代の安倍首相から「通告書」で受けた恫喝
安倍政権を批判しにくい空気が、ネット社会だけでなく大メディアにも広がっている。特にイスラム国による日本人殺害事件以降は、政権批判をすると「テロリストの味方か」と叩かれる異常さだ。そんな中、今月9日、有名言論人が「翼賛体制の構築に抗う」と声明を出した。賛同者のひとり、長年パロディー作品で権力批判をしてきたマッド・アマノ氏(76)は、言論弾圧とも言える風潮に何を感じているのか。
――9日の声明発表には1200人以上の言論人が名を連ねました。記者会見にも出席されましたが、やはり強い危機感がありますか。
「私自身が表現の自由を侵されたというか、時の権力である自民党から『通告書』が届くという恫喝を受けた経験があるものですからね。ここへきて、権力が風刺作品はもちろん、普通の論評さえも弾圧する流れが強くなっていると感じていたところに、古賀(茂明)さんの問題が出てきた(注・報道ステーションで『I am not Abe』運動を呼びかけたら、官邸筋が抗議し、ネットなどで『テロを利する』などと反発が起こったこと)。看過できない問題だなと思って、会見に馳せ参じました」
――政権批判をすると「この人はテロ寄り」だと叩かれる。それで自粛ムードが広がっています。
「もう本当にいびつですよね。一般の人たちはどうしてもテレビや新聞から得られる情報だけで判断する。それ以上深く調べたり、本を読んだりしないわけですよ。ましてや今は、権力側が『テロを擁護するのか』という“印籠”みたいなものを持ってしまっていますから、それを出されると、みんな『これ以上、言っちゃいけないのかな』となってしまう」
■小泉総理に対する「名誉毀損」で訴えると脅し
――ご自身が権力から恫喝を受けたというのは、04年の参院選の時の作品に対してのことですね。当時、自民党の幹事長は安倍晋三さんでした。
「参院選の自民党の公式ポスターをちゃかしたということで問題になりました。小泉総理(当時)の直筆をデザインしたポスターで、〈この国を想い、この国を創る〉というキャッチフレーズを、私が〈あの米国を想い、この属国を創る〉に“間違い”を訂正して差し上げたんです。もともとは『リコール!小泉鈍一郎』という本を作りまして、そこに掲載した作品だったのですが、これを当時、みどりの会議の代表として参院選に出馬した中村敦夫さんが自分のホームページに載せた。そうしたら、自民党から私と中村さん宛てに通告書が送られてきた。安倍幹事長と顧問弁護士の連名でした」
――通告書には何と?
「総理に対する名誉毀損です。回答によっては訴えるぞと。脅しですね。2日以内に答えろと居丈高で、だからこちらも通告書を送りました。〈コクミンの立場から見て小泉内閣の「対米追随・隷従」は著しく日本人の名誉を汚しているものと考えます〉などと書いて。選挙中だったのでこちらは回答に1カ月の猶予を与えて懐の深いところを見せましたが、回答はありませんでしたよ。しかし、一国の総理、権力者が『名誉』って何なのでしょう。国民、納税者が間違いを訂正したものに対して『バカにするな』と言っているわけですよね。間違いじゃないなら、それを論理的に説明すればいい。いきなり名誉毀損とは、論理的に釈明できないことの裏付けです」
「権力者は風刺が図星だから腹が立つわけです」
現在も連載は多数 (C)日刊ゲンダイ
――権力批判を許さないという安倍さんの姿勢は、首相になった現在、さらに強まっています。
「パリの風刺新聞社への襲撃事件がありましたが、風刺に対する日本とフランスの違いがよく分かります。あの週刊紙は歴史があって、ドゴール時代から歴代の政権をちゃかし、ローマ法王などもちゃかす。権力に盾突くことにコアなファンがいて、それなりに認められていた。だから今度の事件では、『風刺漫画こそがフランスの精神』だと文化相が公の場で発言しています。本来、風刺の対象であるオランド大統領も風刺新聞社を認めている。裏を返すと、フランスでは『風刺を許さない』って言ったら、政権が倒れてしまうくらいに国民から反発をくらっちゃうんですよ。ところが日本はどうでしょう。風刺など、はなから認めないし、日本の権力者は、ちゃかされることをとても嫌う。風刺というのは嘲笑であると同時に、単なるいたずらではなく立派な批評行為です。風刺という味付けをすることで、理屈ではない権力の負の面をあぶり出す。権力者は風刺が図星だから腹が立つわけですよ。それにしても、安倍総理は私の風刺には『通告書』で恫喝しながら、オランド大統領には、哀悼の意を表し、風刺漫画を認めている。矛盾していますね」
――「テロとの戦い」を理由に権力が表現の自由を縛る行為は、米国に倣っているかのようです。
「01年の9.11の同時多発テロ。あれを境に、米国では『愛国者法』が施行されました。テロに対しては国民に有無を言わせず、ホワイトハウスに強い権限を認めたものです。米国は、同じものを日本にも適用しようとしている。さすがに愛国者法という名前は使わないけれども、米国のコントロールの下で日本政府は動かされていると思います」
――そういう意味では、米国中心の「テロとの戦い」に追従していく日本政府に怖さを感じますね。
「だから『嘲笑』が重要なんです。権力の言うことを“疑いの目”で見るクセをつける。『そうやすやすと信じないぞ』と、裏を読む力を養う必要があります。『イスラム国対自由主義陣営』『イスラム教対キリスト教』のように白黒をつけ、あえて敵と味方に分けるような、メディアや権力がつくり上げたイメージを私たちは信じてしまう。しかし、本当に敵対しているのか。イスラム国はシリア政府と戦っていたので、かつては米国の味方だったんですよ。それが今や悪の象徴です。9・11の時のウサマ・ビンラディンと同じ。彼も対ロシアで米国と一緒に戦った。それが突然、敵になった。何でもうのみにしてはいけないと思います」
■そのうち沖縄にも行けなくなる
――イスラム国といえば、シリアに入国しようとした新潟のジャーナリストに旅券返納命令が出されたことはどう見ていますか。
「後藤健二さんが『自己責任ですから』と話す映像が何度も流されました。政府は表向き『あらゆる手段で日本人を救出する』と言っていましたが、一方では『本人が自己責任と言っているでしょ』という気持ちがあった。国民もあの映像を見ると、『まあ、そうなんだろうな』と思わされた。政府が自己責任を認めるのなら、今度の新潟のジャーナリストにも『自己責任だから死んでも知りませんよ』と言って、自由に行かせなきゃ。旅券返納は言論の弾圧もいいところです。さすがに米国でもジャーナリストの旅券を返納させることはないですよね。政府にマイナスになるからです」
――米国ですらやらないことを日本政府はやってしまう。酷い話です。
「これから作ろうと思っている作品のアイデアがあるんです。『そのうち沖縄行きの“旅券”が発給停止になるよ』というものです。沖縄は危ない。基地を造るなと大騒ぎして、いつ過激な運動をやるか分からない。あなたの命を日本国政府は保障できません、なんてね。同時に沖縄の人も本土への旅券は発給停止になりかねないですよ。『沖縄“イスラム国”の民は、本土には絶対に入れません』と。『国家のため』というお題目が付けば、こうしたことが全部通ってしまいそうです」
▽1939年東京生まれ。東京芸大卒。写真週刊誌FOCUSに創刊から休刊まで20年間、パロディー作品を連載。現在も月刊「創」、月刊「紙の爆弾」、東京新聞「本音のコラム」などに連載。「風刺か冒涜か」をテーマに表現の自由の本質を訴えている。
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