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消費増税延期 安倍首相対財務省の攻防は本当に存在したのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150214-00000019-pseven-soci
SAPIO2015年3月号
「いったい誰が、あんな話を広めているんでしょうね……」
安倍晋三首相が、親しい内輪の席でこう言って苦笑したという。安倍首相が言うところの「あんな話」とは、昨年末の解散総選挙を巡る、安倍首相と財務省のやりとりについてのものだ。そのことに関して、世の中的には以下のような“解説”が定着しつつあると言っていいだろう。
そもそも安倍首相が、予想外とも言えるタイミングで解散に踏み切るきっかけとなったのは、2015年10月に予定されていた消費再増税を延期したことだった。景気回復のテンポがあまりにも鈍かったことを理由として増税延期を決断した安倍首相の前に大きく立ちはだかったのが、財務省だった。
こうした安倍首相の動きに対抗する形で、財務省が、与党の国会議員を個別に訪問し、増税の必要性を説いて回るなど猛烈な巻き返し工作をした結果、安倍官邸は増税派に包囲されて身動きがとれなくなってしまったというのだ。そして安倍首相は、こうした“包囲網”を突破するために、伝家の宝刀を抜いて解散に打って出た……、というのが世に広まっているストーリーに他ならない。
とは言え本当に、安倍首相と財務省は、言われているような激しい攻防を繰り広げたのかどうか。そもそも本当に増税を巡って「安倍官邸vs財務省」なる対立の構図があったのか、ここ一連の動きを検証してみると、はなはだ疑問に思わざるを得ないのだ。
例えば昨年御用納め後となる12月28日夜、安倍首相は銀座のイタリア料理店で、昭恵夫人とともに親しい関係者と夕食を楽しんだ。その夕食会に出席したのは、北村滋内閣情報官夫妻、林肇外務省欧州局長夫妻、そして田中一穂財務省主計局長夫妻だ。一見すると何の脈略も無いように見える出席メンバーだが、実は安倍首相とこの三人の官僚の間にはある意味で強固な人間関係があると言っていいだろう。
「その三人は、第一次安倍政権時の首相秘書官を務めていた。つまり安倍首相にとって三人は、一番苦しかった時代に苦楽を共にした、最も信頼の置ける部下なのです」(官邸中枢スタッフ)
中でも注目すべきなのは、田中主計局長だ。田中局長は、今年夏の人事で事務次官への昇格がほぼ確定しているのだという。
「ある意味でこの昇格人事が実現したならば、異例中の異例となります。なぜなら昭和54年入省組では、三人目の次官誕生となるからです。それもこれも、安倍首相の強い意向が働いたと見ていいでしょう」(財務省幹部)
結局、前述の会合がお開きになるまで4時間近くの時間を要したという。もし仮に世に伝えられているように、安倍首相と財務省が激しく対立していたならば、こんな形での食事会は開かれていなかったはずだ。もっともほとんどのメディアはこの会合について完全にスルーしているのだが……。
しかしだからと言って、消費再増税の先送りを巡って安倍首相と財務省との間に、何の齟齬も無かったというわけではない。この一件はまったく表面化していないが、実はあることを巡って安倍首相は、財務省幹部を厳しく叱責したのだという。
2015年10月の消費再増税の可否を判断する上で、最も重要な指標となるのが昨年7〜9月期のGDP統計だったことは知られた話だ。当初財務省はその数値についてプラス4%程度になる見込み、と安倍首相に報告していた。ところがいざ結果が出てみると、マイナス1.6%(速報値)と、財務省の想定を大きく下回ることになってしまった。
そこで安倍首相は財務省に対して、「話がちがうじゃないか」と激しく叱責したという。しかしむしろそのことで、再増税を先送りする流れが出来あがったと見ていいだろう。財務省にしても、自らの予測が大きく外れた以上、再増税が難しいことは百も承知だ。つまり安倍首相と財務省が対立しなくてはならない理由は、どこにも無かったのである。
がしかし、「あの財務省に勝った安倍首相」というストーリーが広く流布したことで、間違いなく首相の株は上がった。首相側近が仕掛けたイメージ戦略は、実に巧みだった。
文■須田慎一郎(ジャーナリスト)
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