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安倍首相の施政方針演説 「改革断行」を強調するが、「誰も改革を止めてない。止めているのは、あなたでしょ」(古賀ブログ)
http://financegreenwatch.org/jp/?p=49963
2月 14th, 2015 Finance GreenWatch
●過去2年改革できなかったのにこれからできると思えるか?
「農業、雇用、医療、エネルギーなど、岩盤のように固い規制に対し、強い決意を持って改革していく」通常国会の冒頭、安倍総理は、そう力強く語った。
また言っているのかというのが正直な感想だ。「改革」が必要なことは誰もが認めている。失われた20年、自民党は常に「改革」と叫びながら、できなかった。既得権のしがらみに絡めとられ、身動きできなくなっていたからだ。民主党政権も、やはり、自民党と同じように農協、医師会、電事連などの圧力と懐柔にやられて何もできなかった。
この両党の責任は極めて大きい。民主党への失望と第三極であるみんなの党や維新の党の失速のおかげで政権に返り咲いた安倍総理は、アベノミクス第三の矢を掲げ、成長戦略の柱として規制改革を声高に唱えた。世界中に出かけて、今日とおなじように「私のドリルで岩盤規制を打ち砕く」と叫ぶ姿を我々は何回も見てきた。
しかし、政権に就いて以降、過去二年間の大きな改革の実績は、ほぼゼロと言って良いだろう。海外メディアでも、「第三の矢はなかった」あるいは、「不発だった」という評価が定着した。岩盤規制打破のパフォーマンスは、オリンピック招致の際のあの「汚染水コントロール」発言と並ぶ大嘘として記憶に刻まれることになるのだろうか。
●論理倒錯した言葉で国民を錯覚させる手法はさらに進化
前にも指摘したが、過去2年間できなかったのだから、規制改革は選挙の争点にしたくないと考えそうなものだが、安倍政権の詐欺的手法は、そんな悪材料さえ選挙戦の有力な武器に変えてしまう。
昨年末の総選挙で安倍総理は、厚顔無恥にも「アベノミクスで改革を進めるのか、止めるのか。是非とも改革を進めさせてください!」と国民に訴えた。これだけ聞けば、「是非改革を進めて!安倍総理がんばれ!」となってしまう。
しかし、安倍政権は衆参で圧倒的な勢力を誇り、規制改革の法律を通そうと思えば、何でもできるはずだ。2年間不発だったのは、「できなかった」のではなく、「やらなかった」のだ。つまり、改革を止めていたのは、実は自民党だ。
そして、その総裁が、安倍総理なのだから、「改革を進めさせてください」という安倍総理の呼びかけへの正しい答えは、「誰も止めてませんよ。止めてるのはあなた自身でしょ!」ということになるはずだ。
それなのに、国民は、そのような正しい反応はしなかった。もちろん、棄権した人の多くは、そんな言葉のレトリックを見抜いていたのかもしれない。しかし、投票した多くの有権者は、安倍総理の言葉に「素直に」反応してしまったのではないか。政策の失敗さえ選挙の武器にしてしまう。究極のレトリックである。
●完成が近づく安倍政権のマスコミ支配
昨年の話になるが、選挙戦が始まる前から、こうした安倍政権の政策についての検証報道はほとんど姿を消した。あの有名な「萩生田(はぎうだ)圧力文書」などの効果もあり、安倍政権の政策に関する報道をマスコミが自粛したからだ。選挙期間中に政策の検証を連日行なった報道ステーションだけが異彩を放ったが、この時点で、この番組とごく一部の番組を除けば、安倍政権によるテレビ局支配はほぼ完成していたと見ることができる。
逆に言えば、安倍政権の最後の標的が報道ステーション、とりわけ、その番組の制作スタッフとコメンテーターに絞られてきていたと考えられる。
●またも空証文に終わるのか?「改革断行」国会
選挙で味をしめた安倍総理は、あろうことか、今国会を「改革断行国会」と名づけた。2013年のことを覚えているだろうか。アベノミクス第一の矢の金融緩和で大幅な円安株高が実現し、第二の矢の公共事業の大々的バラマキで国内景気に明るさが増す中、世界中が待っていたアベノミクス第三の矢、成長戦略が6月に出された。
ところが、安倍総理が記者会見で胸を張ってこれを発表し始めた途端、東証で株価が暴落したのである。その悪夢の記憶もまだ鮮やかな同年秋、安倍総理は、臨時国会を「成長戦略国会」と名づけた。私は、「よく言うなあ」と思ったのをよく覚えている。大失敗した政策を堂々と国会の名称として使う。こんな厚顔無恥な政権は初めて見た。
実際には、その国会での成長戦略は全くの不発で、成果は国家安全保障会議法と特定秘密保護法だけ。終わってみれば、「戦争準備国会」と化していたのだ。
では、またもや厚顔無恥にも「改革断行国会」と名づけられた今国会はどうなるのだろうか。13年秋の二の舞になるのではないか。
マスコミは、改革の実行ができるかどうかが注目されるなどという解説をしている。しかし、実際には、本当に大きな改革と呼べるような内容の法案は出て来そうもない。
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