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安倍首相、人質の事実把握し危険にさらす行動連発 外務省は重要情報提供を無視
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150217-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 2月17日(火)6時0分配信
イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」により日本人2名が殺害されたことで、「特定秘密保護法」(秘密保護法)が再びクローズアップされている。
イスラム国がフリージャーナリスト・後藤健二氏を殺害したとする動画を公開した3日後の2月4日、衆議院予算委員会の答弁で岸田文雄外務大臣は、今回の事件について特定秘密保護法の対象となる情報があり得るとの認識を示した。
昨年夏に民間軍事会社役員・湯川遥菜氏がイスラム国に拘束されていることが明らかになり、秋には後藤氏も拘束された可能性が極めて高いことが関係者の間に伝わっていた。当然、その時点で日本政府関係者も知っていたはずである。
従って、昨年夏から現在に至るまでの日本政府の対応にさまざまな疑問や批判が湧き上がっているのは当然といえる。例えば、イスラム国と接点を持つイスラム法学者の中田孝氏やジャーナリストの常岡浩介氏に対し、公安警察を使って家宅捜索をかけたことで、イスラム国関係者との接点が一時的に途絶えてしまった。年が明けて後藤氏が人質になっていることが公になり、中田氏は再びイスラム国幹部に連絡を取って外務省に情報を提供したが、政府側は取り合わなかったという。
これらはほんの一例である。政府がこの問題に対して何をしてきたのか、あるいはしてこなかったのかは、ほとんど明らかにされていない。
また、邦人2人が人質に取られていることを知りながら安倍晋三首相は中東を訪問し、イスラム国と敵対する国々に資金援助することを表明。身代金を要求されて以降も、敵対する一方の側に味方すると言い続けて人質を危険にさらし続けた。一連の政府や安倍首相の言動の意図は明らかにされるべきだが、先の岸田外相の発言によれば、重要な情報が特定秘密に指定されて隠蔽される可能性がある。
遺族をはじめ関係者が真相を知ろうとして情報収集すれば、何が秘密かは知らされないため、秘密保護法に触れたとして突然逮捕される危険もあるわけだ。逮捕に至らなくとも、情報が隠蔽されれば真相は闇に葬られるだろう。市民の言論表現の自由を弾圧し、権力者の失政・失敗を隠すための法律だと、全国各地で廃止運動が続いているが、今回の人質事件と岸田外相の発言により、その懸念は杞憂ではなく現実であることがはっきりした。
●憲法を殺す安倍首相
こうした中で2月2日、秘密保護法違憲・横浜訴訟の第2回口頭弁論が横浜地方裁判所で行われた。この裁判は、神奈川県内の市民13人が同法の違憲確認と損害賠償などを求めて昨年7月に提訴したものだ。
当日の弁論では、原告のひとり伊藤成彦中央大学名誉教授が意見陳述した。ほぼ満席の傍聴人が見守る中、伊藤氏はゆっくりと法廷中央に歩み寄り会釈して裁判長に正対した。
すでに陳述書は提出してあり、伊藤氏は視力に難があるため、「細かなことは文書を読んでいただき、ここでは根本的なことを述べたいと思います。また、法廷において普通の言葉で述べることは大切です」と陳述を始めた。
「私は、70年近く憲法を支持してきました。現在の首相は憲法を停止しています。しかしながら、憲法が停止されているという自覚が多くの日本人にはありません。首相によって停止状態になっている憲法を生きた状態に戻すよう、裁判所に求めたいのです。
憲法は国の基本法であり、基本法に基づいて生活全般が成り立ちます。その憲法を頭から否定する首相の存在があってはならない。本来あるべき憲法に戻し、法に従ってさまざまなことが行われるという当たり前のことを実現すべきです。そのことを裁判所にお願いします」
法廷における伊藤氏の発言の背景には、秘密保護法の成立・施行や、昨年7月1日の集団的自衛権行使を閣議決定で容認したことなどがある。同盟国の支援を名目に、日本が攻撃されなくても世界各地に自衛隊を派遣して武力行使することを容認した重大な決定が、憲法改正を経ずに19人のメンバーだけでなされた。
本来、憲法の改正は、法にのっとった手続きを経なければならず、その適正な手続きを経ずに実質上の憲法改正をした閣議決定は「無血クーデター」にもたとえられており、「憲法停止状態になった」と表現しているのだ。
このような安倍首相の言動に対し、裁判終了後の会合で伊藤氏は「憲法を殺している」と批判した。さらに、この日の陳述の意図は、裁判所(司法)に対するエールであると語った。
「安倍政権は、憲法や法によって成り立つシステムを崩壊させようとしています。そのシステムを守るのは裁判所の仕事です。裁判所にがんばってくれ、という意味合いの陳述でもあります」
人質事件によって、ますます秘密保護法の危険性が高まる中で、今後も見逃せない裁判である。
林克明/フリージャーナリスト
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